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プロローグ 引き籠りは魔王と対峙する

 俺の名前は箱井利男はこいとしおおっと、名前に関してはそれ以上詮索するな、わかったな?アンタッチャブルってやつだ、だから、触れるな、アーユーオーケィ?

 さて、俺は今とあるゲームをしているわけでして。

 なんの?って、そりゃ時間を持て余した天下無敵の引き籠りがやるゲームといえばロールプレイングしかないでしょう。と言っても、いつの物かもわからないような埃をかぶりまくったドでかいカセットタイプのソフトだけどな、それをまたまた懐かしさ漂いまくるドでかい本体にフーフーしてからセットして当時この手のゲームの最高峰だったであろう、珍天堂さんの努力の結晶であるコントローラーを握り、今まさに俺は悪の魔王を倒さんとしているところなのだ。

 イラストはすべてドット絵、割れまくりなBGMにも関わらず、ストーリーとか内容の方は、案外しっかりしていて、わりと難易度は高かった。これはエンディングが楽しみだ。

 そして俺の意識は再び魔王に向かう。

 コマンドを開いたままの画面を見ながらさて、どうしたものかと考えを巡らせる。とりあえず、効果のありそうな攻撃を選んでいき、数ターンが経過した。ここで、魔王の独白的な台詞が入った。

『ええい、厄介だ・・・貴様ら纏めて塵に・・・む?お前か、こいつらをここまで導いたのは・・・』

 魔王のイラストがドアップで映し出される。その目は完全に俺を見据えている。昔の物とは思えない芸の細かさに感心しつつも俺の肌は俄かに泡立っていた。興奮とも恐怖ともつかない感覚。ますます集中力が増していく中で、ドット絵の筈の魔王の輪郭が、徐々にはっきりしてきていることに気付く。

 台詞を先に送ろうと、ボタンを押したが、反応がない。イベントシーンになっていて台詞送りが自動でなされるのかもしれないと思い、そのままの画面で魔王と向き合っていると、魔王の方に動きがあった。

『沈黙は肯定。ならば話は早い、まずは貴様を片付けてやる!!』

 さっきまで音割れが酷かったゲームとは思えないほどリアルな音質で台詞が飛び出す。いや、そもそもそれがおかしい。このゲームの台詞にはアテレコなど無かったのだ。ここだけアテレコが施してあるのも違和感を覚えるし、何より、この時代のゲームにアテレコがあったのか?

 そんな疑問をすべて吹き飛ばす驚愕は次の瞬間訪れた。

 テレビ画面から、魔王がズルリと這い出て来たのだ!

「・・・うぇっ!!?」

 一泊以上の間を置いてからようやく事態に気付くが、遅すぎる。魔王の手はすぐ眼前へと迫っていて、身体を動かすことすらできずに、そのまま首を鷲掴みにされた。リアルな肉感。加えられる圧力と己に走る痛みが夢でないことを物語っていた。声が出ない、息ができない、身体が動かない。恐怖を感じるよりも前に、意識が薄れていく。コントローラーを取り落した俺は眩しすぎる白い光を見た直後、意識を失い、視界はただの黒に塗りつぶされた。


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