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迷いの森の洋館、そして不束者ですがよろしくおねがいします?

ブックマーク件数100件突破ありがとうございます!


なんとか一日一更新間に合った!


 迷いの森の洋館



 その建物は森のなかにぽっかり空いた空間に建てられていました。

広い敷地に、湖があり、洋館風の建物にはいろんな植物や木が絡みついてちょっと幻想的な雰囲気がある。


 けど一番特徴的なのはその後ろにある大きな大樹です。

 横幅で100メートルはありそうな巨大な木、2階建ての館がすごく小さく見えてきます。


「ようこそ我が家へ」

「ここがガルドパパのお家?」

「……ここは、一体」


 ベアパパもさすがにこの状況に飲まれているみたいです。家の近くにこんな場所はなかったはずなんですが……。


「ここは迷いの森の中心部、妖精樹とも呼ばれるエルダートレントが管理している場所だ」

「迷いの森ってあの昔話の?それにトレントって…」

 魔物のって聞こうとしたらあの大樹の方から声が聞こえてきた。


「あんなちゃちな紛いもんと一緒にせんでほしいのう、儂は魔物とは違って1000年以上生きた古代樹、いわば精霊じゃ!なんじゃ?見かけん顔がおるの?」


 しゃ・・・しゃべったあぁぁぁぁぁ!?

 今思いっきり大樹から声がしたよ!?


「俺の新しい家族だ、後、その引取元っていうか、あの馬鹿ベアードの孫だな。」

「なんじゃ新しい子共か、にしてもヴェル坊の頃よりちっさいの……」

「ま、そんなわけだからよろしく頼む」

「了解じゃわい、まぁお前さんが此処に連れてきたわけじゃから悪いやつではないじゃろうからな」


 森のなかにふぉっふぉっふぉっと声が木霊していた。


 それから洋館の中に入って行くと、結構しっかりした作りだった。

 玄関から先がまずホールになっていて、そこから各部屋や2階に繋がっているようです。


「ひろぉぉい!」

 思わず中心に走ってくるっと周りを見てしまった。


「それにしてもさっき言っていた迷いの森ってどういうことだ?」

 ベアパパがさっき聞き損ねたことを聞いていた。

「まあそれは茶でも飲みながらといこうか、そこが食堂だから先に座って待っててくれ」

「あ、僕も行くよ、此処にも住むなら何があるか知っておきたいし」

 っと、お茶を入れに行ったガルドパパについていった。



 キッチンにつくとそこは結構しっかりした作りだった。


 調理器具も種類があって、結構使いやすそうである。

 竈も3つぐらいあってありがたい感じ、後は石窯があれば……耐熱レンガができれば作ってみたいな。


 そしてガルドパパが魔法でお湯を沸かす。

 けどその際に火を使わずにやかんの水を沸かしていたのだ。

(これはあれかな?魔法で熱だけを生み出したとか?)

 興味津々にガルドパパに駆け寄り聞いてみた。


「ねぇガルドパパ、どうやって火も使わずにお湯を沸かしてるの?」

「これか?これは魔法でやかんの中の水から熱を移動させて外から熱を集めて沸かしているんだ」

 なんとなくイメージできる、けどそれって……思わず身を乗り出して聞いてしまった。

「それって魔法使える人ならだれでもできるの?」

 それに対してはガルドさんが首を振る。

「いや、こいつは魔力操作がしっかりできないと難しいな、それにそこらの魔法使いだとこう言う発想が無いんだよな……」

 どうやら一般的じゃあ無いみたいだ……けどこれできたら薪代とかが浮くな……魔力操作がんばろっと。

 しかし魔法で熱量を操作できるってのは面白いな、となるとそれならば……。

 ふと思いついたことを口にしていた。


「じゃあ、やかんを2つ用意して片方に熱をいれて、もう片方に移動させた熱をいれたら冷たい水ができるかも?」

 それをいった瞬間ガルドさんがぽかーんとしていた。

その後すぐに「その発想はなかった…そうだな、抜いた熱も利用すればお湯と氷も作れるかもしれんな!俺は氷系等苦手だったからそこには行き着かなかったな……、俺も修行が足りん」


苦手なんだ、ってか氷属性あるんだ……。


そこからガルドパパがお茶を入れようとしていたけどちょっと手を出してしまった。

「ガルドパパ、僕が入れるよ!」

「熱いから危ないぞ?」

「大丈夫大丈夫、身体強化は使うから!」

 そう言ってやかんを受け取りティーポットに紅茶を入れはじめたのだった。

 温度は良かったんだけど、蒸らしとか…お湯を注ぐ時に高さを出して酸素を混ぜるなど、ちょっとゴールデンルールを思い出しながら入れてみたのだ。




 その後食堂に紅茶を持っていったんだけど……。

「いい香りだな…味も悪くない、どこの紅茶だ?」

「いんや、銘はないそこらに売ってる普通の紅茶のはずなんだが……」

「うまいんだからいいじゃねぇか!紅茶はあんまり好きじゃなかったんだが、こいつは気に入った!」


 反応は悪くない感じでよしよし、基本って大事だよね…地球の紅茶の入れ方が問題なくてよかった。


「さて、さっきの話だがここは迷いの森、その中心部に位置する場所だ」

 ガルドさんはそう言って説明を始めた。

「この森はあの大樹であり精霊でもあるウィロウ爺さんが管理している場所でな、俺はそこに許しをもらって家を置かせてもらってる。そして迷いの森ってのはいつどこに現れるかは基本的にわからないものなんだ」


(それだと簡単に帰れないんじゃ……)

 そう考えた所にさっきのヴェルグさんの「あれは鍵さ」「音を出して扉を開けてもらうためのな」っと言っていたことを思い出す。


 つまりあのベルを鳴らしてここへの扉を開いていたってことかな?


「昔っから森の中にいて急に周りを霧に包まれたらその場を動くな、動けば帰れなくなるぞ!ってあるだろう、あれはその場を動いて迷いの森の転移に巻き込まれた奴の話が元になってるのさ」

「昔婆様にきいたな、森に入って霧に包まれたら動くな!晴れるまでその場でじっとしていないと精霊に連れ去られるぞ!って」

「リーシャさんに教えてもらった話にもあったよ、悪い子は森に連れて行かれて二度と家に帰れなくなりますよ~って、あれはこの森が原因なの?」


「まあそういうことだな、基本この森は一つの所に留まらないで色んな所の森をランダムに移動している、さっきの巻き込まれた奴はその移動に巻き込まれて引っ付いていってしまったんだな、じっとしていれば巻き込まれないで済むんだが……」


「てことは、あの話はそうならないように考えられた一種の戒めなのか」

「まぁそういうことだな、ついでに迷いの森自体はウィロウの爺さんが言うには」

 ヴェルグ兄様が説明しようとしたら後ろからいきなり声がしてきた。

「迷いの森は一種の亜空間にあってじゃな、儂の魔力で空間をねじ曲げて存在しておるんじゃよ」


 突然現れたじいちゃん言葉の少年が説明を続ける、ちょっと光ってますけど。

「この森は世界から浮いていてな…基本雲のように気ままに移動しておる、言ってしまえば湖に浮かぶ小舟じゃな、水の流れに身を任せどこにたどり着くかわからぬ小舟じゃ、世界という海に漂う浮島と言ってもいいじゃろうのう」


 そして僕の紅茶を飲んで説明を続ける……僕の紅茶。

「ん?この紅茶はいつものと違うの……、じゃがそんな小舟を唯一呼べるのがガルド坊の持つベルじゃな、あれを森の中で鳴らせば森が現れ、儂が認めたか認められた者が連れてきた者にのみ、ここへの道が開かれるわけじゃ……、まあ何にでも例外や偶然ここに辿り着くようなものもおるがな」


「えっと……この子は?」

 とりあえずガルドさん達に聞いてみたら。

「騙されるなよ、精霊に見た目なんてあってないようなもんなんだから」

「ウィロウ爺さんってのも最初に出会った時がたまたま爺さんの見た目をしていたからだったし、確かその後はきれいな姉さんの格好だったりとか多岐にわたっていたしな」

 するとウィロウ爺さんの見た目が金髪のでセミロングの少女へと変身していた。


「釣れないのう…せっかく久々の客じゃというのに…少しは儂を楽しませてくれんかのう?」

「昔散々遊ばれたからな…せっかく出来た大切な弟をおもちゃにされてたまるかってんだ!」

 ちょっと、ヴェルグさんに感謝しながら聞いてみた。

「じゃあ僕の場合はウィロウお姉ちゃんになるのかな?」

「なんじゃろうのう?なんかこの子に言われると何かいけない気分になってしまいそうじゃ……じぃじでいいからの」

そう言ってお爺ちゃんの姿になりがら言ってきた。

一体どんないけない気分になっていたのかは聞かないでおこう。


「それにしてもガルド坊、この子からは妙な力を感じるのう。ヴェル坊とはまた違った感じじゃが」

 っと、何やらウィロウじぃじが僕の頭をぽんぽんと叩きながら言ってきた。


「そう言えば、前に砦で見かけた時もどこからか鉈を出してたな~」

「ちょっ、ヴェルグにぃ様!?それは内緒って話じゃ?」

「ん?俺は無理に聞いたりしないって言ったはずだぜ…」

いたずらに成功した悪ガキスマイルでニヤニヤしてらっしゃる……こんにゃろう。


「そういえばヴェルグからそんな報告聞いてたな……」

「・・・・」

無言ですっと逃げ出そうとしたら、逃げ出す前にガルドさんに捕まり膝の上に乗せられました。


「えっと、その……」

「さて、ここなら部外者はいないし、秘密が漏れることもない、そうだう?」

ベア様やウィロウじぃじ、ヴェルグ兄様も頷いている…。

うん、じぃ~っとヴェルグ兄様を見つめています


「いや、そんな目で見るなよ、俺だってほんとに言っていいことと言っちゃいけないことぐらいはわかってるつもりだぜ!それにお前さん、俺がここで言わなきゃずっと黙ってそうだからな…、お前さんを守る家族として知っておきたいってのもある!」

…うん、ちゃんと考えてくれてるんだな…。

「んで、本音は?」

「本音もなにも今のが本音だ……、ちょっとだけ気になるってのはあるかもしれねぇけど」


う~ん……確かにそういうのを言わないでいるのって、結果的に行動範囲狭めることあるんだよね。


ガルドさん達は信じているんだけど……う~ん、こういう時は運命に委ねるかな。

「ガルドさん、コインある?銅貨とか」

「ん、ああ、確か銀貨が一枚……、ああ、あったあった、ほれ」

 コインを受け取り表と裏を見てみる、そこには男と女の顔が表と裏でそれぞれ掘られていた。


 これ何の皮肉なんだろうね……、まあいいか、全ては運命に委ねてみましょう。

 女だったら説明、男だったらしらばっくれましょう……しらばっくれられるかな?まあ、転生云々は黙ってましょう……。


 キーンっと高い金属音を立てながら銀貨が中を舞う、裏か表か……男か女か……。


銀貨は空中を舞って、頂点から手元に落下してくる、さて……運命の女神の選択や……いかに!


パンっと手の甲に落ちたそれは…ゆっくりと手の甲にかぶせていた手をどけていく……そこには……。







             女性の顔があった。





「はぁ、じゃあ、説明するね……」


 そしてデュアルボディを使用すると、ガルドさんのお膝元で身体が入れ替わる。


「えっと、こういうことなんだけど……とりあえず、不束者ですがよろしくおねがいします?」


 そこにはアゴが外れんばかりに口を開けた人達の姿が……。


 まあ、そんなこんなで僕の新たな日常が始まったのだった。


 他のスキルの説明しても大丈夫なのかな……。




今回を持って幼年編を区切りにします!

次回からは少年少女編へと移行します。


ただ、少し書き溜めるため一日一更新がしばらく止まる可能性もありますのでご了承ください。


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