第6話 力持ちのルクスハートが仲間になった!
「ルクスハートちゃんは、昔から力持ちだからな! 魔物退治をしてくれたこともあったな~」
酒に酔ったおじさんが自慢げに話し出す。
「ね? 私力持ちです! それに、戦いの修行もしてます。シスターはシスターですけど、職業は『バトルシスター』なんです。斧を使って戦えますよ。実はヴェル様が来てくださらなかったら、一人でヒュドラを倒そうかと思ってたんですよ。きっと負けてましたけど」
ルクスハートはニカっと歯を見せて笑う。
「……ははは。それは頼もしい。ルクスハートさんさえよければ、一緒に旅にきてほしい。俺は自分は回復できるけど、他人は回復できない。ルクスハートさんがいれば怪我人の手当もできるから、助かる」
俺はルクスハートの力の強さに驚嘆しつつも、頼もしく感じた。
「そうでしょう……? それと、私のことはルクスハートと呼び捨てにしてください。さん付けだとどこかよそよそしく感じます。パーティーメンバーになるのですから!」
「それもそうだな。じゃあ、俺のこともヴェルと呼んでくれ」
「それはできません! 私の命の恩人ですから。ヴェル様はヴェル様です!」
ルクスハートは一歩も譲らないといった気迫を感じさせる。
「いやいや、俺だけ『様』がついてるってのも……」
「いいんです! それに私、呼び慣れちゃいましたから」
ルクスハートはふわりと微笑む。
「……まあ、ルクスハートがいいなら、いいけど」
俺はルクスハートにおされるように認める。
「はい、ヴェル様。これからよろしくお願いしますね!」
ルクスハートが握手をする。
◇◇◇
翌日。
俺達は村人に見送られていた。
「ルクスハートを救ってくれてありがとう。ワシはこの恩を一生忘れん」
最初に村に着いた時に話した老人が涙を流し、言葉を出す。
「兄ちゃん、ルクスハートちゃんのこと頼んだぞ~!」
昨日の酔っ払いのおじさんが声をかけてくる。
「ヴェル様、村の代表としてお礼申し上げます。こちら少ないですが、旅の資金としてください」
村長が袋に入ったルグドを渡しながら話す。
「資金の提供感謝する。昨日の宴も楽しかった」
俺は微笑む。
「楽しんでもらえたようでよかった。……それと、村がもう少し、復興すれば、必ずヴェル様の銅像を建てます。あなたが村を救ってくれたことを、この先の世代にも伝えていきます」
村長は目を潤ませながら俺を見つめる。
「いやいや、そんな大層なことしないでいい。俺が助けたいと思ったから、助けさせてもらっただけだ! 銅像を建てる資金は他のことにあててくれ」
俺は思わぬ言葉に焦りながら返答する。
「いえいえ、あなたはこの村の英雄。今まで苦しんでいた毒沼をも消し去ってくださった。これ以上ない喜びです。どうか、村の者全ての想いとして受け取ってほしい」
村長が頭を下げる。
「参ったな……。わかった。じゃあ、銅像もよろしく頼む。その代わり、十分復興してからにしてくれよ」
俺は苦笑する。
「ありがたきお言葉。皆、二人を見送るぞ」
村長の言葉に応えるように、村人から激励の言葉がかかる。
ああ……人を助けるっていうのは良いことだな。
勇者パーティーに入ったのも、元々は人を助けたかったからだ。
あいつらが、当てにならないなら、俺が代わりに英雄になってやる……!
俺は覚悟を胸に深く刻み込む。
「面白かった!」
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