第8話 ゴブリンの軍勢
「ちっ、リサ! もっと浄化の力上げろ! 敵が見えねぇんじゃ、戦いようがねぇ!」
俺は怒鳴るように叫ぶ。
「わ、わかったわ。浄化の波動!」
リサの魔法の発動と共に、絶望的な光景を目の当たりにする。
四方八方をゴブリンに囲まれ、弓で狙われているのだ。
「おい! リサ! 防護魔法でシールド作ってくれ! あんなもん一斉に喰らったらやばい……! 俺は勇者の鎧があるから、多少はダメージもらっても大丈夫だがよ……」
俺は額から汗を流す。
俺はともかく、他の二人は防御力がそこまで高くない。
弓をあれだけの数放たれれば、かなりのダメージになるだろう。
一方向からだけなら、まだしも、四方八方からの攻撃となると、俺でも捌ききれない……。
「これ以上、魔力使ったら、私もう何もできないわよ! でも、防ぐしかない……! 聖なる盾!」
俺達は固まって、セイント=シールドの中に閉じこもる。
ゴブリン共から矢が放たれる。
しかし、セイント=シールドはその全てを弾き飛ばした。
「リサ、よくやった。あいつらが、矢を準備する間に決めるぞ……! 俺は前方のゴブリンを殺す。サンドラは後方を頼む。あと、リサも守ってくれ……!」
俺は命令を一息に伝える。
「ちょっと! 四方八方に敵がいるのに、私一人でリサを守れってこと⁉」
サンドラの声は聞こえているが無視した。
前方のゴブリンが、一番数が多いんだ。今ここで、数を減らさないと勝てねぇ。
サンドラもリサも、多少はなんとかするだろ……。
「下劣なゴブリン共、死ねぇ! 聖剣斬……!」
前方にいたゴブリン二十体にエクス=スラッシュを叩き込む。
今の一撃で、十体は死んだだろう。
俺は残っているゴブリンを殲滅していく。
後ろで甲高い叫び声が聞こえる。
「キャァァアアア! 痛い。こんな数相手にするの無理よ……!」
そこには、ゴブリンの放った矢で身体中血塗れの、サンドラとリサがいた。
リサは既に意識を失っているようだ。
くそっ……。使えない奴ばかりだな……。まあ、囮役くらいにはなったか。
「今行く!」
俺は一気に駆け出す。
すると、岩陰に隠れていたと思われるゴブリンが、二体がかりで岩石を投げつけてきた。
俺はそれを盾で防ぐ。
直後、後頭部に衝撃が奔る。
後ろからも、岩石を投げつけてきていたようだ。
「痛ぇな……。クソ雑魚共が……! いい気になるなよ……!」
俺は頭から血を流しながら、咆える。
次の瞬間、悪寒がしてくる。
なんだ……? 風邪ひいた時みてぇにふらふらするぞ……?
「この症状はもしかして、『瘴気病』か……?」
瘴気病とは、ダンジョンなどの瘴気が濃い所に、一定時間以上いると出る症状だ。
リサが倒れて、完全に瘴気に晒された状態で戦っているからか……。
いや、それにしても症状が出るのが早い……。
ここで俺は気が付く。今まで、このような状態異常にならず、万全の体調で戦えてたのはあの能無しがいたからなのではないか……と。
いや、そんな訳ない。あの能無しは何もしていなかった。だから追い出したんだ……!
何も間違っていない。
そうだ、きっとこの階層が瘴気溜まりになってるんだ。
だから、状態異常が出るのが早かったんだ。
そんなことより、今はこの状況をどう脱するかだ。
Cランクダンジョンで、しかもゴブリンに負けました、なんて勇者失格どころの話じゃねぇぞ……!
「クソ雑魚共! 俺が相手してやるから、正々堂々と来い!」
「グギャギャギャギャ」
ゴブリンは俺の叫びを馬鹿にするように笑い始める。
「何笑ってるんだ⁉」
すると、俺の後ろから、ドシンドシンと足音が聞こえてくる。
振り返るとそこには二メートルを超える巨体のホブゴブリンがいた。
「嘘……だろ」
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