あれ? ファンタジーの世界に来たんだよね? いや、ギャグもファンタジー?
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あれ? ファンタジーの世界に来たんだよね? いや、ギャグもファンタジー?
(――知らない天井だ――)
気がついたらそこは見知らぬ場所で、朝日が差し込むベッドに寝かされてました。
「体が重い……、けど暖かい」
そう、まるで羽毛布団にくるまれたような……。
顔を横に向ければそこには、あの時助けてくれた鳥さんがいました。
うん、純度100%の羽毛だ。
胸の辺りはふかふかできもちいい。
これは顔をうずめても仕方ないよね……。
あれ?でも翼どこ行ったんだろう?
「なにやってんだ?」
「顔を埋めてるの……」
だって気持ちいいもん。
「じゃあなんで顔を埋めてるんだ?」
「暖かくて気持ちよくて、……なんでか安心する」
鳥さんはそのまましばらく少し困った顔をしながらやさしく抱きしめていてくれました。
そう、僕のお腹が鳴るまで……。
その後朝食を食べに行こうとしたら「無理するな、寝てろって」
そのままベッドに寝かされ、朝食を取ってきてくれるました。
どうも胃が弱ってるせいなのか、スープぐらいしかまともに食べられなかったのが残念だったけど意外と美味しいスープでした。
そして朝食を食べながらここまでの経緯を説明してくれた。
なんでも最近この辺で廃棄された砦を根城にしている山賊団、漆黒の悪魔の被害が多発していること。
そしてそこの首領である男が、【悪魔召喚】に手を出して、そこらの自警団や冒険者だと手が出なかったこと。
そんな時にここを通りがかった冒険者パーティー【蒼鱗の翼】に、冒険者ギルド経由で討伐依頼が入ったとの事。
そしてあの夜、討伐作戦が開始され砦を襲撃。
その際に人質の有無なんかを確認。
救出及び、内部に奇襲をかけるのが、この鳥さんの役割だったそうです。
そしてその際に、逃げ出す山賊の首領を見つけて追いかけて行ったら、僕がちょうど飛び降りた所に出くわして、あわてて救助したとの事。
そして、山賊に捕まっていた人たちは全員無事だったそうです。
ただやつれていたり、栄養失調ぎみだったりで、少し治療が必要だとか。
しばらくしたらみんな、冒険者ギルドが責任をもって故郷に帰すそうです。
ただ、今回のことはちょっとした国際問題的な部分もあるとか……。
それからあとで知ったことですが、あの流行病。
王都を中心にして各地に広がり、かなりの猛威を振るったとか。
そして王都が中心だったため早急に治療薬が開発され、国の対応が早く、かなり安い値段で販売されていたのですが、どうもそれを悪用しようとした者達がいたようです。
薬を王都で手に入れて、それを盾に田舎の地方領から人を買い上げていたそうです。
クーゲル領もその時タイミングが悪く、長男のアルトルードさんが病気を持ってきてしまう形に、そこからベアール様にも感染。
一時的に領内の機能が麻痺、すぐさまセバスさんが王都まで薬を買いに行ったそうです。
他の人も領内で病に倒れた人たちへの対応で、違法商人への対応が遅れてしまったとのこと。
まあ、話をもどして。
あの後気絶した僕をここまで運んでくれたのは、この鳥さんことヴェルグさん。
ちなみにここは宿かとおもったけど、れっきとした施療院だそうです。
他の人達もここで療養しているとか。
それから三日間、僕はずっと眠っていたそうです。
しかも救助された人たちの中では一番の重体で、途中高熱をだしてからずっと看病してくれていたみたいです。
横で寝ていたのはそのせいとか。
他の人達はこの3日で意識も取り戻し、今はご飯をしっかり食べて、帰郷に備えてるとか。
クーゲル領から連れて来られた子達も、捕まっていた間の記憶は一切無いのか。
トラウマを抱えた子はいないようで少し安心した。
……目が覚めた当初はかなり混乱したようだけど。
そりゃそうだよね。目が覚めたらいきなり全く知らないところで寝かされていたら、普通はパニックになるよね。
「さて、こんどはそっちの事情もきかせてほしいな……。
お前さん、どうやってあそこから逃げ出したんだ?」
ドキィン!っと、心臓が跳ね上がり、汗がだらだらと流れ出した気分でした。
なんとかごまかそうと「えっと、あの首輪が不良品だったからかな……」「嘘だな」
はい、あっさり否定されました。
「証拠品として押収されたあれの効果は確かだった。
実際ギルドで効果を試したからな、だからこそ言える! お前なんであれつけて動けた」
やばい、汗が止まらない。
とてもじゃないけど神様からもらった能力とか言えないし……、言ったところで信じてもらえるとは思えない。
やばい、どうしよう……。
「それにお前さん、あの鉈どこから出した?
そしてどこに閉まったんだ?」
「ふぇ!?」
気がつけば、ヴェルグさんに押し倒されてました。
「それに隠し通路もどうやってか知らないが調べる前からわかっていたみたいだからな。
いや、むしろ通路を見つけたからあの部屋を調べている感じだった」
「えっとそれは感と申しますか……」
やばい、これはあの部屋での出来事全部見られてたって事だよね。
これは、隠し通せないかな。
すっごく汗が滝の様にだらだらと流れ、心臓の鼓動がシャレにならないぐらいに速くなる。
「――ふっ、冗談だって、無理に聞いたりしねぇよ。
誰にだって秘密の一つや二つあるもんだ――」
「え?」
一瞬時が止まった気がした。
あそこまでされて冗談って…。
「しっかしお前さんあの状況でまあ律儀なもんだったな。
討伐者への報奨気にして、お宝の山に手を付けなかったみたいだし。
先についたものが少量もっていくなんて日常茶飯事なのに、気に入ったぜ!」
「え? 気にいったって…」
けどそこで扉が開かれると「病み上がりの子供に何をやっている!」
怒号とともにヴェルグさんにアッパーカットをかます、あの時の竜人さんがいました。
あわれヴェルグさんは天井に突き刺さり、ぷらーんとぶら下がっておりました。
合掌。
あれ?僕ってファンタジーの世界に来たと思ったらギャグマンガの世界だったの!?