表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/77

第56話 貿易都市ザンドクルへ向け出発

 俺達は四人で旅をすることになった。


「そういえば、この後はどこに向かうんだ?」


 シェリナが尋ねてくる。


「貿易都市ザンドクルだ。南に歩いて、最短でもあと七日はかかると思う」


 俺はシェリナの方に身体を向けて答える。


「やっぱ、旅となると結構時間かけながら移動するんだな。にしても、貿易都市か……。アタシはエラリヘイムをほとんど出たことがないから、楽しみだよ」


 シェリナは無邪気に笑う。


「きっと、色んなものもあるし、色んな人もいると思う。俺も楽しみだよ」


 俺も笑みを返す。


「ヴェル様! 美味しいものある?」


 セラが目を輝かせて聞いてくる。


「ああ、きっと色んな食べ物があると思うぞ」


「セラ……楽しみ! 楽しみ!」


 セラはぴょんぴょん飛び跳ねる。


「美味しいもの食べような。……そうだ。シェリナには改めて伝えておくな。俺はヘブンススキルの不浄宮で不浄を吸収、使用することができるんだ。その能力ちからを使って、不浄で困っている人を助けて回りたいと思って旅をしてる。だから今回、貿易都市ザンドクルに寄るのは情報収集のためなんだ」


「なるほどね。貿易都市なら、情報が集まりやすいと思った訳だ。了解した」


 シェリナは納得したような顔をしている。


「よし! 心強い仲間も増えたし、どんどん進もう……!」


 俺は仲間が増えた心強さを感じながら、足を踏み出した。


 ◇◇◇


 シェリナの援護射撃があることで、魔物を倒す負担がかなり減った。


 射手がいることでここまで変わるとは思っていなかったので、正直驚いている。


 全員、エラリヘイムでの戦いを経て、レベルが上がっていることもあるだろう。


 遭遇する魔物に苦戦することはなく進んでいけた――。


 ◇◇◇


 三日歩いて、辿りついた街にて。


「ついに街だな! ここでは宿に泊まるのか? 私はエラリヘイムでも夜の見回りもしてたから、野宿でもそこまで苦労は感じないけど」


 シェリナが純粋な疑問を口にしたようだ。


「街や村に着いたら、基本は宿に泊まるよ。しっかり休んで、動ける身体を維持しないといけないしな」


 俺は軽く微笑みながら、言葉を返す。


「なるほどな。……実は、宿に泊まること自体、初めてだから、ワクワクするよ」


 シェリナの顔には楽しみだと書いてある。


 普段はクールな印象だが、案外子どもっぽいところもあるのかもしれないな。




 街の宿屋にて。


 俺達はご飯を食べていた。


「シェリナが仲間になってくれたおかげで、魔物との戦闘が相当楽になったよ! 助かる!」


 俺は大サソリの寄せ鍋を食べながら話しかける。


 なんだコレは……。美味い……!


「そうですね。シェリナさんの援護射撃があるおかげで、魔物に隙を見せることが減って、すごく戦いやすいです!」


 ルクスハートがシェリナに笑顔を向ける。


「シェリナお姉ちゃん……すごい! すぐに魔物に矢を当ててる! 魔法も使えるのも……すごい!」


 セラが興奮気味に話す。


「おいおい。そんなみんなして、アタシのこと褒めないでくれよ。照れちまうじゃないか。まあ、弓はかなりエラリヘイムで練習してたからな。……ん? なんだこりゃ。この大サソリ美味すぎないか……?」


 シェリナは照れた顔をした後、大サソリを食べてほっぺが落ちそうな顔をしている。


「たしかに、美味いよな! この大サソリの寄せ鍋! 出汁がきいてて美味い!」


 俺もシェリナに同意する。


「おいし! おいし! もっと食べたいです!」


 セラがおかわりを要求する。


「セラちゃんはまだまだ成長期ですからね。もう一つ頼んじゃいましょうか」


 ルクスハートが俺の方を見る。


「おう。みんなもまだ食べれそうだよな。二人前追加で頼むか~」


 俺は全員の顔を見る。


「さんせーです!」


 セラが最初に答える。


「アタシも賛成だ。もう少し食べたいな」


 シェリナもまだ食べたいようだ。


 その後ルクスハートが、店員に声をかけ、追加オーダーをする。


「そういえば、シェリナの魔法は五属性あると思うけど、戦闘中にも使ってたよな? 火水雷風木の全て戦闘でも使えるレベルなのか?」


 俺は戦闘中のシェリナのことを思い出し、尋ねる。


「アタシは魔法適性が結構高いんだ。戦闘でも、中級魔法くらいまでなら全部使える。ただ、一番得意なのは属性魔法だな。この矢もアタシが自分で作ってる」


 シェリナはそう言い、魔導弓の矢を一本見せてくる。


「へ~。自分で矢を作れるなら、ルグドの節約になるな……」


 俺は感心したような声を出す。


「ヴェル様は本当に、ルグドに目がないですね……。倹約家とも言えますが……」


 ルクスハートはジトっとした目で俺を見てくる。


「ルクスハート……ルグドは大切だぞ……? こうして宿に泊まれるのもルグドのおかげなんだからな」


 俺は少しムキになって答える。


「わかってますよ。ヴェル様は先のことまで考えてるってことですね」


 ルクスハートはどこかいたずらっぽく微笑む。


「そういうことだ……!」


 俺はやや語気を強める。


「ふっ……。相変わらず仲が良さそうだな。全くうらやましいよ……」


 シェリナはどこか遠くを見るような目をする。


「シェリナもこれから、仲良くなっていけばいいさ」


 俺はシェリナを真っ直ぐ見つめる。


「……まあ、そうだな。これからよろしくな」


 シェリナが手を差し出してきたので、俺は握手をする。


 そこへおかわりの鍋がやってくる。


「さあ、いっぱい食べてゆっくり休むぞ!」


 俺が号令をかけ、四人で大サソリの寄せ鍋を食べていく――。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ