胎動
拙い文章ですがこれからも読んでいただけると幸いです^^
三話くらいで終わらせる予定なのでよろしくお願いします
『魔法戦争』それは五年ほど前に勃発した。
『魔女』と呼ばれる者が集う魔女協会が全世界に向けて突然宣戦布告したのだ。
今現在も世界に恐怖をばらまきながら戦いは続いている。
「弾!弾薬持って来い!」
絶え間なく爆発音と銃撃音が鳴り響く最前線の塹壕に怒声が響く。
時折塹壕から顔を出して射撃を試みるが敵の弾幕が厚く、なかなか攻勢に移ることができない。
その理由として、こちらの装備が小銃や重機関銃であるのに対し、敵は土のゴーレムや骸骨兵などの魔法生物が殆どを占めており、数の上では圧倒的に皇国側が不利であった。
「クソッ!どれだけ倒しても次々に湧いてきやがる!」
主戦力が人間のため、数に限りのある皇国と違い、協会側は材料となる泥や骨片さえあればいくらでも生成でき、かつそれらは簡単に手に入るものであるため戦力差は大きくなる一方だった。
開戦当初、知能がないためただ数に任せて押し切るだけだった魔法生物群に対し、遠距離から攻撃できる皇国が優勢だったのだが、魔女達は皇国の技師が機械にプログラミングをするように、魔法生物に知能を植えつけ少量の魔力を付与した。少しの魔力と知能を持った魔法生物は、その圧倒的な数の暴力で各地の皇国軍を次々と撃破していった。
その後、協会の領地の大部分を占拠していた皇国軍は国境付近まで撤退した。
そこからずるずると戦況は泥沼化し、現在に至る。
「三番高射砲大破!」
「北側機関銃部隊壊滅!」
先程から耳に入ってくる報告の中にいい報告はひとつもなく、この戦いが苦しいものだと思い知らされる。
「やはり大佐殿には荷が重かったですかな?」
口元をだらしなく緩ませて初老の男性が作戦本部に入ってくる。
「これは少将殿、このような血生臭い前線に何か御用でも?」
沸々と湧き上がる殺意を押し殺して問いかけた。
「いやなに、二等兵から成り上がった士官殿の働きぶりを視察に、な。」
そう言うと痩せた大佐とは対照的に太った腹が大きく揺れた。
「…不快だ…。」
「何か言ったかね?」
少将の胸に付いている数々の勲章が、ランプの光を反射していやらしい光を放っている。
「いえ…私は何も…。」
「そうか、それよりどうなのだ?戦況の方は。」
「現在は不利な状況が続いておりますが新型の兵装の開発が済み次第砦まで侵攻する予定です。」
「それならばよいのだがな。まあせいぜい頑張りたまえ。」
そう言い残して少将は本部のテントを出て行った。
「クソ親父め。」
上官とはいえ嫌いな相手と話していればストレスが溜まるのは当たり前のことだ。
そこにタイミング悪く一人の技師が走り込んできた。
「大佐殿!新型兵装のテストタイプが完成しました!」
そういい技師は機械の腕のようなものを後ろの荷台から降ろした。
「大佐にはこれをつけて単騎で突撃してもらいます。」
……今何と言った?
呆然としている間に技師はてきぱきと大佐の腕に兵装をつけていく。
「あぁそれと技研から特別にもう一つ預かってますよ。」
そうして右腕右足が機械化したような状態にさせられた。
「足のパーツは運動能力の向上と小型のミサイルポッドと機関銃がついています。それと腕には12,7mm砲と近接用の高周波ブレードがあるので場合によって臨機応変に頑張ってください!それでは!」
一方的に説明してせかせかと逃げ出そうとする技師をギリギリのところで我にかえった大佐が捕まえる。
「せめてあと二人くらいは付けてくれ。」
その鬼気迫る表情に技師はコクコクと頷き、解放されるとそそくさと技研へ逃げ帰っていった。