第二章 元素(1)
第二章です。あまり動きのないまま進んでいます。グダグダ感が否めませんorz
それは刹那の出来事だった。
世界が火花を散らし、遅れて頭から全身に衝撃が駆け巡ったのは。悲鳴を上げる余裕もないほどの痛みに蓮都は顔を歪める。
窓を見ると暖かい日差しが差し込んでいた。小鳥の囀りが否応なく彼に朝を告げる。
寝覚めは最悪だった。バリケードもあるというのにどうすれば二段ベッドの上から落ちられるのだろうか。
ぷくと膨れた後頭部を擦りながら起き上がる。
「あー、……ん?」
ベッドを見るとスヴァルトの姿が見当たらない。あるのは付箋が貼られた分厚い本とくしゃくしゃのシーツだけだ。部屋にいる様子はない。
「まーいっか……ねむ」
洗面所に立ち、顔を洗う。蒼っぽい黒髪の寝癖を直し、歯を磨く。眠い。
朝は苦手だ。
昔からそうだった。
とにかく用意をしなければ。真新しい制服に袖を通し、食堂へ向かう。途中迷いそうになったが他の生徒たちが道標となっていた。
食堂に着くとやはり生徒で賑わっていた。蓮都は適当に朝食を確保して腹に収め、鞄を片手に寮の外に出る。
欠伸を噛み殺しつつ、向かうべき場所は職員室だったな、と歩いていく。道は石畳で、右手にはお馴染みの巨大寮、左手には階段とその先に校庭がある。正面に見える建物こそがテオフラスツス学園本校舎である。見る限り他にも建築物はあるが、恐らく初等部、中等部のものだろう。それだけの巨大さを誇っているのがテオフラスツス学園なのである。初等部と中等部、高等部の間には浅い森が存在しているという広大な敷地を持つのもテオフラスツス学園の特徴と言えるだろう。
校舎に吸い込まれていく生徒に続く蓮都。職員室の位置がわからないまま迷うのは御免なので生徒を捕まえて尋ねる。聞いた限りでは職員室は随分と分かり易い場所にあるということだった。しばらく歩くと寮で迷ったのが嘘のようにあっさりと行き着いた。蓮都は失礼しますと恐る恐る扉を横に引いた。
「ん……? あー蓮都・鋼宮だな?」
そう言ったのは総合戦闘科の教師だった。意外と若い男性。歳は対して変わらないのだろうか。全体が漆黒だった。黒髪、黒目、黒服、少し焼けた肌。服の上からでもわかる鍛え上げられた肢体。生徒の憧れの対象にありそうなそんな教師だった。
「はい」
「確認するが、元素持ちか? ……というより、その精霊石の元素か。まだわかっていないよな」
これが精霊石とわかった。つまり錬金術にも精通しているということか。
「わかってないっす」
そう言うと彼は着いて来いと職員室を出たのだった。