第42話 リュミセルダ と 勇者パーティー……
「な……そ、それは……」
俺は血と汗を大量に流す。
「十秒数えるわ。それまでに決めて……。決められなかったら殺す」
リュミセルダは殺意と愉悦に満ちた瞳で俺を見ている。
十、九、八……リュミセルダの、死のカウントダウンが始まる。
ど、どうすれば……。なんでこんなことに……。全部おかしくなったのは、能無しを追放してからだ……。そうだ能無しのせいだ……。こんなことになったのは全部、能無しのせいなんだ……!
「一。じゃあね、ちんけな勇者さん……?」
リュミセルダが魔法を放とうとしている。
「ま、待ってくれ……! 言われた通りに……言われた通りにする……」
俺はショートソードを持ち立ち上がる。
「あら? 本当に仲間を殺して、自分だけ生き残るつもり……?」
リュミセルダは愉快そうに声を出す。
「俺は……俺はこんなところで死ぬ人間じゃねぇ! 俺は勇者だ……選ばれし者なんだ!」
俺の咆哮が響く。
「勇者ね……。じゃあ、勇者さん? 早く殺して。じゃないと、私が先にあなたを殺すことになるわ」
「わかってる……」
俺はゆっくりとサンドラに近づいていく。
「オーレン……? 嘘でしょ……? 私達勇者パーティーでしょ……。本気なの……?」
サンドラが更に小水を垂れ流しながら、震える声で話しかけてくる。
「し、仕方ないんだ……。全部、全部あの能無しが悪い……。あいつがいなくなってから、全てがおかしくなった……。だから、なあ……? わかるだろ?」
俺は少しずつサンドラとの距離を詰めていく。
「嫌……嫌よ……。来ないで、来ないでよぉ……!」
サンドラが叫ぶ。
「悪いな。俺はこんなところで終わる訳にはいかねぇんだ……」
俺はショートソードを振りかぶる。
「嫌ぁぁああああ!」
サンドラの声が響く。
直後、俺の背中に衝撃が走る……。
「は……?」
俺は振り返る。
そこには、闇魔法を放っているリュミセルダがいた。
「お前、俺を騙したのか……?」
俺は力なくその場に倒れる。
「いやぁ、見事だったわ。ここまでの喜劇を見れるとは思ってなかった。……お前の覚悟よかったわ。私の眷属にしてあげる……」
俺を貫いた、闇魔法が俺とサンドラ、リサを包み込んでいく。
「折角の絆がある勇者パーティーですもの。魔改造して一つの生命体にしてあげる……。私の温情に感謝しなさい」
リュミセルダの笑い声が聞こえる。
俺の……俺達の身体がだんだんと分解されていくのを感じる。
「……みんなもう隠れてなくていいわよ。勇者パーティーを相手にするから、ざっと百体編成で来たけど、こいつらじゃ気づくことすらできなかったみたいだし……」
リュミセルダの声に合わせて、俺達の周りに魔族が姿を現す。
どうやら、潜伏の魔法を使っていたようだ。
「う、嘘だろ……。最初から……勝負にすらなって……なかったのか……」
俺は圧倒的な恐怖を感じ、身体の震えが止まらなくなる。
「あ! そうだ。最後に教えたげる。なんで、仲間を殺すように言ったのかだけど、邪神様から与えられた『ヘルズスキル』が『闇の眷属』だからなの。人間を闇の眷属にしようと思ったら、できる限り心を闇に堕とす必要がある……」
リュミセルダは少し間を空けて、やや高音の声で言葉を続ける。
「だから~、今のうちにどんどん、自分のことを正当化してね。自分は悪くない、悪いのは不浄使いだ、ってね……」
リュミセルダの言葉を聞き、俺の心はどんどん闇に堕ちていく。
仲間を殺そうとしたこと、それすらもリュミセルダのスキル発動のために、行われていただけだということ……。
怒り、後悔、罪悪感、屈辱、未練、自分の弱さ…………。
いや、違う……! 悪いのは俺じゃない……!
悪いのはあいつだ……。全部あいつが悪いんだ……!
ヴェル……お前がいなくなってから、全てがおかしくなった……。
そうだ。俺は悪くない。全部ヴェル……お前が悪いんだ……!
俺はお前を……許さない……!
…………俺の意識は完全に暗転する――。
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