第7話 一方その頃、勇者パーティーは
一方その頃の、勇者パーティーへと場面は移る。
「やっとあの能無しを追い出せたな。ったく、最初は少しは役に立つと思っていたが、むしろ迷惑をかけてきやがった……! あんな奴はもっと早く追放しとくべきだったぜ」
俺――勇者オーレンはヴェルのことを思い出し、吐き捨てるように言葉を出す。
「ほんとにそうよね。もっと早く追い出しとけばよかった。まあ、空気がだいぶよくなったからいいか」
魔導士のサンドラがわざとらしく、大きく息を吸い込み吐く。
「そうですね。ポジティブな面に着目すべきです。彼がいなくなり、空気の淀みが消えた。これで戦闘にも集中できそうです」
聖女のリサはほっと安心したような顔をする。
「んじゃあ、早速行くか! 今回のダンジョンはCランクだ。いつもはAランクダンジョンに行ってるから、まあ楽勝だな」
俺は笑みを浮かべる。
「そうね、余裕よ。さっさと済ませて、帰って酒でも飲みましょ!」
サンドラが杖を取り出しながら話す。
◇◇◇
俺達はダンジョンに入っていく。
「なんだぁ? 随分周りが見づれぇな。惑わしの瘴気でも漂ってんのか?」
俺は疑問をそのまま口にする。
「その可能性はありますね。私が浄化します。《浄化の波動》……」
リサが詠唱する。
すると、半径五メートル範囲の瘴気が消えた。
「おいおい、リサ。Cランクダンジョンだぞ? 魔力の温存はいいが、こんな程度の浄化じゃ、敵がいるかどうかもわからねぇぞ……?」
俺はやや苛立ちつつリサに問いかける。
「なっ、私は魔力をある程度使ってます! これ以上使うと、この先回復魔法が使えなくなりますよ⁉」
リサが怒ったように声を荒げる。
「は? 何言ってるのよリサ。ヴェルなら、Cランクダンジョンくらいなら、全く視界が悪くなったりしないでしょう?」
サンドラが俺に合わせて、リサに追撃する。
「私は、みなさんがダンジョンの瘴気に当てられないように、常に防護結界も張っているのですよ? これ以上魔力を使っていては、本当に回復できなくなります! たしかに、ここまで狭い範囲しか浄化できないとは思いませんでしたが……」
リサはだんだんと弱々しい声色になる。
「……ちっ、こういうダンジョンの時に限って能無しがいねぇのかよ。つくづくタイミングも悪ぃ、使えねぇ奴だな! まあいい、この程度のダンジョン今まで何度も攻略してきてる。視界が悪かろうと問題ない!」
俺は鼓舞するようにやや大きめの声を出す。
そして、俺達は少しずつ、奥に進んでいく。
「おかしいな……。魔物に出会わねぇ。そろそろ、一体くらいはいてもおかしくないはずだがな……」
俺は嫌な予感がしながら声を出す。
「たしかに、おかしい。惑わしの瘴気で同じ所をグルグル回ってたりするんじゃないの? 私の火炎魔法で瘴気諸共に吹き飛ばすわ……! 火炎球……!」
そこで俺達は嵌められていたことに気づくことになる。
俺達の周囲にはゴブリンの群れ……。五十体はいるだろうか……。
既に取り囲まれている。
「ちっ、こんなにゴブリン共が……。ちょっと頭使えたからって調子乗んなよ……! 雑魚共を蹴散らす!」
俺は聖剣エクスカリバーを構える。
「サンドラ! 惑わしの瘴気がうざってぇ、それにリサじゃ半径五メートルしか浄化できない。魔法で攻撃してくれ!」
俺は続けて、命令を出す。
「了解。もう一撃喰らいな……! ファイア=スフィア……!」
サンドラのファイア=スフィアがゴブリンを焼き払う。
しかし、思っていたほど数が減らない。
理由は、ファイア=スフィアは見えていなかった岩にぶつかって、そのほとんどが霧散していたからだ。
どうも、この階層は障害物が多いらしい。
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