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提案とベアパパからの報告

ブックマーク並びに評価、感想ありがとうございます!


前回あとがきで仮名がでる予定でしたが1話ずれました、申し訳ありません

 提案とベアパパからの報告



 は~い皆さんこんにちは~、現在クーゲル邸の応接室で、僕の正面に机を挟んでベアパパ、その隣にセバスさんが座っています。なにやら今日は少し張り詰めたと言うか、緊張感のある空気です。


「さて、今回は前にお作りになった物に関する事でお話があったからです。」


 セバスさんはそう言って二枚の羊皮紙の書類を机においた。

(えっと、僕が作ったものといえば千歯扱きと算盤だけど)


 書類には、商業ギルドの印と、権利書の文字が


「えっとこれは?」


「実は以前王都に行った際に千歯扱きと算盤を商業ギルドで登録できないかと思って持っていったんですが、その申請が通りましてね、これはその証書です」


 そして詳しい話を聞いているとどうやらこれは特許の様なものらしい、生産と販売の権利を商業ギルドに任せてその販売利益の何割かを1~3ヶ月に一度支払われるようになるとのこと。

 そしてこの登録には審査があり、画期的な物ほど通りやすいと言う。今回の場合はむしろ生産しやすいのと需要が見込める事の方が強いのかもしれないけど。


「まだ貴方は仮名(かりめい)も無かったので登録の際にはクーゲル家として署名したのですが、これらのもたらされる金銭は本来は貴方が受け取るべきものです。」


 セバスさんはそう説明してくれてるけど、お金ね……現状でそんなに使い道がな~、ちょっと聞いてみるかな。


「ちなみにどのぐらいあるんですか?」


「そうですな、約二年の間に約金貨80枚といったところでしょうか。

 千歯扱きは農村部を中心に、算盤は商人や貴族を中心に売れているようです。

 お陰で木工業は嬉しい悲鳴が上がっているとか。

 値段も手頃なので庶民にも喜ばれているそうでございます」


「80枚って……、もらっても使い道が……」


 そんな時にふと、キュピーンと来たのだ!

 そうだ、このお金を使ってもらって作ってもらえれば、定期的に物が手に入る様になるはず。

 思ったが吉日、即行動とは誰の言葉だろうか?

 そんな事を思いながらベアパパとセバスさんに提案した。


「あのセバスさん、ベアパパ提案があるんだけどいいかな?」


「提案、でございますか?」


「ふむ、一体何をするのかな?」


 セバスさんは疑問符を浮かながらもまるで見定めるかのように、そしてベアパパは真剣な顔でこちらを見つめる。


「このお金を領の発展に使ってもらえないかな?」


「「…………」」


 二人はその返しに暫く沈黙していた、やっぱり子供がそう言う提案するもんじゃないのかな? いや、普通はおかしいか。


「どうしてそう思ったんだい?」


 ベアパパは真剣に聞いてくる。ここは包み隠さず言いましょう!


「だって、僕は物心ついた頃からここで過ごしてきたんだよ、故郷というのと、ベアパパ達に育ててもらった恩も返したいって言うのが7割ぐらいかな」


「じゃあ残りの3割は何かな?」


「もし良かったら、クーゲル領で酪農や牧畜とかできないかな~って。

 牛とか豚とか鶏とか卵とか簡単に手に入るようになったら食卓も潤うし、加工品とかでここにも商人の脚が向かないかな~って。

 そして取れた卵とかミルクを貰えたらいいな~って、出資先として」


 うん、3割は欲望です、牛乳に卵があれば作れるものが幅広くなるんだもん、アイスにケーキとか甘いものも作れるし!料理でも作れるものが広がる!


 そんな事を考えているとセバスさんがこっちの手を握ってきた。


「素晴らしい! その歳で故郷を思う優しさ、そしてそこからちゃんと自身への利益も考えた思考!」


 セバスさんからは絶賛された。

 何やらホロリと涙を流していらっしゃる……。

 そう言えばセバスさんは、商業の心得もあるって聞いてたな。

 領の経営で思うこともあったのかな?


「う~む、確かに酪農や牧畜ができれば確かに領としては潤うな。

 場所と警備、それから管理する人材……」


 ベア様もベア様でかなり前向きに検討しているみたいだな、これは脈ありか?


「これに関しては多少話し合いが必要だが、領主としてはこれは有りだと思う。最初は多分山羊や鶏になるだろうが」


 ベアパパはそういった後、普段の表情に戻った。

 領主として対応する時はかっこいいんですよね。

 けどその後にさらにベアパパからお話が続いた。


「そしてもう一つ、伝えたい話があるんだ。

 その実はだな、やっと返事がもらえたんだ」


「え?」


「その、リーシャがやっと俺を受け入れてくれてな……」


「――それってつまり?」


「ああ、やっとリーシャと結婚する事が決まった」


 今まで何度もベアパパが口説いてるシーンを見てきたけど、その都度リーシャねぇは、メイドだからと断っていた。

 けど嫌がっている訳じゃなかったんだよね。

 むしろ受け入れるべきなのかずっと悩んでいる感じだった。


 けど、リーシャねぇはついに決心したんだ。気がつけば僕はベアパパに飛びついていた。


「ベアパパおめでとう!」


 その後経緯を聞いていると、切っ掛けはやっぱりあの病で倒れたのが始まりだったみたいです。

 これもある意味吊り橋効果なのか? でも思いは元々しっかりあったわけだから踏み出す切っ掛けってことになるのかな。



              リーシャねぇ、おめでとう!


 これは、結婚祝いになにか作るべきだろうか。

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