第58話 ゾンビ村 突入
二日後の夜。
俺達はゾンビ村と呼ばれている、ケールネア村に着いていた。
「ここがケールネア村か……。外から見るだけでも、ゾンビがうろついているのが見えるな……。こりゃ、誰も近づかない訳だ……」
俺は状況をそのまま言葉に換える。
「ゾンビ村……。ゾンビの大群に襲われたという話なんですよね……。元々住んでいた村人達はどうなったのでしょう……」
ルクスハートが悲しげな表情で口にする。
「……それを確かめたい。俺の不浄宮の能力があれば、肉体が滅んでいなければ、元の人間に戻せるはずなんだ。ただ、そもそもゾンビとして生まれた魔物の場合は人間には戻らない。ややこしい話なんだけどな……」
俺は頭をポリポリとかく。
「つまり、村に入って不浄を吸収して、村人か魔物かを見極める必要があるってことか」
シェリナが今までの情報の整理をする。
「そういうことだ。できる限り、人間だった人は元に戻したい。……そこで、作戦があるんだが、言ってもいいか?」
俺は全員に目を配る。
「だいじょーぶです!」
セラが元気よく返事をする。
ルクスハートと、シェリナもよいとの返事だった。
「俺がセラの《セラファーンの加護》でスピードを上げて、どんどん不浄を吸収したい。その間、村から外にゾンビが出ないか、ルクスハートとシェリナには見張りをしてほしいんだ」
俺は作戦の内容をゆっくりと伝える。
「なるほどね。わかった。だが、セラ嬢ちゃんは大丈夫なのかい? 強さはもちろん知ってるけど……」
シェリナはセラの身を心配しているようだ。
「セラ……大丈夫……! セラは……ハーフセラファーン! 不浄にも耐性……あります!」
セラが腕を曲げて、大丈夫だということをアピールしている。
「そうか……。だったら、安心だ。ヴェル殿……セラ嬢ちゃんのこと頼んだよ」
シェリナは安心半分、不安半分という顔だ。
「任せろ! それに、あまりにヤバそうだったら、俺も退避する。無理はしないよ」
俺は素直な笑みを浮かべる。
「そうか……。なら、安心だ」
シェリナが安堵した表情になる。
「気をつけてくださいね。ヴェル様、セラちゃん」
ルクスハートがニコりと笑う。
「ああ、気をつけて行ってくる」
俺も笑顔を返す。
「セラも……気をつけます!」
セラは満面の笑みを浮かべている。
◇◇◇
村の入口にて。
「セラ、頼む」
「りょーかいです! 《セラファーンズ=ブレシング》!」
セラが俺の肩にしがみつき、詠唱する。
身体が一気に軽くなった感覚になる。
セラが乗っているのにそれ以上に軽く感じる。
何だか不思議な気分だ……。
「ヴェル様、身体軽くなった?」
セラが俺の顔をのぞき込んでくる。
「ああ、軽くなったよ。ありがとうな」
俺はセラの頭を三度なでる。
セラは嬉しそうな顔をしている。
「さて、いくか……!」
俺とセラはケールネア村に足を踏み入れる。
すると、すぐに入口付近にいたゾンビが襲い掛かってくる。
「キャ……」
セラは短く悲鳴を上げる。
「安心しろ。セラ。俺が守る」
俺は短く、しかし安心感が伝わるように言葉を紡ぐ。
「……セラ、ヴェル様が言うと、安心する」
セラはそう言い、ギュッと俺の肩を強く持つ。
「安心してな。セラ」
俺はそう言い、七体ほどのゾンビに近づく。
「《吸収》……」
俺の詠唱と共に、ゾンビ化の呪法が吸い出されていく。
ゾンビだった者達は、七人とも人間の姿に戻った。
「おい、大丈夫か?」
俺は一番手前にいた青年に声をかける。
「…………う……ぐぅ……。ゾンビの群れが……村を……」
青年はうわごとを呟いている。
数秒すると、目が覚める。
「あれ? 僕は一体……?」
「あなたはゾンビにされていたんです。俺がゾンビ化の呪法を吸収しました。何かおかしなところはないですか?」
俺はゆっくりと尋ねる。
「大丈夫です。なんだか、悪夢をずっと見てるような気分でした」
青年は青い顔をする。
青年と話していると、他の六人も目を覚ました。
「村の外に仲間が待機してるんだ。そこまで一緒に行こう」
俺はそう言い、七人の村人と共に村を一度出た。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
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