学期末式典
講堂は満席だった。
暖かい光、磨かれた木材、学術的な式典には贅沢すぎる白い花々。家族は前列に座り、濃紺のスーツ、控えめな宝飾品、訓練された笑顔を見せる。後方には学生たち、まだ「この瞬間が特別だ」と信じる、借り物の興奮に満ちた面持ちで座っていた。
アストリッドは三列目に座り、背筋を伸ばし、式次第を手のひらで押さえていた。
表紙に名前がある。優雅な文字で。
学期末式典。
名前が呼ばれるたびに、礼儀正しい拍手が響く。長いものもあれば、短いものもある。アストリッドはその違いを聞き分けられた。幼い頃から、この微妙なニュアンスを聞き続けてきたのだから。
――「アストリッド・フォン・ハルベルグ」――舞台の声が呼ぶ。――学業優秀および学内リーダーシップにおける栄誉表彰。
拍手が瞬時に広がる。長く、力強く。
アストリッドは立ち上がる。
慌てず、横を見ず、確固たる歩幅で進む。外からどう見えるか、正確に理解していた:自信に満ち、完璧で、大きな未来が約束されているように見える。学校のパンフレットに載るタイプの若者だ。
メダルを受け取り、
卒業証書を手にし、
学長の手と握手する。
――「この学園の誇りだ」――低い声で彼は言った。
アストリッドは微笑む。
完璧な微笑。計算されたもの。何も漏らさない微笑。
写真撮影のポーズをとりながら、彼女は不快なほど明確に思った:
――これでは監査は止められない。
拍手の中、舞台を降りて自席に戻る。
母の目は輝き、心からの喜びが見える。父も拍手するが、アストリッドはその動作にわずかなぎこちなさと遅れを感じた。彼は既に別の世界にいた。数字に。未回答の電話に。「延期された」会議に。
拍手は終わり、式は続く。
アストリッドは式次第に目を落とし、読みふりをしながら、頭の中では別のリストを確認していた:再交渉されたクレジット、穏便な言い訳で撤退したパートナー、スイス銀行からの返信が遅延していること。
裕福な家族。
尊敬される姓。
しかし…金庫は空。
学長は未来について語る。
アストリッドは生存を考えていた。
――「アストリッド!」――隣の声が囁く。
オリバーだ。
完璧な制服、笑顔、世界は努力次第で公正なシステムだと本気で信じるエネルギー。
――「素晴らしいね、呼ばれると思ったよ。本当におめでとう」――
――「ありがとう」――彼女は少しだけ振り返り、礼儀正しく答える。
以前なら、オリバーの言葉は心地よかった。魅力的ですらあった。今は、その熱意が神経に触れる。彼のせいではない。――ただの騒音だ。
――「このあと、レセプションがあるよ。祝おう。以前みたいに」
以前みたいに。
アストリッドは吐息を抑える。
――「考えておく」――言う。
約束でも否定でもない。
オリバーは微笑む。違いに気づかないかのように。
講堂の反対端で、アストリッドは存在感を感じた。視線の前に。
アドリアン・ヴァルモント。横の出入り口付近に立つ。参加せず、拍手もせず、観察している。濃紺のスーツ、ゆるやかな姿勢、注意は別の場所――あるいは全てに同時に。年配の役員と思われる男性と話し、必要に応じて軽く頭を下げる。
彼は一度もアストリッドを見なかった。
かつて、その無関心は挑戦だった。
今では…壁だ。
アストリッドは短く、いやな痛みを感じた。誇りが傷ついたわけではない。緊急性だ。
彼は観客ではない。
構造としてそこにいる。
式は終了。人々は立ち上がり、会話が交差する。祝福。連絡を「続けましょう」と曖昧に約束。
アストリッドは抱擁や言葉、カードを受け取る。
――「本当に誇りに思うよ」
――「未来は明るい」
――「何か必要なことがあれば教えて」
必要なら、ね。
アストリッドはその言葉の重みを知っていた。
オリバーが再び近づき、今度は二つのグラスを持ってくる。
――「シャンパン。今学期最高の君に」
彼女はグラスを受け、最小限の一口を口にする。
――「オリバー、今、何してるの?」――
彼はまばたきし、驚いたように答える。
――「学生プロジェクトだよ。持続可能性と透明性のこと。内部から変えられると思う」
アストリッドは礼儀正しく頷く。
以前なら感心しただろう。今は…子供っぽく聞こえた。
――「良かったわ。本当に」――
しかし目は再びアドリアンを探す。
彼は役員と別れ、携帯を取り出し、無表情で何か確認している。全てが、学期末を祝うためではない、別のカレンダーで動いていることを示していた。
そしてアストリッドは理解する。
恋愛の啓示ではなく、冷徹な結論として。
家族がプロジェクトを望むなら、
酸素が必要なら、
生き続けるために、
――オリバーではない。
――拍手でもない。
――栄誉でもない。
ヴァルモントだ。
アドリアン・ヴァルモント。
アストリッドはグラスを指で軽く握る。
かつて彼に見られた可能性が、今では必要性となった。
そしてその冷静さに、自分でも驚く。
弱さではない。
危険さだ。
彼女はグラスをテーブルに置き、指先で縁に触れる。触れるたびに力が伝わるように。オリバーは笑顔を振りまき、NPCのように自分の世界で迷子になっている。緊張も戦略もない、ただの誠実さと必死さだけ。
アストリッドは深呼吸し、視線をアドリアンに戻す。背もたれに寄りかかり、電話を操作するその姿勢は正確で計算されたもの。彼は見ない。見ないことで危険を生む。
アストリッドは微笑む。最小限の曲線、曖昧で、脅威と勝利と戦略的な退屈を示す。見られる必要はない。盤面は自分のもの。
オリバーがもう一度シャンパンを持って来る。
――「アストリッド、本当に祝おう!」――彼の熱意は宇宙の論理を補えると思っているかのよう。
彼女は穏やかに見つめる。学びすぎた者の静けさで:かつて盲目だった。アドリアンの価値を理解せず拒絶した。
――「ありがとう、オリバー。でも忙しいの」――中立的な声で。
オリバーは喉を鳴らす。アストリッドがアドリアンの元へ向かうのを見て、あまりにも滑稽に感じる。
アストリッドは一歩ずつ歩く。髪の束を整え、指先が微かに震え、グラスに触れる。深呼吸。心臓は自らの狂ったリズムで打つ。かつてないほど近くにいる…しかも、キスする意図を持って。
――「なら、私のものに戻さなければ」――氷のように冷たくつぶやく。――私たちは別のリーグで遊んでいる。
アストリッドは顔を上げ、指先がわずかに震えながらも、グラスを離す。深呼吸。数を数え、さらに一歩前へ。計画と緊張、そして…好奇心が混ざる。
彼女は彼に近づき、二人だけで話すよう求める。陰に入り、暗くて秘密めいた場所。髪の一本一本が照明に光る。
――「何してるの、アストリッド?」――アドリアンがかすかに声を出す。髪が肩に触れ、偶然のように。
彼の脳内は即座に爆発:
「耐えなければ…呼吸…唇を見ない…戦略…Excel…感情はダメ…」
アストリッドは神経質に身をかがめ、計算された振る舞いを維持。
――「最優秀の祝福をしてくれないのね、以前はしてくれたのに」
――「以前は以前、今は今」――彼は一歩後退、さらにもう一歩。カーペットにつまずきかける。
アストリッドは微笑む。心は速く打つ。初めてのキスだが、状況は完全に掌握している。恋愛ではない。力、戦略、家族の生存のための行動。
オリバーは別のトレイを持ち、全く気づかず、怒りと苛立ちで:
――「アストリッド、もう一杯!」――
――「行って」――アストリッドはいたずらっぽく微笑む。目的は明確:最も困難な盤面を他者に気づかれず制圧し、さらに冷徹な男の敗北を楽しむ。




