第51話 魔王軍 交戦――ボス戦⑤
「……ぐっ……。この俺にもお前の穢れは効くようだな……。ここまでくれば、もう仕方ねェな……。《デコンポズ=ウィンド》……!」
ブラムスドは一気に《デコンポズ=ウィンド》を解放する。
《リモルビスズ=ディジス》は吹き飛ばされていく。
そして、拠点、部下達は腐乱の効果で、朽ち果てていく……。
俺はヒュドラズ=ポイズンを盾にして、防いだ。
「仲間も拠点も全て手放したか……。まあ、そうしないと、穢れに侵されて終わりだったもんな」
俺は淡々と話す。
「……す。殺す。殺す。殺す。ぶち殺す……!」
ブラムスドの咆哮が響き渡る。
「殺せるといいな……。今のお前は一対二の状況だ。勝てるかな……?」
俺は口元を引き上げる。
「あァ⁉ 一対一だろうが……! これ以上、俺を惑わそうとしたって、そうはいかねェぞ……!」
直後、シェリナの矢がブラムスドの眉間に飛んでくる。
ブラムスドは意識が逸れていたのだろう。モロに矢が刺さる。
「痛ってェなァ……。どいつもこいつも……。ムカつくぜェ……。ヴェル……! もう俺は周りのことを気にする必要がなくなった。全力でいくぞ……!」
ブラムスドは矢を引き抜き、へし折る。
丈夫な奴だ……。
「部下を自分の手で殺しておいて、よく言うよ。その図太さだけは評価に値する……」
「黙れェェ! 《腐乱の嵐》……!」
ブラムスドと俺を囲うように半径二十メートルほどの凄まじい、腐乱の嵐が巻き起こる。
「《超吸収》」
俺は《デコンポズ=ストーム》の一部分を吸収する。
すると、目の前にブラムスドが現れた。
「オラッ! 物理攻撃は弱いんだろ……! 殴り殺してやるよ……!」
ブラムスドの殴打が、俺を五メートルほど吹き飛ばす。
「がっ……。痛ぇ……。流石に強いな……」
俺は口元から出た血を拭う。
「この嵐の中じゃ、弓もうまく飛ばせねェだろ……? 邪魔者はもういねェ。殴り合いしようぜ……!」
ブラムスドが凶悪な笑みを浮かべる。
「……悪いな……。そんな不利な戦いはしない。お前が強力な呪法を使ってくれたおかげで、不浄が大量に吸収できる。おまけに、俺達を囲う形で《デコンポズ=ストーム》を配置してくれた。むしろ、戦いやすいよ……」
俺は冷淡に言葉を紡ぐ。
セリュカンでの修行で不浄宮による、〝吸収と放出〟をスムーズに行えるようになった。
今の俺なら、この状況を最大限利用できる。
「……黙れェ……! 何もかもが自分の手のひらの上みてェな言い方しやがって……! 俺はお前みてェな奴が一番ムカつくんだよ……!」
ブラムスドは殺気を纏った眼差しを向けてくる。
そして、ブラムスドは一気に距離を詰めてくる。
「オラァ! ぶち殺してやる……!」
「俺にも戦う手段はある……。《ヒュドラズ=ポイズン》」
俺の右手から放たれた、毒をブラムスドは何とか躱す。
「ちっ……。毒まで使うのか……。化物が……!」
「魔王軍の奴に言われたくないな……。《呪砲撃》!」
俺は呪いの砲撃を放つ。
ブラムスドはそれも、躱す。
こいつ、かなり近接戦闘に慣れてる……。
《デコンポズ=ウィンド》にだけ頼ってる訳じゃなさそうだな……。
「ヘルズスキルなしでも、俺は強ェぞ! 俺をこけにしたことォ、後悔させてやる!」
ブラムスドは更に攻撃を繰り返す。
俺は不浄宮の能力を使い、距離を取りながら戦う。
その状況が二分ほど続く。
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