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閉話 冒険者ガルド=オルム

 3~4話ストックができたら、また一日一更新に戻ります。

 それまでは二日に1本ぐらいに落ち着くかもしれません。

 

 あと、今回また長くなりました…。

 今回は閉話です、次回から少年少女編になります!

 そして評価ありがとうございます!

 冒険者 ガルド=オルム



 俺はガルド=オルム、竜人だ。

 竜人っていうのは文字通り人型のドラゴンだな。

 なんでも昔、人と交わったドラゴンが産んだのが竜人だとか、ある日突然卵から生まれたとか言われてるが……実際のところは知らん。

 んな、数千年も前のこと知ってる奴なんて……多分もう耄碌してる古代竜(エンシェントドラゴン)ぐらいじゃないか?正直言ってはっきりと覚えてるか怪しい部類だ……。

 だが竜人にもいくらか種類がある。

 竜自体の種類も有るんだが、竜人の場合は大きく分けて4つある。

 一つは竜の血が薄すぎて、人に竜の身体の一部が生えたような種、それは爪だったり角だったり鱗だったりとこいつらは多少人間より強くて丈夫な程度だ。

 そんな彼らはドラゴンハーフなんて言われてる、実際の血の濃さから言えばハーフどころかクォーター以下だがな。


 次に来るのがリザードマンだ、さっき言った血の濃さならこいつらがクォーターといった感じだ。

 ドラゴンハーフに比べてこいつらはまだ竜よりだがトカゲに近い感じがある。

 だが彼らは確かに鱗を持ち、陸上以上に水中活動も得意としている。

 おそらく彼らの始祖は水竜種と混じったのではないか?などとも言われているがそれよりも特筆すべきは別にある。

 そう、彼らは一定の強さを持つと進化するのだ。

 リザードマンから翼の生えた3つ目のドラゴニュートに……。

 飛翔もできればドラゴンの鱗を持ち、ちょっとしたブレスを吐くこともできる。

 ドラゴニュートは血の濃さによっては最初からドラゴニュートだったりするからこの二種は種類が分けられるのだ。

 まあドラゴニュートになれるリザードマンはほんの一握りと言われていたりするがな。

 リザードマンから進化できた者は彼らから【勇者】とも言われていたりする、実際進化した彼らは生まれた時からドラゴニュートだった者達より強い。


 そして最後に来るのがドラゴニアンと呼ばれる竜の血がドラゴニュートより濃い種族だ。

 俺もその種族なんだが、一番の特徴はなんといっても竜化だな!

 この竜化を使うと本人の強さに比例して大きなドラゴンになることもできる。

 まあ調節は可能だけどな……、他にも色々ドラゴンの特性が強かったりする。

 硬い鱗や丈夫な翼に強力なブレスそしてドラゴン並みの寿命ときた。

 ちなみに翼はドラゴニュートとかもそうだが収納できて出し入れが自由なのだ。

 竜化や獣化と似たようなものなのだろう。

 後はまあ……余り言うのも何だがドラゴンの特性が強く出ている所為で、大概の種族と種を残せるというのも有る。

 なんせ最初に言ったようにドラゴンと人間が交わったと言われるのがこの繁殖力故だ……。

 だがドラゴニアンは他の3種に比べて数が少ないのだ、血が濃くないと生まれないから仕方ないのだろうが……。


 まあそんな話はおいておいて俺の話だな。


 昔は傭兵業なんてのもやっていたんだが、今は冒険者なんてものをやらせてもらってる。

 なんでそんなことしていたかって?それは当然決まっているだろう、退屈だったからだ。

 故郷の方は若干閉鎖的な所もあったが退屈で仕方なかったんだ。

 けど、他の奴らは何かしらの趣味といえるものを見つけてそれに暇な時間を注いでいた。


 だが俺にはその趣味と言えるものが見つからなかった……。

 そしてある時聞いた冒険者の話を聞いてこれだ!って思ったな。

 そこからは人生楽しくなっていった、まあその前に色々準備があったが、主に修練とか外の知識とか……常識とか。


 外に出てからはまあ概ね楽しませてもらってたな。

 最初は冒険者がメインだったんだが、途中どういうわけか傭兵業をすることになったんだ……、全部あのバカが原因だ。


 始めは盗賊討伐の依頼で、他の冒険者と組んで行ったのが始まりだった。

 そん時はあのバカがいたせいで散々だった……。

 勝手に突っ込んでボスを倒したのはいいが、おかげでその手下どもを逃がさないように駈けずり回されたんだ……。


 まあその後、一緒にいたPT連中からは大目玉食らっていたがな。

 特にお目付け役の女性にはしこたまビンタされてたな、おかげで溜飲は下がったが……。

 けど、それが奴との腐れ縁の始まりだったんだ。


 そこからなんでか俺の受ける依頼、特にギルド関連の依頼にはあいつの姿があった。

 その度に奴の行動に振り回されることになってしまって、それが面倒になっていろんな所に移動してたんだ……。

 なのに俺の行く先々で奴は現れる! ストーカーか何かか!?


 しっかもあいつ、依頼とは無関係で俺が出歩いていてもどこからとも無く現れる始末……。

 おかげで外からは俺が奴のパーティーの一員だと思われるし、冗談じゃないぞ!


 だがそこからなし崩し的に冒険に行くようになったが、気がつけば傭兵まがいの事をするはめになっていた……。

 そしてシールダーでの戦争であいつが騎士に任じられてようやく縁が切れたんだ。

 俺の方に騎士の話?全力で逃げましたとも、誰がそんなめんどくさい事に首を突っ込むかってぇの!


 おかげであいつとの縁も切れてまたソロで自由に冒険者活動できる様になったんだ……。

 まあ、あいつがいたから退屈しないで済んだってのは確かにあったかもしれんがな。


 そのせいだろうな……今から十数年も前か。あいつを拾ったのは……。

 最初見つけた時はあいつがゴブリン達に囲まれている時だったな。

 剣を片手にゴブリン達相手に立ち回っていたが、かなりボロボロだったな。

 あのまま放っておいたら死んでいただろう……。

 倒れる前に魔法で割って入って助けたんだが。


「邪魔すんな!」っと悪態つかれたからな……まあその後糸が切れたように気絶したがな。


 まあそこからだな、あいつを拾って一緒に旅するようになったのは。

 まあ放っとけないってのもあったんだが……、なんか死に急いでるようにも見えてたからな……。

 最初はまあ俺が付いて行って見守る形だったんだが、段々あいつとの距離が近づいていってな。

 それからだな、あいつとのふたり旅もいつからか親父呼ばわりされるようになっていたがそれもいいかなっと思ってそのまま養子にしてしまった。

 ヴェルグって名前も俺が養子にした時に付けた名だ、名前はあったらしいんだがその名はもう使いたくないとかいってな。

 それからあいつはヴェルグ=オルムって名乗るようになったんだ。


 それからまあ色んな所を巡って冒険していたがある時ふとシールダー近くを通ってちょっと懐かしく思って通ったのがいかんかった。

 切れたと思った腐れ縁がまた……。

 あの時はヴェルグは初めてのシールダー王都だったから観光にいかせたんだが……まさか俺が一人でいる時に奴に出会うとは。


「よぉガルド、久しぶりじゃな!」

 俺は無言で数十年ぶりのやつなど知らないとばかりにUターンをかました。

 てかなんで奴はもう80代に突っ込もうかというのにいまだ50代ぐらいの見た目しとるんだ!

 どっかにエルフかドワーフの血でも入っとるのか!?


 それから王都で奴との熾烈な追いかけっこが始まったのだ。

(ええい、相変わらず面倒なやつだな……)

 それからなんとかやつを巻いたと思ったら宿に奴がいた。


「よぉガルド、久しぶりじゃな!」

「さて、チェックアウトするか……」

「待て待て待って! 依頼があるんじゃ!この通りじゃ!」

 Uターンしてチェックアウトに向かおうとしたら、おかしい早さで回りこんできた。


 そこからなし崩し的に奴の屋敷に向かうことになって依頼を受けることになってしまった。

 まあ結構渋ったんだがな、依頼料は悪くはなかったんだが……行き先が最終的に奴の勘で決まったのが気に入らんのだよな。

 昔っから奴の勘はおかしい精度を誇っていた。

 特にある程度情報を絞った時でのやつの勘はほぼ100%的中するレベルだ。


 依頼内容は村の子供たちを連れて行った違法商人の捕獲または討伐、すでに死んでいたのなら可能な限りで子供たちの救出とはな……。

 そっから竜化して山超えてシェルダーに向かったんだが、まさか今度はターゲットが通ったであろう場所で山賊が出ているとはな。

 調べてみればそっちから来た奴はここ最近いないとか、しかも結構討伐対象ランクが高いときたもんだ。


 あの時あのバカに「なんだって俺に頼むんだ?」って聞いた時に言っていた事が思い出される。


「これは俺の感なんじゃが、ここじゃとそこらの騎士や冒険者じゃどうあがいても勝てん気がするんじゃ、それにお前さんなら飛んでいけるしのう」

 あのバカの勘がどんだけ正確なのか思い知らされるな……。


 その後は冒険者ギルドから山賊の討伐を依頼され、そこから雑魚山賊を捉える低~中位冒険者パーティーを引き連れて討伐に向かったのだ。



 時刻は日の落ちた夜9時、日の入りに攻めこむのもありかと思ったが夜目の効く奴らが大半だったおかげで今回はこの時間になった。

 ヴェルグには昼間にも一度偵察に行ってもらったがもう一度行った所、奴ら酒盛りなんぞしていたそうだ……。


 その後もう一度ヴェルグに飛んでもらい、事前に用意しておいたスリープバタフライの粉を見張りの連中撒いてもらう。

 後は見張りがダウンしたところで突入と行こうか。




 それから数分、ヴェルグからの合図を確認していざ突入!

 一気に門をこじ開けるために手をかざして強めの呪文を一発門へ打ち込んだ。


「我が内なる竜の息吹よ、我が魔力と交わりて全てを焼きつくす業火となせ!」

これは俺の魔法にブレスの力を上乗せして放つ、ブレスを扱える者だけが使える竜魔法(ドラゴニックスペル)


 これには二通りあって、魔法にブレスを乗せる方法と、ブレスに魔法を乗せる方法がある。

 違いは単純、前者は魔法にブレスの威力を上乗せする方法、後者はブレスに魔法の力を上乗せる、つまり口から出したブレスに唱えた魔法の効果が乗るのだ。


 魔法として唱えたなら手の先などに現れるが、ブレスとして唱えたのなら口から吐き出すことになる。

 口から出した場合は射程が素晴らしく伸びるのが強みだな、さらにブレスを吐きながら向きを変えればそのまま範囲攻撃にまでなる。

 まあ、その分動きも鈍るのが欠点なんだがな。


 今回は爆裂の魔法にブレスを上乗せして発射する。

「吹き飛べ、ドラゴニックバースト!」

 掌の先から生まれた業火はブレスの力を受けてドンドン大きくなり、一定の大きさになった後ドンドン圧縮されていく。

 それは、人の大人の頭ぐらいの大きさになり、一拍置いて発射された。


 その結果、発射されたブレスの力が上乗せされた魔法はとんでもない早さを出しながら門に向かって飛んで行く。

 そして門に着弾した瞬間、ドゴォォォォン!っと大きな音を立てて門を木っ端微塵に吹き飛ばしたのであった!


そして爆発による粉塵も収まらぬ内に突撃していったのだ。




 そして門を抜けた先では混乱のまっただ中であったのだ。


 門の付近にいた連中は吹っ飛んで気絶ないしは戦闘不能、または足元がおぼつかない様子だった。


「な、なんだ、何が起こったんだ!」

「いてぇ…いてぇぇよぉぉぉ…」「しっかりしろぉぉぉ!」

「誰か!ポーション!ポーションをぉぉぉぉ!」


「生きてる奴は全員ひっ捕らえろ!」

「うぉぉぉぉぉ!!」

 号令を掛け、そこらに転がってる連中を捉えてもらっていると。


「貴様か…俺の砦にこんなことしたやつぁぁぁぁぁぁ!」

 そこには黒い長衣を纏った、目つきの怪しい厳つい男がいた。

 黒衣をまとっていることを除けば山賊の親分と言ったとこか…だがなんでこんな奴が率いてる山賊団程度で高ランクの依頼とかありえんぞ…となると何かタネがあるのか…。


「ぶっころしてやらぁぁぁぁ、ひゃっはぁぁぁぁ!現われろ魔界の番犬よぉぉぉ!」

 すると奴の足元から巨大な魔法陣が展開されていく。


「召喚魔法!?なんであんな奴が使えるんだ!?」

 なるほど、高ランクになったタネはこれか、だがこの程度のやつが呼べるなんてせいぜい低級から~中位ランクがせいぜいだろう、魔界の番犬って……。


 そして、奴が魔法陣に何かをふりかけていた、あれは……供物!?だがそれでも呼び出せるものはたかが知れてるはずだぞ!?


 そしてその供物を捧げた瞬間、強い光を発すると共に膨大な魔力が溢れだした。


「な!?他の者は全員退避!でかいのが来る!」

 そう警戒を発して、他の冒険者を退避させる、一部話を聞かないバカもいるみたいだが。

 愛剣の大剣を取り出して、いくつか強化魔法を掛けながら備える。


 そして魔法陣から出てきたのは…三つ首の持つ大きな犬だった。

 ちょっとまてよ、なんでこんなん呼べるんだよ!明らかに釣り合ってねぇだろうが!

 直ぐ様唱えていた呪文、爆裂魔法バーストを放つ。

 唱えた魔法は三つ首の獣、【ケルベロス】に直撃、爆炎を起こした……。そして直撃した後には……。


 無傷…とは言わないが、せいぜい毛皮を焦がした感じだろうな。

「グルル……極上な贄に呼ばれてきてみればいきなりご挨拶だな……」「ガルル、全くだ!食い殺してやる」「きゅ~ん……やだよ~帰ろうよ~」

 三つの頭がそれぞれしゃべっているな…最後のはなんか明らかに戦闘向きじゃ無さそうな性格しているが。

「さぁケルベロスよ!そこにいる愚かなトカゲを喰らってしまえ!」

 黒衣の男が命令を飛ばしているが正直こいつは戦力外だな。

 しっかしこいつには火属性系は相性が悪いな、氷や水系統は苦手なんだが……仕方ない。


「さて、久しぶりに楽しめそうだな……」

身体強化、並びに強化魔法全開で魔獣退治と洒落込むとしようか!


 そこからは久々に全力戦闘となった。

 大剣を振り上げ、切り下ろし、全力で攻撃を回避し、時に大剣の腹で魔獣のブレスをなぎ払いながら避ける。


 召喚者である黒衣の山賊の親分も、後ろから低級な魔法を打っているが正直言って戦力になっていない。

 ケルベロスも後ろがうざったそうにしている。

 だがケルベロスの方にも結構ダメージが入っているのか、動きが鈍くなり、身体の様々な箇所から血を流している。

「さて、そろそろ終いにするか!」

 大剣を構え、ケルベロスを見据える。

 だがそんな所で突然、魔獣の後ろの召喚者は狼狽え始めた。

「な!?配置しておいた使い魔がやられただと!おのれぇぇぇい!」

 だが直ぐ様怒りを露わにして砦の内部へと逃げ出した。


「あ、おい待て!…ちぃ、とっととケリつけるとするか!」

 正面に佇むケルベロスもこちらを見下ろしながら。

「グルル…逆に貴様を喰らってくれるわ!」「焼き肉にしてくれる!」「ねぇ帰ろう!帰ればまた来れるよ!ねぇ帰ろうよ!体中痛いしもうやだよ!」「「てめぇは黙ってろ!」」


 喧嘩しているのか……まあいい、一気に決めさせてもらう!


 自身の力の全てを込めた一撃をケルベロスに向けて振り下ろす!

 それに対してケルベロスも渾身の爪を持って迎え撃つ…、お互いの獲物が交差し、反対側へと抜ける。


 一瞬の静寂、そして…

「グルル…悪くない戦いだった…」

「てめぇ…次は俺らが勝つからな…」

「やだよ、もうやりたくないよ…痛いだけだし…」

「「「ガフゥ!?」」」


「こっちこそ久々にいい戦いだった、縁があったらまたやろう…ぐっ…」


 剣はケルベロスの身体を切り裂き、ケルベロスの爪は俺の鱗を切り裂き、肩に裂傷を負わせた。

(ぐっ……、確かにこれだとそこらの騎士じゃ死体を量産するようなもんだ……)

 肩の傷を抑えながら、懐から怪我の治療に特化したハイポーションを取り出した。

 親指で蓋を押し外して半分飲む、そして残りを傷口にぶっかける。


 さすが魔獣の一撃、ダメージもでかいが治りも遅い…、まったく面倒なことを。


「親父!無事か!」


 内部の制圧に出ていたヴェルグがやってきた、中は大丈夫なのか?


「ヴェルグ、中の制圧はどうなった?」

「そっちは大丈夫だ。親父がドンパチしていた間に予定通りに砦外に待機していた連中を上から運び込んだ。

お陰で内部の制圧かなり楽に済んだぜ。ガキ共も一人をのぞいて無事だ」

「一人をのぞいて?」


 何があったのかジーっと見つめる。


「いや、そいつ以外は全員同じ部屋に押し込められてたから楽だったんだが、そいつだけ逃げ出してたんだよ。多分別の所に捕まってたんだと思う」

「見かけたならなんで連れて来なかった?」

「いや~、それがな~…見つけた時にはインプと交戦しててよ、危なくなったら出ていこうかと思ったんが……、出て行くタイミング逃してちまって……」


 それからヴェルグから事の説明を聞いていると、明らかにおかしいのがわかる。

 隷属の首輪つけながら自分の意思で動いてる? 5歳の子供がインプを単独で討伐!?

 しかも戦闘開始前に何もない所から鉈を取り出した!?

 しかもその後目の前の盗賊のお宝見て「……だめだ、たしかこういうのは討伐者のものだから僕が持ちだしたらアウトだ……」


 などと言ってお宝に手を付けないって、素直ないい子と言えばいいのか、欲に対してしっかり自制できる子と取ればいいのか……。

 いまどきいないぞ、そんな昔ながらのルールをちゃんと守ってる奴は……最初に見つけた奴がこっそり一部持ってくことなんてよくある事だが……、まあバレたらその後殴られるだろうがな。

 気に入った!もしそいつがあいつからの頼まれた子だったら俺が引き取るのも面白いな。


 その後ヴェルグの説明を聞く限りだと、さらに驚くことになった。


「は?隠し通路見つけてそこから逃げ出した!?」

「ああ、その後山賊親分が来て捕まえ損ねちまった……」

「お前ならそいつら倒して追うこともできただろう?」

「いや~、あまりのことにちょっと唖然としちまってな……」


 目を泳がせながら言ってるがまぁ……後でお仕置きだな。


「とっとと助けに行って来い! こっちも少ししたら追いかける。方角はわかっているな」

「ああ、あっちの方だな…んじゃちょっと行ってくる!」


 そう言ってヴェルグを先行させて、こっちはこっちで先にやることやっておかないとな。


「俺はこれから逃げた頭目を追いかける。ここにいる者達は捕まっている者達や山賊たちの拘束は任せたぞ!」


 そこには「おう!」っと返事をするものもいれば首をブンブン上下させているもの、腰が抜けて動けないものもいたが……まあ大丈夫だろう。

 念のため用意しておいたポーションを置いてから俺も翼を出して空へと羽ばたいた。


 そこからはまああっという間だったな、ヴェルグに追いついた時にはもう逃げていた子供を救出した後だった。

 俺は奴らの手前で下りて背後から接近、手下どもをまとめて薙ぎ払う。


「ふん、この程度か!さっきのワンコの方がよっぽど手応えあったな!さぁ、おとなしくお縄につくがいい!」

「だ、誰が捕まるもんか!てめらまとめて片付けてやる!」


 性懲りもなく魔法陣を展開しようとしていた頭目を切り捨てる。


「…わざわざ待つバカがどこに居る」


 その後はまあ事後処理は大変そうだったな…捕まえた奴らに救出した者達、合わせて5~60人……、もう少し冒険者連れてくるんだったな。


 子供の方はかなりボロボロだった、足の怪我もひどいが疲労困憊、顔色もかなり悪い……。

 急いでポーションを飲ませたが、これは急いで施療院に連れて行ったほうがいいだろう。


 その後もまあ色々あったが、概ね何とかなった。

 ヴェルグ例の子を押し倒したり、院長にどつかれたり、病院から抜けだして買い物に連れ出したり……。

 あの子を家で引き取る話をしたらあいつ、どう言うわけかかなり嬉しそうだったのが印象的だったな。

 なに?そんなに兄弟が欲しかったのか?


 その後も色々大変だったがまあ概ね何とか収まるとこに収まってよかったよかった。

 それにしても良い抱き心地をしていたな、思わず手を出してしまった……。

 しかしガルドパパか、言ってもらうとなんだか嬉しい感じがするな……、つい長々と抱きしめてしまった。


 それにしてもまさかあんな子供に朝食を作ってもらえるとは思わなんだ。

 スープはうまいし、見たこともない調理法。

 俺が作ろうかとも思ったがこれなら任せても大丈夫そうか?

 しかしなんであの領主まで一緒に朝食取ってるんだよ……。


 その後はあの子を連れて俺達の、そしてこれからあの子も住むことになる家へと連れて行くことにした。

 一名余計なのも混じっているが。


 その後も紅茶を入れようとしたら俺の魔法に興味津々に見ていた、しかも説明を聞いてすぐさま理解したのかそこから俺にはない発想でビックリさせられた!

 そうだよな、中の熱を抜いて外の熱を集めているなら逃した熱を別の物に入れることも可能だよな!

 この方法ならちょっと氷属性が使えれば簡単に氷を作ることも可能かもしれない

 その後も紅茶を入れたそうにしてるからやらしてみたがこれまた良い紅茶を入れてくれた。

 正直入れ方なんぞ気にしていなかったが、こうまで変わるのかと関心したものだ。

 

 その後は紅茶を飲みながらこの森の説明をしようとしたら爺が現れた。

 この爺さん、この迷いの森の管理人でもあるエルダートレントの思念体なんだが、いかんせん性格が悪いところがあるんだよな……。

 ヴェルグも昔色々いじられていたな。


 ちなみにこの迷いの森へは、当時まだ冒険者だったあいつと一緒の時に来たんだったな。

 最初、俺はソロで探索しようとしてたんだが、どっからともなくあいつがついてきてな……、此処に行き着くまでかなり大変な目にあった、正直しなくていい苦労も多かったぞ……。


 まあその辺は置いといて、爺さんの説明の後にヴェルグが前に話していた、どこからとも無く鉈を取り出した話になった。


 慌てず騒がずスッと逃げようとしたみたいだがすぐさま捕獲し、片腕を掴んで俺の膝の上で抱くようにして拘束した。


 その後は意を決したのか、コインがないか聞いてきた、たしか銀貨が一枚服の中にあったはずだ。

 そして銀貨を受け取るとそれを指で弾いて頭上に打ち上げた。

 コイントスか……話すかどうかをそれで決めるつもりか!まあヴェルグは急ぎ過ぎではあるが俺も気にはなっていたからな。

 この際話してくれたら嬉しいが……、はてさて運命の女神とやらはどうするのか。


 そして出た目は、女性の顔が掘られた面だった。

 するとあの子はため息を付いてから、「はぁ、じゃあ、説明するね……」

そう言った後何やら姿が変わり始める……人化か?それがなんのせつめ……い……に……。

「えっと……こういうことなんだけど…とりあえず、不束者ですがよろしくおねがいします?」


 息子はいきなり娘に変わっていた……。

 これに驚かない奴はとりあえず俺を含めてこの部屋の中にはいなかった……。



 


ふと気がつけば一人称俺が3人…バラけさせなきゃ、女の子出さなきゃ…。


それと、今までの話を改稿とか修正とかしてみましたが、どうなんでしょうね?

小説書く時の礼儀とかを読んで直してみたんですが。



 ※没ネタ 話のラストで主人公が女の子になったときの反応


 息子はいきなり娘に変わっていた……。

 これに驚かない奴はとりあえず俺を含めてこの部屋の中にはいなかった……。

 むしろこれに驚かない奴がいたら、未来人だろうが異世界人だろうが超能力者でもなんでもいいから俺の前に来い!


 なんてパロネタぶっこもうか考えてもいましたがさすがにやめました。


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