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襲い来る魔の手と久々のクーゲル邸

 襲い来る魔の手と久々のクーゲル邸




 あの後おむすびを食べ終わった3人はそれぞれ自己紹介となりました。

 最初に声をかけてきたのがゴーくん、その後に来たのがメイちゃん、そして最後に匂いにつられてやってきたのがダン君だそうです。ちなみにもふって来てるのはメイちゃん、そしてそれに釣られてゴーくんまでも。

 それをちょっと見ているダンくんもなんか尻尾を見つめているのでなんだかな~。


 その後も話を聞いてるとあの事件の後から5人で一緒に行動することが多くなったとか、今日は後の二人が何か家の用事で来れないとかで三人で遊んでいた所に偶然僕がお昼を食べてる姿を見つけたとか。


「それにしてもあの鳥の兄ちゃんと違った感じだな~」


「だね~、でもこっちもこっちでいい感じ~」


「あのあの……そんないきなりしたらだめだよぉ……」


ガキ大将で怖いもの知らずと言うべきか人見知りしない感じのゴーくん、どうも動物系が大好そうなメイちゃん、そして奥手だけど常識人っぽい所がありそうなダンくん。


「あの、そろそろ離してもらえると……って!? 服の中に手を突っ込まないで! ちょっ!? しっぽ! 尻尾は握らないでぇぇぇぇ!」


 メイちゃんの猛烈アタックに色んな意味で身の危険を感じた僕はおかしくないよね? おかしくないよね! 必死で離れてダンくんの背後に避難しました。

 メイちゃんは多分肉食系女子だと思いました。


「ほ~らこわくな~い、こわくな~い」目をギラギラさせながら近寄ってきて思わず僕もダンくんも後退りしてしまいました。


「どう見ても怖いです!」


「あ~、メイの悪い癖が出たか~……ああなると止まらないんだよな~」


「……メイちゃんって、動物見たら止まらないからね」


 二人は諦めの境地にいたってる感じが声に現れている……あ、ダンくんそっとゴーくんの方に逃げないで!

 ええ、その後は身体能力強化全開で逃げましたよ、身の危険を感じましたし野生の勘もガンガン警報鳴らしていましたので。


 その後必死に逃げまわり、逃げおおせたと気づいた時にはちょうどベアパパのお屋敷近くに来ていました。

 そういえばあれから挨拶に行ってなかったな……、けど行きづらいってのはあるんだよな。


 そんなことを考えていると背後から突然ポンっと肩を叩かれました。

「申し訳ありませんが、少々お時間宜しいですかな」

 何故かセバスさんがいらっしゃいました、うん、相変わらずレーダーには反応なかったですよ……。


 と、言うわけでセバスさんに連行されてクーゲル邸にやって来ました。それにしても一体何があったんでしょうね?

 それから通されたのは厨房ですね、そしてそこにリーシャさんと他のメイドさんが揃って待機していました。一体これは何事なんでしょうか?


「あの、これは一体何があったんでしょうか? そしてリーシャねえ様、お久しぶりです」


「こちらこそお久しぶりです、実はその……少々紅茶の入れ方でお聞きしたいことがありまして」


 見事に洗練された一礼で返されましたがなにやら妙な一言が、まさかメイドさんから紅茶の入れ方を聞かれるとは。


「えっと、どういう事なんでしょう?」横にいたセバスさんの方を見て説明を求めてみた。


「実はですな、前に紅茶を入れました所旦那様が」




「……あの子の紅茶を飲んだあとだと、なんだろうなこの物足りなさは」



 どうも本人は無意識にそう呟いてしまったみたいですが、執事としてメイドとしての琴線に触れたらしく、現在クーゲル邸では紅茶の入れ方に関して関して問題になっているとか……。


「そしてお恥ずかしい話ではありますが、どうにも行き詰まってしまいましてな、最後の手段としてお招きした次第でございます」


「あ~、そう言う訳なのね……、じゃあ一度入れる所を見せてもらってもいいですか?」


 そこからは紅茶の入れ方についてのレクチャーになりました。

 と言ってもゴールデンルールに関するレクチャーだったり、茶葉をポッドの中で空気と一緒にかき混ぜるジャンピングについての説明だったので、そこまで時間は掛かりませんでしたね。

 そうして入れ終わった後の紅茶を飲んだ後は皆さんしきりに味や香りについて意見交換をしていましたね。


「いやぁ、紅茶の入れ方にこんな方法がございますとは、私もまだまだ学ぶことは多ございますな」


「でも、この入れ方は人によってはもしかしたら怒られるかもしれませんからね、その辺は注意が必要かもしれません」


 紅茶を飲みながらその味と香りを楽しんでいるセバスさんはとても笑顔でした。

 だけどその後に「この後まだお時間は大丈夫ですかな? それと紅茶を入れていただけますでしょうか?」と聞かれ、特に余り考えずに「ええ、大丈夫ですけど」っと答えてしまいました。

 その後のセバスさんの笑顔に何か非常警報を発令したくなったのはなぜでしょうかね……。




「だぁぁぁぁ全然終わらない!」


「黙ってやらんかバカ息子!こっちだって泣きたいぐらいなんだ!」


「やってもやっても終りが見えないから泣きたいんだよ!」


「大丈夫だ、いつかは終わる!」


 ティーポッドをお盆に乗せながらセバスさんに連れられてやってきたのは執務室、そこには必死に書類と格闘しているベアパパとその息子のアルトさんの姿がありました。

 机には書類が山のように積まれており、うっかりすれば雪崩を起こしそうなレベルです。

 それに対して悲鳴を上げずにがんばって書類と格闘を続けるベアパパは少しかっこいいと思いました。ほんの少しですがね。


「申し訳ありませんが少々お手伝い願えないかと……あの時の事件で色々ありまして、現在その処理に追われております、ベア様も頑張っておられるのですがその、坊ちゃまの方はブランクというか教育の途中で抜けられまして……、旅の間にも一応勉強もしていたようなのですがやはり片手間ではやはり厳しいようです」


「分かりました……、だけど先にベア様とアルトルード様に一度お茶を入れましょう、一旦休憩挟まないと多分どこかでミスしますよきっと」


「では、そうするとしましょう」



 そして執務室に入ると紅茶の匂いでようやくこちらに気づいたベアパパが一瞬にして笑顔になりました。


「おふた方、一度休憩をはさみましょう、適度な休憩を入れないと要らない失敗をまねきますよ」


「君は……」


 アルトルードさんはこちらに気づいてすこし唖然としていました。


 というわけでそこからは一度ティータイムになりました。

 ベアパパはやっと休憩できたのか至福のひとときのようです。しっかしさっきのベアパパはすっごい疲労の色を浮かべてたな……。やっぱ疲れた時は甘いものって言うけど、ここはあれかな、前に作った分の余りを出してみるかな?

 そう思って鞄に手を突っ込んだふりをして亜空間倉庫に入れていた砂糖を取り出す。

笹の葉に包んでおいた砕いた含蜜糖を取り出す。


「ベア様、これ舐めるか紅茶に入れてみます?」


 それをテーブルに置いて見るとかけらをセバスさんが食べてみる。


「これは、砂糖ですか?しかしピンク色というのは見たこと無いですな」


 さすがのこれにはセバスさんも驚いたみたいですね。そしてベア様も直ぐ様小さいのを一つ食べてその甘さにご満悦の様子、そして直ぐ様紅茶に入れてかき混ぜていますね。

 アルトルードさんも恐る恐る砂糖を一口食べてその甘さに頬が緩んでしまっています。


「ふう……うまい、疲れが引いていくようだ」

「砂糖と言うのは初めて食べたが、これは本当に甘くて美味しいですね父上」

「それにしてもこの砂糖、どこで手に入れたのですかな?」


 セバスさんも流石に僕がなんでこんな高級な砂糖を持っているのか疑問のご様子、まあ当然っちゃ当然ですよね。まあ材料は今のところ秘匿ですかね。


「う~ん、手に入れたって言うより作ったって言ったほうが正しいかな」


「「「は!?」」」


うん、やっぱそういう反応になるよね……しかしまあ綺麗にハモってらっしゃる。


「砂糖と言うのはサトウキビから作られると聞いてますが、どこかでサトウキビを買ったのですか?」


「ううん、買ってないよ」首を横に振って否定する


「では一体何から作ったのです?」


「それは秘密です」人差し指を唇につけて笑顔で言ってみた。


 その後は聞き出したそうなセバスさんを尻目に、分割思考、高速思考、自動計算を活用しながら書類と格闘していきましたね。セバスさんと僕で処理していく書類の山を見て、アルトルード様の顔が若干引きつってたのが印象的でしたかね。しかし騎士団関係の書類を見る限り、やっぱりこんだけの書類が溜まったのは前の事件絡みなんですかね。


 そしてようやく書類もあらかた片付いたのがちょうど5時になった頃、日本だったら定時上がりですかね?


「終わったあぁぁぁぁ!」


「ようやくこれで事件の方も一段落か、しかし今日は本当に助かった! 君が来てくれなかったら多分今もまだ山のような書類が残っていただろう」


「おかげで助かりました、私だけでは少々厳しゅうございましたからな」


 アルトルードさんは長かった書類仕事から開放されて、体全身を伸ばしている。

 ベアパパとセバスさんからは感謝の言葉を受け取ったのだが……ベアパパはいつもの様にハグされました。


「あ~、癒される~……」


「あのベア様「パパって呼んで……頼むから」


ベア様、いやベアパパは涙ながらそう訴えてくる、何があったんだろう……


「いや、でも」アルトルード様の前でそう言うのは流石にまずいんじゃないかな。

けれどそう思ったのもつかの間、そのアルト様から「おやじの言うとおりにしてやってくれ、俺は気にしてないというか、弟ができたようなものだから少しうれしい感じもあるんだ」

 少し苦笑しながらもそう言って「実は家の娘が親父を見てすぐに泣きだしてしまってな……」

 アルト様少し遠い目をしながら何があったのか説明してくれました。なるほど、やっと出来た孫にいきなり泣かれてショックなのか。まあそう言う事ならいいのかな?


「ベアパパ、泣かないで」それから少しの間、ベアパパのスキンシップは続くのでした。



 あれから30分、ようやくベアパパの機嫌も直りニコニコ顔に戻った頃、時刻は夕方、そろそろ帰らないといけない時間になりましたね。


「もう少ししたら日が暮れちゃいますね、僕はそろそろ帰ります」


「……泊まっていっていいんだぞ」名残惜しそうにつぶやくベアパパ。

 でも、ウィロウじぃじも夕暮れには帰るように言われてるからね。


「流石に何も言わないで泊まるのは……また明日も顔見せに来るから」

 そう言ってベアパパをなだめて執務室を後にしました。

 




 その後は急いで森に向かって、辺りに人の気配がないのを確認してからベルを鳴らして家に帰りました。


「こりゃ!帰ってくるのが少し遅いぞ!」


 ウィロウじぃじには帰りが遅かったせいで心配させてしまい少し怒られましたがこれも家族だからこそなのでしょうね。


 では続きはまた次回


 襲い来る(メイの)魔の手(笑)


 これからもう少しキャラ出していくことになると思いますのでよろしくお願いします。



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