カーテンの向こう側
僕の家と小学校の間には、不思議な家が建っていた。
でも、いつからそこにあったのかわからない。
白い、二階建ての家。
屋根も壁も白いんだよ。
だけどね、ひとつだけ色のついた場所があるんだ。
その場所には、いつもピンクのカーテンがしてあった。
でも、開いていることはなかった。
やがて僕は、小学四年生になった。
その日の帰り道、僕は思いきって声をかけたんだ。
「こんにちは!」
「こんにちは。今日はいい天気ね」
返ってきたのは、とても可愛らしい声だった。
すると、ぼんやりと影が現れた。
横向きだったけど、髪が長くて、声からして女の子ということがわかった。
そしたら、カーテンの間から、白い手袋をした手が出てきたんだ。
「声をかけてくれたのは、あなたが初めてよ」
「えっ、そうなの?」
「どうか、私と友達になってくれないかしら」
「いいよ!」
そして、僕らは握手をしたんだ。
それから毎日、僕はその家に通った。
たまに、お花も持っていったんだよ。
だけど、彼女はいつも白い手袋をした手だけ出してくる。
顔を見たことは、一度もない。
だから、僕は聞いたんだ。
「なんで、いつも手だけなの?」
「えっ、ちゃんとお話ししているわよ?」
「先生が言っていたんだ。話す時は、ちゃんと目を見て話すんだよって」
「……」
突然、彼女は黙った。
静かな時間が、僕たちの間に流れる。
そして、やっと彼女が話しだした。
「私を見ても、驚かないって約束してくれる?」
「うん、約束するよ!」
すると、急に強い風が吹いたんだ。
「えっ……」
風のおかげで、ピンクのカーテンは開けられた。
そして、彼女の顔も見ることができた。
でも、僕はすぐ後悔した。
だって、彼女の顔はガイコツだったのだから。
「うっ、うわぁーっ?!」
僕は、全力でその場から逃げだした。
どうやって家まで帰ったのか、覚えていない。
だけど、はっきり聞こえた。
「うそつき」
その声はとても冷たく、僕の心に突き刺さった。
そして時は過ぎ、僕は大人になった。
家族もできて、とても幸せな日々を送っているよ。
風の噂だが、あの白い家はなくなったらしい。
「ただいまー」
「あっ、お父さんお帰りなさい!」
いつも通り、小学生の我が子が出迎えてくれる。
しかし、僕は耳を疑うこととなる。
「この近くでね、白い家にひとつだけ、ピンクのカーテンの部屋があるんだよ!」
そう、それはまさしくあの家。
その時、彼女の声が聞こえた気がした。
『うそつき……』
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