第54話 祈るような感謝
長の家にて。
俺達は、長に今までの戦いについて伝える。
その後すぐ、長から話がある。
「ヴェル殿、感謝申し上げる。まさか、一日で魔王軍の拠点を壊滅させてくれるとは思っていなかった……。どう感謝していいか……」
長の目が潤む。
「いえいえ、俺も役に立ててよかったです」
「魔王軍の残党はそこまで数が多い訳ではないと聞いている。ここから先はエルフ軍で対処しよう。ヴェル殿達はゆっくりと休んでくれ」
長が頭を下げる。
「ここまでやったんです。俺達はまだ動けます。最後まで付き合いますよ」
俺は長の目を真っ直ぐ見る。
「そこまで言ってくださるのか……。エルフの里の英雄よ……。すまぬが、あともう少し力を貸してもらえるか……? エルフ軍の消耗も考えると、強いそなたらが加わってくれた方が助かる」
「もちろんです。俺達もまだ戦えますから!」
◇◇◇
そこから、俺達四人は魔王軍の残党を殲滅した。
シェリナとは今日に会ったばかりだが、長く一緒に戦っていたこともあり、連携が非常にうまくとれた。
エルフ軍も最小限の被害で抑えることができたと聞く――。
◇◇◇
再び、長の家にて。
長が話し始める。
「エルフの里の英雄達よ……。この度は我らが里のために命を懸けて戦ってくれて、ありがとう。しかも、腐乱をも取り除いてくれた。感謝を……」
長は祈るようなポーズで感謝を示す。
「こちらこそ、シェリナさんにはとても助けられました。ありがとうございます。それに、エルフのみなさんの頑張りのおかげで勝利できたとも思ってます。俺達だけの力じゃないですよ」
俺は長や周りのエルフに笑顔を向ける。
「なんと……。自分だけの力ではないと……。私は感動したぞ……。人間は木々を破壊する、悪しき存在だと考えていた。しかし、それは間違いだったのかもしれぬな……。エルフの里の長として最大限の敬意を……」
再度、長は祈るようなポーズで感謝を示す。
長に合わせて、周りにいたエルフも祈るようなポーズをとる。
「そうじゃ、お主らのことを後世に伝えるために、神樹で木像を作ろう。よいか?」
長は「よい」というのを期待した眼差しを向けてくる。
この状況じゃ断りづらいよ……。
「はい。ぜひ作ってください」
俺はそう答えた。
「よし! では、木々の回復が終われば作ろう! 何千年ももつ像を作るのじゃ」
長はやる気満々だ。
何千年も俺達の像があるのを考えると、少し気恥ずかしさを感じてしまうな……。
「それとしばらく、エラリヘイムで休んでいくとよい。我らはそなたらを歓迎する」
「それは助かる。実は旅の疲れを取りたかったところなんだ」
俺は素直に厚意に甘えることとした。
◇◇◇
それから、三日間俺達はエラリヘイムで疲れを取った。
セラはエルフの友達をたくさん作り、毎日遊んでいた。
俺は木々に残った、腐乱を取り除いて回った。
その後は、ゆっくりと身体を休めることに専念していた。
ルクスハートも同様に身体を休めていた。
エラリヘイムは空気が良いからか、旅の疲れが一気に回復していくような気がした――。
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