表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/15

第二章 元素(4)

「錬金術というものは、簡単に言えば元素からなるものだ。万物は元素からできており、基本的には八大元素で構成されている。最も錬金術師は全てを使いこなせるわけではない。それに精霊からの元素供給がなければ発動しない。それが錬金術だが――」


 淡々としたチョークの音が講義室に響く。

 講義室は日本にあった学校の教室のような造りになっていて、音はよく通っている。蓮都はそんな講義室でアストの講義を受けていた。

 文字がまったくわからない蓮都は暇を潰すように欠伸を噛み殺し、講義室に視線を巡らす。

 ふと、ある女生徒を発見する。


 ――――『絶対零度アブソルート・ゼロ・クイーンの女王』。


 黒と白の少女。

 窓際の席の彼女は校庭を眺め続けている。その表情は儚げ――いや、怖い。視線に気が付いた彼女は絶対零度の双眸で蓮都を射殺す。ぞくっと背中に嫌なものが走る。

 と、同時。


「セツナ・ベースレイン。いい加減にしないか。新入生を怖がらせるな」


 さすがにアストに頭は上がらないのか素直に謝る。


「……はい、すみません」


「だが、蓮都・鋼宮、貴様にも非はあるぞ。いくら彼女が美しいとはいえ、授業の最中に見惚れるのは関心しないな」


「――なっ……!」


 蓮都ではなく『絶対零度の女王』――セツナ・ベースレインが反応する。


「せっ、先生! ふざけないで下さい! 戦闘ばっかりして馬鹿になったんですか? 死にたいんですか?」


 びきびき、と彼女の周りの温度が急激に低下する。たまらず、周りの生徒は席を立ち逃げ出す。だが、怒りの矛先を向けられているアストはまったく動じていない。


「校則違反だ。中庭の掃除でもしてこい」


 瞬間、温度が正常に戻った。セツナが何をしたわけでもなかった。が、彼女ははっとすると「わかりました」と小さく言って、講義室を出る。


「蓮都・鋼宮。貴様もだ」


 とばっちりだ。くそったれ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ