婚約破棄をされたら最凶聖女になった令嬢の話
「アルテシア、婚約破棄だ。私は真実の愛に目覚めたのだ!デイジーと婚約を結ぶ」
「アルテシア様、ごめんなさい」
婚約破棄をされた・・・今まで頑張っていたのに、ダグラス様の好みに合わせようと頑張っていたのに、社交界もダグラスの婚約者として頑張っていたのに・・・
全てパアだわ。
「グスン、グスン、ダグラス様、これから私はどうすれば良いのですか?」
「フン、知るか!自分で考えろ」
「まあ、アルテシア様の代わりにダグラス様をいやして差し上げますわ」
☆☆☆
もうダグラス様とは関係なくなった。お父様に報告しなければならない。やるべきことがあるが何もしたくない。心の中を虚無が襲う。
近くの女神教会に行こう。
そう言えば、女性被害者に尽力するシスター様がいると聞くわ。
そのまま向かった。
ピンクのシスター服を着られたコンラート様だわ。
「オホホホホ、良くいらしたわ」
「はい」
「当教会は女性を大事にします。女神様は女性のお姿ですわ。さあ、お悩みをお話下さい」
私はあんなにダグラスに尽くしたのに婚約破棄をされた事情を話した。
「まあ、お可哀想だわ。これはあたなは少しも悪くはございませんわ」
「本当ですか?!」
「ええ」
お父様とお母様とは違う。話を全て肯定してくれるわ。
「・・悪いのは先祖の宿業ですわ。貴女の祖先で離縁をした殿方がおりませんか?」
「そう言えば、聞いた事があります」
「それです!先祖の宿業が貴女にふりかかったのです!」
「そうなんですか?」
「宿業を浄化しなければなりません。ご本尊様を授与します」
「これは・・・」
紙だわ。見た事もない文字が描かれている。
「異世界から来られたご本尊様です。異世界、勇者様や聖女様が来られる世界ですわ。ご本尊様にお祈りを捧げなさい。『ナムミョウホウレンゲキョウ』と唱えれば功徳絶大にして恐れることはなくなります」
「分かりました。では、お心付けはおいくらかしら・・・」
「ゴホン、大銅貨五枚(五千円)頂いておりますわ」
安い。怪しい教会ではないみたいね。
「さあ、このように手を合せて、ナムミョウホウレンゲキョウと唱えるのよ。
1分間に62回唱えるものとします。それを100万遍唱えて下さいませ」
「100万回唱えたらどうなるのですか?」
「境涯があがり自分が変わり周りも変わります」
「はい、やらせて下さい!」
・・・フフフフ、私はコンラート・ボウ、かかったわ。これから大金貨二枚(二百万円)の仏壇を買わせてやるわ。
機関誌の販売や信者の獲得もやってもらうわね。
令嬢なんてチョロい、ちょっと話を親身に聞いてあげれば全て上手く行くわ・・・
☆☆☆6ヶ月後
あの令嬢の家に行く。収穫に行くのだ。
真面目に唱えたのかしら。きっと、私に依存するわよね。
屋敷に入れてもらった。
「アルテシア様の知り合いの者です」
「ヒィ、どうぞ、お入り下さい」
使用人どもは恐れているのかしら。
アルテシアの部屋に案内された。
「お嬢様、客人です」
「どうぞ・・・入って下さいませ」
「おひさりぶりね。アルテシア様、・・・えっ」
アルテシアの体は薄らと光輝いていた。何よこれ?
「コンラート様、お座り下さいませ」
「はい・・・」
「この世は。女神教会の鐘の声、諸行無常の響きあり。世界樹の花の色・・・婚約破棄する者は必衰の理ありですわ」
「アルテシア様・・・一体・・・」
何を言っているのだとは言えなかった。怖い。
「精霊様がささやくのです。前に進めと、如何なる苦難も助けると言うのです」
・・・こいつ、おかしくなったわ。でも、何故薄らと光輝いているのかしら。
まさか、本物の・・・?
その時、使用人が呼びに来たわ。
「・・・アルテシア様、ドラゴンが迎えにこられております・・」
「分かったわ。神々の戦いが最終決戦になったのね・・・恩師コンラート様もご一緒に・・」
「ヒィ、私は具合が悪くて、イタタタタ!」
するとアルテシアは額に手をかざして。
「面妖な。どこも悪くはございません。さすがコンラート様、武者震いですね」
まるで聖女のように病気を診断したわ。
ドラゴンに乗せられて、極北に向かった。
実は私は前世持ちだ。
☆☆☆コンラート回想
☆日本某所
『いいですか?ノルマではありません。幹部と相談して決めた目標です。1人五部、友に機関誌を薦めて下さい!』
『はい!白薔薇長!』
『大戦果!』
『100年に一度の法戦ですよ。世界広布はお金がかかります!』
私はある宗教団体の幹部だったわ。
しかし、100万遍の題目を唱えても光輝く人なんていなかったわ。
まさか、本物の法華経の行者・・・成仏したというの?
・・・・・・・
「コンラート様つきました。戦地ですわ。油断なされませんように」
「ヒィ!」
そこは巨人や魔物、空中をただようイカがいた。戦っている。
下には・・・・あれは勇者パーティー?魔王と四天王っぽい奴らもいる。
アルテシアは手から光線を出して、魔物を消していく。まるで聖女のように・・・・
「成物!全てはむなしく物に成れ!」
「「「「オオオオオオオーーーーー」」」」
「アルテシア!」
「さすが真の聖女!」
下から勇者と魔王の連合軍かしら拍手喝采だわ。
アルテシアと私はそのままドラゴンに乗って帰ったわ。
「はあ、はあ、はあ」
「これも全て恩師のおかげでございます」
これはヤバい奴だ。
逃げよう。
「オホホホホ、では私はこれで・・・」
仏壇を買わせようとしたが諦めるか。これは危険だわ。
「少し、お待ちを・・・」
「何?」
「奥義!師弟不二!」
と叫んで光線を私に放射したわ。
「何を・・・」
「文字通り師匠と私の思考はリンクしますわ。貧しい者を救うのです。
教義にあります。法華経の行者の進む道は諸天善神が助けるのです。無一文でも平気です」
「えっ」
帰ったら無性にため込んだ財産を寄付したくなった。
私のように似非慈善活動をしていない真の慈善活動団体に・・・
「皆様!炊き出しですよ!」
何故、こうなった。
☆☆☆二年後
俺、ダグラス。
あれから学園を卒業と当時にデイジーと結婚をした。
しかし。
ヒソヒソヒソ~
「まあ、ダグラス様とデイジー様よ」
「何というか・・・あれが化け物聖女を生み出したのね・・・」
「報復で巻き込まれても嫌だわ」
社交界で噂をされ誰も近づかない。
挨拶をしても。
「やあ、ダグラス君、ワシは用事があるから・・・」
逃げ出す。
何故だ?まるで白い目で見られているじゃーないか?
デイジーも同じ気持だ。
「ダグラス様、皆が仲間はずれにします。お茶会に呼ばれません・・・」
社交が出来ないと一気にデイジーの魅力がなくなった。
家政がまるで出来ないのだ。
「アルテシアは出来たぞ!」
「何よ!あなたがやれば良いでしょう!」
家門の財務状況は悪くなるばかりだ。
アルテシアはどこにいる。
呼び戻しても良い。
どこにいる?あれから学園にも行かず行方不明になったそうだ。
まあ、第二夫人にしてやってもいいさ。
どこにいる。しかし、すぐに分かった。
王国から調査団が来たのだ。
「ダグラス殿はアルテシア・ルーシ殿を二年前に婚約破棄をした。相違ないか?」
「はい、そうです。いったいこれは何ですか?」
「ほお、知らないのか?無理はない・・・王子殿下と新聖女アルテシア様との婚約前の調査である。知らないのか?」
「ハアアアーーーーーーー」
驚いた。何故だ?面白みのない女だった・・・
「他にも勇者、外国もアルテシア様を欲しがっている。我国も早急に囲い込むという言い方は失礼だが、そうしなければならない」
「アルテシア、何をしたのですか?」
「天空の神々から大地を守った英雄だ」
「ハアアアーーーーーー」
意味が分からない。お前が婚約破棄をさせられて、お前が活躍しているから窮地に陥っているのだ。
心の底からアルテシアに腹が立ったら・・・
「ダグラス様、おひさりぶりですね・・・」
「何だ!」
現れやがった。天井を突き抜けて来やがった。小さい雲の上に乗っている。
「何故だ!」
「キャア、アルテシア様!」
「ダグラス様、この世は全てつながっておりますわ。そして、量子論によると100万回に一回は壁を突き抜けますわ。その100万回に一回を自由に現象を出すことができます。
これすなわち久遠成仏!」
「意味分からないよ!とにかく、我が家はお前のせいで貧乏になった責任をとれ。お前が聖女ならオリハルコンぐらい出してみろよ」
「まあ、それなら、ダグラス様とデイジー様を金持ちにして差し上げますわ。
方法はどれが良いですか?
苦しいが必ず報われる方法、皆にチヤホヤされてお金がもらえる方法」
「チヤホヤに決まっているだろう」
「そうよ。アルテシア様、早くしなさいよ!」
「分かりましたわ。異世界転移!仏国日本へ!」
ピカッ!光に包まれた。
俺とデイジーは・・気がついたら異国にいた。
☆☆☆日本・テーマパーク大東京ドイッチュランド
「何だ!ここは!」
「キャア、野蛮人ばかりよ」
何だ。ここは・・・
「ちょっと、あんたら、ステージだよ。早くして」
「何だ。お前・・」
無理矢理、旅芸人のように舞台に乗せられて・・・
「はい、ドイツの貴族の紳士服とドレスを来ているお二人です。ダンスをしてもらいましょう」
パチ!パチ!パチ!
「ダグラス・・・」
「・・・仕方ない。ダンスをしよう。野蛮人どもはダンスを知らないのだ」
デイジーに何回か足を踏まれても、ドッと笑いが起きる・・・
「はい、好評だったよ。日給だよ。宿舎はここね」
「ああ・・・」
「キャアアー!お湯がでる!」
狭い部屋だが明るい。人が映る魔道具がある。
案外、快適かも・・と思う俺がいた。
最後までお読み頂き有難うございました。




