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いきなり人生ハードモード!?

 いきなり人生ハードモード!?




(んっ……ここは……)


 深いまどろみの後、意識が戻りまず最初に目を閉じたままで感じたのは暖かい日差し、耳に届くのは川のせせらぎ、鳥の鳴き声、そして目を開けるとそこには森が広がっていた。


(え?なんでお外?)


 身体を動かそうとするがあまり自由に動けない。

 動かせるのは頭と赤ん坊の、それももふもふした手だった。

 頭を少し動かしながら周りを観察してみる。

 そして自分がどこにいて、どんな状況かなんとなく把握することができた。

 うん、これは所謂……。


(捨て子スタートじゃないですかやだぁぁぁ!?)


 現在自分は樹の根元に少し立てかけるようにしてやや斜めな籠をベッドにして放置されていた。


(いきなり人生ハードモードってレベルじゃないですよ神様!?優しい両親プリーズ!)

 転生先のあまりの状況にテンパッてしまっていた。


(しかも人里に捨てられてるわけじゃないからこのままだと確実に衰弱死か肉食系の何かに襲われてバッドエンドまっしぐらじゃないですかやだぁぁぁ!)

 そして心の乱れに幼い赤子の身体は鳴き始める。


(ちょっ、身体がいうこと聞かない!?これが世に云う肉体と精神の差ってことなのか!?)

 言うことを聞かない幼い身体に四苦八苦しながらなんとか落ち着かせようとする。

 しかしなかなかうまく行かず次第にお腹が空き始めた。


(あ~、これは本格的にやばいぞ、本気で肉体だけでなく精神の方まで泣きたくなってきてしまう…)





 それから数分ほど泣き続けて、ようやく泣き止むことができた。

(落ち着け落ち着け、まずは冷静になれ!

 落ち着いて素数を数えよう……1,4,6ってそれはノット素数!

 落ち着いてまずは周りをよく観察しよう。そうだ鑑定があったじゃないか!)


 自分に自分でツッコミを入れるぐらいには落ち着きを取り戻した。

 え?もどってない?


 まだ若干落ち着いてないがとりあえず気を紛らわそうと辺りの観察を始める。

(まず自分の周りと現状を把握しないと……)


 周りは森だがよくよく見ればどうやらここは道のまっただ中のようだった。

 もしかしたら誰かが通りがかるかもしれない。

 そしてそのタイミングを見計らって泣き出せば気づいてもらえるかもしれないし、拾ってもらえるかもしれない。

 可能性は限りなく低いかもしれないがそれに賭けるしか生きる道はない。

(でも、ただ待つのは何だし、とりあえずできることをしよう)

 そう思ってまず見える木を鑑定してみた。


【スーリンの木】

【建材、木工用など様様な用途に用いられる】


 っと、簡単な情報が見て取れた、それからしばらく辺りの木を鑑定するとほとんどがスーリンの木であることがわかった。

 けれどそんな感じで辺りを鑑定してると不意に遠く離れた茂みからガサゴソと茂みをかき分ける音が聞こえてきた。


(結構遠くから聞こえてきたな…てか、耳いいな!さすが獣人、身体能力は赤子でもそこそこ高いのか)

 などとそんなことに感心しながら音のする方をじっと見つめていた。

 そしてその音は徐々に近づき、嫌な匂いを漂わせてきた。


(何この匂い、なんかきついにおいが……)

そしてついに匂いの元凶が茂みから視界に入ってきた。


(なにあれ!?)


 そこには120cmぐらいの汚れた腰布一丁で棍棒だったり、刃毀れして手入れのされてないやや錆びかけの剣だったり、木槌のようなハンマーをもった醜悪な面をした所謂モンスター達がいた。


(……なんだろう、すごく嫌な予感しかしない。

 なんとなくだけどあれにお持ち帰りされても生き残れるビジョンが見えない。 むしろ美味しく食べられてしまう未来しか見えない!

 性的にとかじゃなく物理的に……。とりあえず確認だ!

 まずは鑑定、兎にも角にも情報だ!

 もしかしたら見た目と違って心優しい生物なのかもしれない……)


 そしてすぐさま嫌な匂いのモンスターを鑑定する。

 そして直ぐ様、先ほどの考えは否定されるのだった。


【ゴブリン】

【魔物の中で下級に位置づけされるモンスター、知能は高くなく、他者を襲い、雌を孕ませ、肉を喰らい、数の暴力で戦うことを基本とする。

ゴブリン族の中でも一番弱く頭の悪い存在である、また欲望の赴くままに行動するモノが多いため愚者の代名詞ともされている。】


(うん、詰んだ。気づかれたらまず間違いなく詰む)


 なんとか気づかれないように騒がないでやり過ごそうとした矢先、一匹が籠に気づいてしまった。

 そしてこちらの匂いに気づいたのか、距離が近づく度にその顔が凶悪な笑顔を浮かべつつよだれを垂らし始める。


(こっちくるな! 食べても美味しくないから! はやくそのよだれをしまいなさい!)


 だが、そんな願いも虚しくゴブリンはどんどん近づいてきた。

 それに気づいた他の十数匹のゴブリンもこちらに向かってくる。


(誰か助けてー!? 幼い赤子が襲われそうになってますよ! 神様! 生まれて直ぐに死ぬことはない。保証するって言ってませんでしたっけ!?)


 そして身体もそれに反応して一際大きな鳴き声を上げる。

 しかし無常にもゴブリンは凶悪な笑みを浮かべながらついに目の前まできてしまった。

 その手にもった棍棒を振り上げこっちをよだれ垂らしながら見下ろしている。


(マジで!? 転生してものの1時間で人生終了!? 神様いくらなんでもそれはあんまりでしょう!?)

 そして振り上げられた棍棒が振り下ろされようとしていた。


(これで死んだら絶対神様恨みますよ! そしてゴブリンども、タンスの角に足の小指ぶつけて骨折しろぉぉぉぉぉぉ!)

 絶叫の様な魂の叫びを上げたその瞬間。


 シュトトトト

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」


 っと、棍棒を振り上げたゴブリンに矢がゴブリン達の絶叫と共に突き刺さっていた。


(え?)


 そして矢の飛んできた方にはフルフェイスタイプの甲冑を着た騎士っぽい存在を中央にその周りに弓を構えた数人と、騎士の両隣に2名ほどの軽装の戦士ぽい人が剣をもって構えていた。


「%&##$%$%&#$&赤子%#守れー!」


 半分以上が理解できない言葉の号令を合図に戦士達が一気にゴブリン達に向かって走りだすと共に援護の矢がゴブリン達に振りかかる。


(うわあぁぁ……血みどろの戦場だ……、でも守ろうとしてくれてるんだな……って!?)

 戦いを見ていると援護の流れ矢が途中で接触し、そのせいで軌道が変わり自分の目の前を通過していった。


(うわ!?……ちょっと、しゃれにならんしょこれ……)


 ある意味戦場の特等席で血みどろの戦場の空気を赤子の内に経験することになったのだった。


 それからゴブリンと騎士達の戦いは騎士たちの優勢でゴブリン達は瞬く間に数を減らしていた。

 そして目の前で、ボス格と思われるような他のゴブリンよりも少しいい装備をしたゴブリンが騎士と対峙し、破れかぶれの一撃を加えようと襲いかかる。

 けれどもそれは「ふん!」っと、騎士の一息の元に手にしていた長剣でズバッ! と、首を跳ね飛ばしてしまった。

 そう、そこまでは良かったんだ……、その飛んだボスゴブリンの首が僕の目の前にゴロゴロと転がってくるまでは。


(ひぃぃぃぃ)


 ゴロゴロと転がった首は、何の奇蹟か偶然か僕の正面を向くようにして横たわるのでなく縦置かれた状態に。

 普通の赤子なら軽くトラウマを抱えそうである。

 思わず手で両目を覆いたくなるけど、それ以上に驚いたのは自分の身に起こったことだった。

 生首の衝撃が強すぎたのかどうかは定かっではないが……。


(ってあれ、手がモフモフしてない、あれ?)


 気がつけば手の毛皮はなく、人の手になっていた。

 そしてその時になってようやく気づいたのである。


(あ、肝心なこと忘れてた!?そうだよ!自分に鑑定使ってないじゃん!)

そうして慌てて自分に鑑定を使ったのであった。



【氏名――――――(名無し)】

【性別:男 年齢0歳】

【種族:ワーウルフ】

【職業:赤ん坊(捨て子)】

【ステータス】

HP6/6

MP1/10


【スキル】

獣化/人化 レベル1 (new)/on

気配察知レベル1 (new)/on

鑑定レベル2 (new)/off

スキル隠蔽 レベル1(new)/off

メモリーズブック (new)/off

錬金術師の卵 (new)/off

見えざる魔力の糸 (new)/off

デュアルボディ (new)/off

言語習得補助 (new)/off

悪臭耐性レベル1 (new)/on

恐怖耐性レベル1 (new)/on


(獣化/人化ってのは今の変身かな、けど横にあるon/offってなんだ?)

 スキルを見ているとスキル隠蔽の項目が点滅しているのを発見。

(なんだ?スキル隠蔽?)

なんとなくスキルに焦点を当てていると、詳細情報が表示された

【スキル隠蔽】

【鑑定やスキル、ステータス等を調べるスキル、アイテム等から情報を隠蔽するスキル

 on/offで開示/隠蔽、または現在のレベルより下げて開示するかを設定可能】


(なるほど、確かにこれは便利だ。

 ある意味転生者には必須かもしれないね。

 説明見る限りスキルを見るスキルやアイテムも有るみたいだし)


 そしてそんな事を考えてる内にゴブリンと騎士の戦いは集結したのであった。



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