第62話 バロルネス
毒々しい装飾がされている、魔導服を着た女の前に立つ。
「もうやめろ……」
俺はショートソードを女の首元に添える。
「ありゃりゃ。『ブラックミイラ』負けちゃったかぁ……。ま、十分時間稼ぎはしてくれたけどねん」
女は邪悪な笑みを浮かべる。
「何⁉」
次の瞬間、俺の真下から剣を持ったスケルトンが一体召喚される。
「邪魔だ!」
俺はショートソードによる、二連撃でスケルトンを倒す。
女を見ると、デュラハンの横にまで行っていた。
「あぁ~ん。夢にまで見たデュラハン……。あなたのご主人様はだぁれ?」
女はデュラハンに問いかけているようだ。
「……あなた様……です」
デュラハンは答える。
「いい子ね! 大成功だわん!」
女は恍惚とした表情をしている。
「クソッ……間に合わなかったか……」
俺はふと、セラのことが気になり、セラの方を見る。
すると、セラは首の辺りが黒く変色しており、苦しそうにうめいていた。
「セラっ! すまない! すぐに不浄を吸収する。《アブゾーブ》……」
俺はセラを浸食していた、黒ミイラの不浄を吸収する。
次の瞬間俺は、十メートルほど吹き飛ばされ、壁に激突する……。
頭から、血がしたたる……。
「痛ぇな……不意討ちとか、良い趣味してんな……」
どうも俺はデュラハンの槍で殴り飛ばされたようだ。
セラは槍の一撃は避けられていることが確認できた。
「お前は何者なんだ……?」
俺はずっと疑問だったことを口にする。
「私? そういえば自己紹介もしてなかったわね。私は魔王軍四天王が一角ゴルマディウス様配下、バロルネス。あなたのことは知ってるわよん。不浄使いのヴェル……」
バロルネスは邪悪だが艶のある笑みを浮かべる。
「魔王軍四天王の配下……⁉ そんな奴がなんでここにいるんだ⁉ それに俺のことも知っているんだな……」
俺は前回ブラムスドと戦った時のことを思い出しつつ答える。
「あなたは一応、要注意人物だからねぇ……。あぁ……ここにいる理由だったわね? 新しい玩具が欲しかったのよぉ」
バロルネスは静かに言葉を紡ぐ。
「玩具? ふざけてるのか?」
俺は怒りで声が震えてくる。
「えぇ、玩具よぉ。デュラハンは趣味の一環で、死霊術を使って復活させただけよ?」
「お前……! そんな理由で……。あのゾンビ達はこの村の人達か……?」
俺は怒りを抑えられなくなってくる。
「そうよぉ? デュラハンはこの村で秘密裏に封印されていた。その封印を解くには、この村の長の血が必要だった。あとの人間は、デュラハンを僕とする契約のために必要だったから、ゾンビにして供物にしたわ」
バロルネスは何の悪気も感じさせない言い方をする。
「そうか……。もういい……。お前は倒すべき敵なのがよくわかった……」
俺はこいつを倒すためにここに来たのが運命だと実感する。
必ず倒す……。こいつは生かしていてはおけない……。
「そう……。できるといいわねぇ……! さあ、デュラハン? あなたの力を魅せて?」」
バロルネスは不敵な笑い声を高らかに上げる。
「倒す……」
俺は一歩踏み出すとふらついた……。
クソッ……。《カースストレング》での呪い強化も限界か……。
俺は不浄宮の自動吸収をオンにして、身体中の呪いを吸収していく。
「ヴェル様! セラと一緒に戦いましょう!」
セラが駆け寄ってくる。
「ああ……。一緒に戦おう。あいつらはかなり強いはずだ……。セラ……変身したら、不浄の影響は受けにくくなるんだよな?」
俺はセラに手早く確認する。
「はい! ヴェル様が本気で戦おうと思ったら……変身してる方がいい?」
セラは純真な瞳で尋ねてくる。
「ああ、頼む。俺も全力でいく……」
「りょーかいです! 変身……!」
セラは白銀の髪により艶が出て、瞳も輝きを放つ。
角が額から一本生えて、手足はひづめに変わる。
神々しさが放たれる姿は人間とは違う生き物だと感じさせる。
「セラ、二人で倒すぞ……!」
「セラ……がんばります……!」
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