第13章:異なる岸の船長
秋葉原の街が周りでぼやけた。ネオンサイン、群衆の騒ぎ、電気の唸り――すべては同じだったが、全てが数度軸からずれているように感じられた。僕の世界は、不協和音で演奏された慣れ親しんだ歌だった。アリサは僕の妻だった。その考えは心の中の棘で、痛く、無視することは不可能だった。
彼女を見つけなければならない。雪華の論理は正しい:社会的力学を安定させよ。しかし、自分が持っていたと知らなかった関係を裏切ったことについて、見知らぬ人にどう謝ればいいのか?
僕の足は、常に不変であった一か所へと、自動操縦で運んだ:大倉大吾船長の店舗兼住宅だ。この狂気の中ですら、彼のぶっきらぼうでしっかりした存在は重力の引きだった。慣れ親しんだ顔が必要だった、たとえ彼でも。この嵐の中の錨が必要だった。
僕は角を曲がり、うつむきながら、心の中で哀れな謝罪を練習した。顔を上げた。
そして足が棒になった。
建物はそこにあった。しかし、同じではなかった。ラジオ部品店の暗い木造の外観はなくなり、無機質で明るいコンビニの白と緑に取って代わられていた。かつて埃っぽい真空管とアンティークのコンパスを展示していた窓は今、新発売のエナジードリンクと割引のおにぎりのポスターで埋められていた。
僕の心臓は肋骨を打った。これは正しくなかった。これは間違っていた。これは僕の宇宙の基本法則に対する侵害だった。
震えながら、僕はガラスのドアを押し開けた。機械的なチャイムが鳴った。空気は、油と古紙ではなく、洗剤と肉まんの匂いがした。
そしてそこに、カウンターの後ろに、大倉大吾が立っていた。
彼は老けていた。かつては厳しい塩胡椒色だった髪は、今では長く真っ白で、ゆるくポニーテールに結ばれていた。鋭い海軍士官の風貌は柔らげられ、一日中立ちっぱなしの男の、少し前かがみの姿勢に取って代わられていた。彼は明るい緑のコンビニエプロンを、シンプルなジャンパーの上に着ていた。文庫本を読み、老眼鏡が鼻の先に載っていた。
これは船長ではなかった。これは…店員だ。
彼は僕が入ってくるのを見上げ、かすかな、慣れ親しんだ唸り声を漏らした。「如月。幽霊でも見た顔だな。それとも、お前の船が幽霊にでも突っ込んだか」
彼の声は同じだった。冷静で、低く響く威厳はまだそこにあった。エプロンと白髪の下に埋もれて。その声が僕の麻痺を破った。
「船、船長?」僕は声を詰まらせながら言った。「あなたの…あなたの店が…」
彼は僕の視線を、明るく照らされた、どこにでもある店内を見回しながら追った。「それがどうした? 商売は商売だ。商業の海は潮流を変える。適応するか、溺れるかだ」彼は本を置いた。「アリサの件で来たんだろう」
その名前は僕に新たな衝撃を走らせた。彼は知っていた。もちろん彼は知っていた。このタイムラインでは、彼はすべてを知っている。
「奴め…20分ほど前にここを通り過ぎていった」彼は鋭い目で僕を観察しながら言った。「悪魔そのものから逃げようとしてるような様子だった。泣いていた。何をしたんだ、小僧」
その質問は同じだった。文脈が恐ろしく異なっていた。
「僕…僕は過ちを犯しました」僕は囁いた。真実はまったく不十分に感じられた。
「地上での過ちは、海の嵐のようなものだ」彼は言った。口調は優しくなかったが、疲れていた。「全てを避けることはできん。ただ、それを航行することを学ばなければならない。そして、嵐を航行する際の第一のルールは、頭を冷静に保つことだ」彼は少し身を乗り出した。「お前はそれを失ったようだな」
「すべてが…間違っているように感じる」僕は認めた。言葉は止められないまま溢れ出た。「店が…あなたの髪が…」
大吾の眉が少し上がった。彼は手を伸ばして自分の長い白髪に触れた。「年を取ることが『間違い』じゃない、坊主。それはただ、別の種類の航海だ。店は…ラジオの商売は昔のようじゃなかった。これで請求書は払える。シンプルだ」彼は僕を見た。長く、見透かすような視線で。「お前は店の話をしているんじゃないだろう?」
僕は話せずに首を振った。
彼はため息をついた。長く、疲れた呼気は、この変更されたタイムライン全体の重みを運んでいるようだった。「お前の頭の中で何が起きているのか分からん、如月。お前とあのクラブはいつも幻を追いかけている。だが、アリサは…彼女は現実だ。彼女はここにいる。そして彼女はお前の妻だ。お前は彼女に約束をした。船長は、水先がどんなに奇妙になっても、自分の船を捨てない」
彼は親指でドアの方へとジェスチャーした。「奴めは川の方へ行った。さあ、行け。お前の船を見つけろ」
感覚が麻痺したまま、僕は振り返り、コンビニを出た。機械的なチャイムは嘲笑のように感じられた。僕は道端に立ち、秋葉原のネオンライトが涙でぼやけた視界で揺れ動いた。
最後の不変のものが変わっていた。大吾、僕の岩は、違っていた。彼の店、彼の髪、彼の人生――すべてが、僕のたった一つの、愚かなメッセージの波紋によって変更されていた。クロノリンクは、僕とアリサと青の関係を変えただけではなかった。それは微妙で、陰険な方法で、世界線全体を変えていた。
僕が架けようとした橋は、壊れただけではなかった。それは崩壊し、その残骸は両岸の形を変えていた。僕は本当に、完全に、他人の時間という海で迷子になっていた。そして、どうやって家に航海すればいいのか、見当もつかなかった。