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第五話 〜私の決心〜
いきなり、抱き締められた、かと思うと。
直ぐに離されて。
なんて言うか……。
《翻弄されてる》って言うか……。
……泣いているのに、気付いた。
「っっ!?どうしたの?」
〈早、く…思い出して……〉
CHERRYの綺麗な顔が。
どんどん歪んでいくのが分かった。
泣かないで欲しいのに。
泣くのを止めてはくれない。
寧ろ、私の洋服に涙の跡を付けて行く。
泣く姿が、まるで小さな子供のようで……。
「泣かないでよ。泣かないで……」
私は懸命に、CHERRYの背中をさすった。
誰よりも、儚くて。
そんな人が、私に助けを求めているようで。
でも。
こんな肝心な時に。
私は思い出せないの。
この人が望むモノを。
きっと、私は、思い出してみせる。
私は、心に決めた。