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Muse Night   作者:
9/23

見回りとサメとポケットの中のサイコロ

今回はパロディ大暴走回。(主にサメ映画)


最近中の人のリアルあだ名が『ラン様』になりました。どうしてこうなった。

「ミューズ〜! ただいまー!」

『いや、ホント俺は人畜無害なディークでして……。まだ憑依しかしてないんですよ……』

「ミューズ!? お客さん来てんの?」

「君が、このディークの宿主だね? 俺はこういう者だ……」

「〈アルカトピア警察・特殊犯罪対策課 課長 須藤すどう史明ふみあき〉!? お偉方じゃないですか……! ミューズが何か問題起こしたんですか!?」

『その前提やめろ』


 ハルは目の前の刑事を見つめた。見た目の若々しさとは裏腹に、目元の皺はまるで幾千の修羅場を経験してきたかのような気迫を感じる。

 須藤刑事は苦笑し、ポケットの中のサイコロを転がす。

「いや、 ただのパトロールだ……」

 そう言って立ち去ろうとする刑事の背中を、ミューズは静かに呼び止める。

『須藤さん、でいいんだよな? どうやら、そうもいかないらしいぜ。ディークの気配がする!』



「あれ? おかしいな……。ソルグ、本当に居るの?」

『ええ、ラン様! 気配がそう語っております!』

「まだ発現してないのか……?」

 夜の公園に着いた少年は、俯く少女を見つける。伏し目がちな少女の姿に不審なものを覚えた彼は、意を決して話しかける。

「あの、大丈夫……?」

「あなた、ハルちゃんって知ってる? 私の掛け替えのない親友よ。会った事あるでしょ?知ってるよねぇ……!? 知ってるはずよ!! 私ハ理解わかッテルノ……!!」

『ラン様、ディークの気配が近くに!?』


グォォォ……




『ディークの気配が……二つある!? 一つは微弱だけど……』

「もしかして、緑の子が仕留めたの!?」

『いや、逆っぽいッ……!』


 気配を頼りにたどり着いた公園でハルが見たものは、腹部から血を流し倒れたディークノアと、それを見つめ微笑む少女である。

「えっ、ユウ……? なんでここに!?」

「安心して! ハルちゃんをたぶらかす邪魔者は私がやっつけたから!」

「ねぇ、何言ってんのユウ……?」

「コイツのせいで、ハルちゃんが安眠できなかったんだよね!? ねぇ、褒めてよー!」

「ユウ、アンタおかしいよ。こんな事して……!」

 返り血に濡れて近づいてくるユウに、ハルは思わず拒絶の感情を示してしまう。

「なんで褒メテくレナいの!? ハルちャんのたメにヤッたのニ……。もシカシて、ワタシ嫌わレたの……? ソんなのイヤ! キラワレタクナイ!」


 ユウが血まみれの右手を地面に付けると、そこに現れたサメのディークは囁いた。

『願いは叶ったね。契約を終了しようか……? あぁ、答え聞ける状態じゃないよね……!』


シュウン……


 青い光が少女を包み込む。


 そこに現れた怪物にハルは言葉を失う。その頭は獰猛なホオジロザメを模した青いフルフェイスメットに、身体は水や空気の抵抗を減らす流線的なフォルムのウェットスーツを装着している。


『ディークノア:タイプシャーク……。完全にメ○ールじゃんッ……!』


ザッ……


『はぁ……。身体乗っ取ればあの方の所へ行かなきゃいけないんだけど……先に倒さないと追ってくるよね? だから殺しとくね』

 サメの怪物は背ビレだけを露出させて地面に潜行し、呆然と立ち尽くすハルに向かって襲いかかる。

『姿はクラッシュなのに能力はオアシスなのかよ!』

「ミューズ、どうすればいいの……?」

『とりあえず撃て。散弾を浴びせろ』

「えっ、私の友達なんだよ!? 撃てるわけないじゃん!」

『気持ちはわかるけど、撃たなきゃ死ぬぞ?』


 サメは巨大な牙を剥き、ハルの身体に喰らいつこうとする。彼女は間一髪ブランコに飛び乗ることで、突進を回避する。


「……ッ! 危ない危ない……」

『ちょっ、音爆弾無いの!? 攻撃すら食らわせられないじゃん!』

「どうすればいいの……?」


 サメは突進の勢いでブランコの支柱に追突し、錆びた鉄塊をバリバリと喰い砕きながら再び終えた突進の準備を始める。


『アイツ……あのカラスよりも速いッ! ハル、まだウジウジ言ってんのかよ! 木の棒は用意したか? 酸素缶は? 教授の死体を囮にする準備はOK? いいか? 相手はただの陸を泳ぐサメだ! お前の友達は今は居ない! このサメは頭が二つあるわけでもないし、空を飛んで飛行機を撃墜もしない。タコと合体するわけないし、竜巻と共にNYを襲うわけない。アレを倒さなきゃお前の友達は救えないんだよ!! だから、撃て! 全力で狩れッ!』

「ユウ、絶対助けるから!」

『OK! それでいいっ!』

「ミューズ、そこでひとつ質問いいかな……?」

『このタイミングで……?』


 ハルは小石を拾い上げ、サメに向かって投げる。


ガッ!


 サメに当たった小石は血糊に変わり、怪物の鼻先に飛び散る。

「作戦成功!」

『〈血液をほかの物質に変えられるなら、物質を血液に変えることも出来る〉……! そうか、イマジネーションだよ! HBの鉛筆をベキッ!とへし折るようにできて当然と思う事で、ディークの能力は発展するッ!』


 その血はモリへと変わり、尖った切っ先が怪物の頭に突き刺さる。

『今だーッ!』

 ハルはサメから飛び散った血液を装填する。


ズガァァァン!!


「一撃で、仕留めるッ! 緋銃グリムッ!」


ドォォォン……


 爆炎とともにサメの身体は消え、そこには倒れた少女の姿があった。


『爆発オチなんてサイテー……』



「終わったか……?」

「あの、刑事さん! ユウは……どうなるんですか!?」

「そこで倒れている緑髪のディークノアは、警察で保護しよう。そこの少女に関しては……。俺は何も見ていない」

「刑事さん? ありがとうございます……!」

『ところで須藤刑事? アンタ……〈素質持ち〉か? オレが見えてるよな?』

「今捜査している事件に必要な能力なんだ……」


 朝日が昇る。刑事はサイコロを転がし、小さな微笑みとともにコートを翻した。

メ○ール:仮面ライダーオーズの敵怪人。セクシー。


クラッシュ:ジョジョ五部のスタンド使い・スクアーロのスタンド。

オアシス:ジョジョ五部のスタンド使い・セッコのスタンド。国語の教師かオメーはよォォォ!!

音爆弾:パロディ的にはMH4のザボアザギル。膨らむ。

〜の準備はOK?:元ネタはHELLSINGの死神こと、ウォルター・C・ドルネーズ。

HBの鉛筆を〜:ジョジョ三部のエンヤ婆の台詞。ややマニアック

爆発オチなんてサイテー:Fateが元ネタらしい。


S・S・T《スーパー・サメ映画オマージュ・タイム》ッ!


木の棒:サメ映画に於ける最強武器。5割の確率で勝てる。

酸素缶:〈ジョーズ〉でサメに食わせて爆破するヤツ。USJの印象が強い(関西人並感)

教授の死体:〈ジュラシック・ジョーズ〉から。イッタルデー!

頭が二つ:〈タブルヘッド・シャーク〉。クソ。

空を飛んで〜:〈メガシャーク〉シリーズ。三部作共にクソ。

タコと合体:〈シャークトパス〉シリーズ。カルト的なクソ。

竜巻と共に〜:〈シャークネード〉シリーズ。名作。


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