第七話 〜私の夢の中で何があったんだろう?〜
…あれから、二日間の空白があった。
そう、特に何もなかったの。
CHERRYは全然家に来なくて…。
正直、私はその事を忘れていた。
…明日が始業式と言う事に気を取られていたの。
「え…っと、明日はこれくらいで良いよね…。うん、忘れ物もないし!」
完璧にチェックして、私は布団の中に入った。
久しぶりに、本当に久しぶりに、夢を見た。
朝起きたら、忘れる…。そんな生半可な夢じゃなかった。
私が、小さな女の子になっている。
もしかすると、忘れていた、幼き頃の思い出かもしれない。
私は、家に帰る事が出来なくて迷子になっていた。
お母さんも、知っている近所の人も、誰一人として居なかった。
悲しくて、寂しくて、怖くて。
見知らぬ土地に迷い込んでしまい、シクシクと泣いていた…。
そんなときだった。
顔の見えない、誰かがいつからか側にいた。
〈 泣かないで…? 家まで、送るから… 〉
そんな風に、優しく話しかけてきた。
ゆっくりと手を差し伸べられた。
その手を躊躇いもなく掴むと、後ろからついていった。
暫くすると、いつもの見慣れた風景が広がってくる。
それでも、少し心配で、顔も上げずに黙って手を引かれる。
「あっ。ついた」
目の前にはいつもの私の家があった。
顔を上げて、礼を言おうとすると、もうそこに人は居なかった。
「あ、れ?」
そこで、目が覚めた。
「はぁっ……はぁ…。誰だったんだろう…?今の人…?」
何も、覚えていない。
これは、直接親に聞いた方が良いだろう。
何か、思い出せる手掛かりになるのかも知れない。
取り敢えず、下におりて、朝食を取る事にした。
「おはよー」
「おはよう」
「はよ」
様々な返答が返ってくる。
…ったく、お兄ちゃんは食べながら物を言わない事っ!
行儀悪過ぎっ!
心の中では毒づいてるけど…本当には言えない。
だって、仕返しが大人げないんだもの。
一つ目、何かしら私の弱みを使って脅す。
二つ目、親に何かしら言って私の小遣いを下げてくる。
三つ目、ストーカー行為をしてくる。
etc……。
全く、大人げないって言うより、立派な脅迫よね。これって。