誘われちゃいました、そして初めての買い物と空の旅
前編後編に分けようかと思ったんですが、切りどころがなかなか…なのでまとめて。
大体1話どのぐらいの文字数が見る側としてはちょうどいいんですかね?
※8月10日 誤字を修正、そして一回書いた所がブラウザクラッシュで消えた書き損ねを加筆しました。
※9月28日 誤字を訂正。
イーグル→ヴェルグ イーグルはヴェルグのキャラ設定における最初に考えた名前でした。
そこから色々あって今のヴェルグに落ち着きました。
誘われちゃいました、そして初めての買い物と空の旅
は~い皆さんこんにちは~。
あれから二日、現在クーゲル領へ向けて旅をしております。
そういえばすっかり忘れてたけど、あの日からざっと20日ぐらい経ってるんですよね。
現在は陸路を馬車でのんびり移動する日々。
はい、そんな感じになると予想してました……。でも現実は違いました。
「うわたっか~い!」「街があんなにちっちゃく見えるよ~!」「はやいはや~い!」「見て!雲が近いよ~!」「あ、雲に手が届いた~!」
はい、まさかの空の旅です。ファンタジーってすごい……。
話は遡ること二日前、ヴェルグさんが天井に頭を突っ込んだところまで、遡ります。
「家のバカがすまんな。病み上がりの所悪いが、お前さんがどこから来たか確認させてくれ」
「えっと、はい……」
というわけでここまでの経緯を話せる部分で斯く斯く然々と説明していく。
「ふむ、シールダーのクーゲル領か。ここからならまだ近い方か……」
それからは他愛のない世間話をしながら、最後にこう言った。
「お前さんはこれからどうするのだ?」
「どうするって?」
「そりゃお前さん、帰るか、帰らないかだ」
確かに、ちょっと帰りづらいんだよね。
長男さんも返って来たっぽいし。
そうなると、スペアであった僕の出番もないわけで……。
けどここまで育ててもらった恩もあるし、どうしたものか。
「まあ、悩むぐらいなら一度、その辺を話し合ったらどうだ?」
提案を受けたけどそんな所に「ってぇぇ!何しやがるこのバカ親父!」
天井からぶら下がっていた、ヴェルグさんが復活した!
「馬鹿はそっちだ! 病み上がりの子供を何しようとしてた! このバカ息子!」
「事情確認してただけだバカ親父!」
目の前で始まるプチ口論。だけどほんの少しの違和感を感じていた。
「あ、あのお二人共れれれ、冷静に!?」
それにあたふたするしかない僕。
するとヴェルグさんがぼくにこう言ったのだ。
「あ、話は聞いてたから言っとくぞ。もし帰らないって言うなら家に来い!」
「はえっ!?」
「お前は何勝手に決めてんだ! このバカ息子!」
「いいじゃねぇか、親父だってこいつの事気に入ったんだろうが!」
「それとこれとは話が別だ!」
この後、騒ぎを聞きつけた院長らしき人がアッパーをかまして止めるまで続きました。
まさか二人共天井に突き刺さるとは。……院長何者?
そして翌日には、どういう訳か胃も回復し、朝食をしっかり食べれる様になっていました。
聞いた所によると、なんでもスープにポーションを混ぜることで、回復を早めていたとか。
そして体調もだいぶ持ち直したところで、ヴェルグさんが挨拶に来てくれました。
「冒険者ギルドを介してお前さん達を護衛する依頼が入った。そんで俺達はお前さん達、クーゲル領担当になったからよろしくな」
「わ、わかりました」
いきなりでちょっと圧倒されましたが、そこからさらにこんなことがありました。
「んで、これがお前さんの分前な!」
なにやらじゃらじゃらする革袋を、ヴェルグさんは笑顔で渡してきました。
「……わけまえ?」
中を見るとそこには銅貨、大銅貨や十数枚の銀貨、そして一枚金貨が見えました。
「お前さんが奴らを引きつけてくれたおかげで、内部の制圧が容易済んだんだよ。それに加えて、捕まっていた連中が人質にもされずに、すんなり救出できたのは、お前さんのおかげでもある。
だからそれは、お前さんのもらうべき分け前だよ」
「えっと、それは……」
「それに、お前さんのおかげであいつを逃さないですんだしな!
気にせずもらっとけ!」
そう笑いながら押し付けてくるヴェルグさん。
ここは大人しく好意に甘えて受け取っちゃいましょう。
なんでもこの報酬にはあの山賊の首領の討伐報酬の一部も含まれてるとか。
けどヴェルグさんの話はそれだけで終わらなかった。
「そういえば体調はもうだいぶ回復したみたいだな…よし、街の中見て回ろうぜ!」
「えっ?」
「それにそんなにあっても向こうじゃ使い切れないだろ、それにここなら向こうで売ってない物が色々売ってるぜ!」
「えっ、ちょっ!」
「ほらほら、出発は明日なんだから色々必要な物も買っていかないとな!」
ヴェルグさんはそう言って僕を外に引っ張っていってくれました。
「わかりましたからそんなに引っ張らないで~!」
それからしばらくヴェルクさんに連れ回されて街の中を見て回ることになりました。
ちなみに現在僕達がいる国は、シールダー王国と国境を接する国で、南東に位置する【シェルフィン王国】。
そしてここは、シェルフィン王国にある街【街道都市オスター】
シェルフィン王国は、地図で見ると貝に似た形をした国で、シールダーと同じく海に面した国。
この街道都市オスカーは、いくつか有る王都と港町をつなぐ街道上に存在する街。
おかげでクーゲル領とちがって、かなり発展した街である。
ちなみにシールダー王国も海に面しているのだが、港町は意外と少ないのだ。
その理由が地理に有る。
シールダー王国は盾の形をしているが、海側は険しい山がいくつも存在し、港町をなかなか作れないのだ。
作れるのは、山脈と山脈の間にある山脈の切れ目だけなのである。
そしてその山脈はこう言われている。
【スパイクシールド山脈】と。
そして実はこのスパイクシールド山脈、その反対側にもあったりするのだ。
クーゲル領もその山脈に外側との交易が阻まれているため、交易路からは遠ざかっているのだ。
おかげで領自体は、基本的に自給自足する部分が強くなってしまう。
発展させるためにはなにかしら特産品でもないと厳しいだろうな……、ある意味では騎士が特産品かもしれないけど。
なのでシールダー王国は基本、陸路となると北か南側の2択になるのである。
余談だがあの違法商人は山脈のどこかに有るとされている抜け道を通ってこっちに渡ったのかもしれない。
話し戻しまして、あれからヴェルグさんに連れ回されて色んな所を回ったんだけど、なんでだろう? すごく楽しかった。
服屋に金物屋、八百屋に市場と街の色んな所へ。
そして八百屋に行った時に、面白いそうなものを見つけてしまった。
ちょうどその時は鑑定を使いながらいろいろな品物を見ていたんだけど、その時に見つけたのだ。
【ミニギャロ】
【ギャロと呼ばれる野菜の変異種で、どちらも主に根っこの部分が食用として食べられる。
変異種であるミニギャロは、日持ちする代わりにあまり美味しくないとサれている。
それゆえに非常食とされていることも多い。
変異種の特性として陽の光を浴びて栄養を蓄え、それを糖分に変えて根っこに蓄える性質がある。】
色とかはニンジンに近いけど、ニンジンとカブを足して2で割ったような形をしているのが特徴的だった。
これはあれか? あれがつくれるってゆうのか!?
とりあえず、怪しまれないようにして、他の日持ちしそうな野菜と一緒に購入しよう!
「すいませ~ん! 明日ここを立つんですけど、日持ちのするお野菜ってありますか?」
「いらっしゃい! 日持ちする野菜ね~、それならこれとこれと、これなんかが日持ちするな」
教えてもらった野菜の中にはミニギャロもあったが、他の野菜も玉ねぎに似たのやらじゃがいもに似たのもあった。
「じゃあそれを各7個ずつください!」
「結構買うね!? お使いか何かかい? けどこいつも買うのか?
いっちゃなんだがあんまり美味しくないぞ。
まあ日持ちするから置いてるんだが、あんまり人気なくてね」
「う~ん……でも背に腹は買えられないし、お願いします!」
「じゃあ銅貨30枚な!」
「じゃあ大銅貨3枚でお願いします」
そして皮袋から大銅貨3枚を取り出し支払う。
「ん、毎度あり~!ミニギャロはいくらか、おまけしてやろう」
「いいんですか?」
「どうせそんなにうれねぇんだ! 構わねぇよ」
「ありがとうございます!」
そうして麻袋に詰められた野菜を受け取った。
ちなみにこの世界の硬貨だが、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、星金貨とよばれるのが存在している。
そしてその5種に小中大が存在し、銅貨で例えると、小銅貨10枚で銅貨1枚、銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で銀貨1枚になる。
ちなみにパン一個の値段が大体銅貨3枚ぐらいになる。
そして一般家庭における父親の収入が一日で銀貨1~2枚前後らしいので5人家族で一日の食費が銅貨60枚前後かかる模様。
以上、ちょっとした世界観の説明でした。
「・・・・ぷっ」
お店を出た後、なぜかヴェルグさんが背後で笑いをこらえようとしていた。
「どうしたんですか?」
「いやなに、こっちの話だ、それにしてもちょっとふっかけられてたな。」
「そうなんですか?」
「ああ、銅貨5枚分ぐらいな、一応おまけの分で多少適正になったがな」
「買い物するの初めてで……。それにこの辺の物価も知りませんでしたから。
でもまだ良心的な店だったんですね」
「まあそうだな、あまりにもふっかけられるようだったら止めるつもりだったけどこれも勉強だな」
「あ、ありがとうございます」
その後も街を周り、少し服を買ったり、布や糸、裁縫用の針、それに小麦粉や塩、そして革製の鞄などを買っていく。
特にお塩はちょっと沢山買ってしまった。
布の中には濾し布を数枚購入してみた、ポーション作り以外にも色々使えそうだしね。
後は植物の種も少々、ミニギャロの種も当然購入。
あと驚いたのは海苔も売ってあったこと、今回は購入を見送ったけど、乾燥させたワカメも捨て値同然の値段で売ってあったので幾らか購入した。
なんでもこの辺ではお湯で戻してサラダに入れるんだとか。
買い物が終わったら銀貨が残り10枚ぐらいに減ってたのはビックリである。
いくつかの荷物はヴェルグさんに持ってもらったため、果物とか飲み物を奢らされたまあ当然だよね……。
リンゴっぽい果実、【プアの実】があったのでそれもいくつか購入。
袋の中にいれて2~3個こっそり亜空間倉庫に収納した。
ちなみに、施療院に戻った時にヴェルグさんを待ち構えていた親父さんにどつかれたのは余談である。
そして翌朝、迎えにきたヴェルグさん達に連れられて施療院を後にした(今回の治療代はギルドが肩代わりし、後で国に請求だとか)。
そして街の出口に馬車が用意されていたのだけど……。
「あれ?ヴェルグさん、馬はどうしたんです?」
馬車には馬が繋がれていなかったのだ。
「それはお楽しみだな……」
なんだか笑いをこらえてる様子。
そしてヴェルグさんの親父さんから挨拶のようだ。そういえば名前聞いてなかったな。
「さて、俺が君たちの護衛になったガルド=オルムだ、お前さん達をクーゲル領まで運ぶことになったので、よろしく!」
ガルド=オルムさん、長いのでガルドさんはかなりラフな格好でそう言った。
防具とか全然身につけてないけど護衛するのにその装備でいいのかな?
パンツとズボンだけって……。
そしてそれにもまして……。
「うわぁぁおっきい!」「ドラゴンだドラゴンだ!」「初めて見た!」「鱗かたぁぁい」「尻尾も長いね~」
子どもたちがすごいはしゃぎっぷりである、初めて見る竜人に興味津々なのか怖いもの知らずなのか。
ガルドさんに群がっていく、中にはよじ登ろうとする子まで…。
「こらよじ登るな、ほら全員馬車に乗った乗った。」
群がっていた子どもたちを次々馬車の中に入れていく、けどガルドさんは子どもたちに群がられてもあんまり嫌そうに見えなかった。
おっとと、僕も置いてかれないように馬車に乗らないと。
そして全員乗るとガルドさんが馬車を引き始めた。
「えっと、ガルドさんが引くんですか?」
「まあ途中までは引くな」
「その先はお楽しみだ」
その時の満面の笑みのヴェルグさんはまるでいたずらっ子のようでした。
その後子供達に群がられるヴェルグさんはちょっと大変そうでしたけど。
それからしばらくガルドさんが馬車を引きながら街を離れて少し広い所に出ると。
「さて、この辺でいいだろうな」
「……どうしたんです?」
ちょっと警戒心を強めながら言った。
けれどガルドさんがこちらを向いてから。
「さて、おもしろいものを見せてやろう」
なんだろう、ガルドさんも笑ってる……。
そしてガルドさんが何故か上着を脱ぎはじめてうなり始めると一瞬、ガルドさんが光る!
するとそこには文字通りドラゴンさんがいました、体長7mぐらいの……。
みんなも唖然と見つめていると。
「では、全員運ぶとしよう、間違っても馬車から落ちるなよ!ヴェルグはちゃんと見ていろよ!」
「わぁってるよ! 親父こそうっかりで馬車落とすんじゃねぇぞ!」
そしてドラゴンさんは馬車を掴むと翼を羽ばたかせて空を飛んでいきました……。
その時僕は「変身する時、毎回ズボン破いてるのかな」っと、明後日のことを考えていました。
ちなみにその後の子どもたちのはしゃぎっぷりは凄まじかったです。
そうして冒頭に戻るわけですが。
「こら、あんまり乗り出すな!落ちたらどうする」
はしゃぐ子供たちに悪戦苦闘するヴェルグさん。
多分あの時ヴェルグさんが笑ってたのって、こうゆうことだったからなのかな。
日持ちする食材買ったけど実際はガルドさんに運ばれて空の旅って、……日持ちしない海の幸とか買うんだったかな?
そして出発してから結構な距離飛んでいるおかげか、オートマッピングの地図がどんどん出来上がっていく。
ちなみに馬車が受ける風圧は、どうも風の魔法で避けてるみたいなんですよね。風の結界とかですかね?
その後の旅は順調で、8時過ぎに出発してから途中、お昼を挟んでから夕方前の4時過ぎに、クーゲル領が見えてきました。
子供たちは、自分たちが住んでいた場所を空から見下ろして、またはしゃいでいました。ヴェルグさんが諫めていますが……お疲れ様です。
途中、それに気づいたガルドさんの笑い声が聞こえたきがしました。
さて、着いたらどうしようか……。
ちなみにガルドさんは、地上に着いて直ぐに変身を解かないで、ズボンを片手に物陰で変身を解いてました。
大っきくなるって大変なんだな……。
こうして空の旅も終わり無事、クーゲル領に着いたのでした。
ユニークPVアクセス2500人突破まことにありがとうございます!
これを励みに頑張っていきますね!
ご意見ご感想、お待ちしております。