第39話 三人の修行
それから四日間、俺達三人は修行に明け暮れた。
「対人での修行はやっぱり、一人でする修行とは違うな。実戦を想定して修行できるから、かなり実用的な能力が上がった気がするよ」
俺はルクスハートとセラに笑いかける。
「そうですね! 私もヴェル様相手の修行で、危険な攻撃を避ける重要性がわかりました! まあ、ヴェル様の技は基本的に強力なので、ほぼ全て避ける必要がありますけどね」
ルクスハートが感心したように声を出す。
「セラも勉強……なった! 攻撃するだけじゃなくて……避けながら……隙を作るの大事思った……!」
セラは今回の修行で、隙を作る重要性を理解できたようだ。
「二人共レベルが上がったのを感じてるよ。もちろん、俺も二人のおかげで、レベルが上がったよ。それに、不浄宮の吸収と放出の訓練を重点的に行えたのも大きい。結果的に、不浄宮の技の威力の調整、放出の速度を上げることができた」
「ヴェル様の不浄宮は自分で放出した、不浄を吸収して再使用もできますものね。常に自動で空気中の瘴気や有害魔素を吸収して、不浄を貯めておけるのもすごいです!」
ルクスハートが不浄宮について、理解したことを言葉にしたようだ。
「そうだな。我ながら、面白いヘブンススキルを授かったと思ってるよ。困った人も助けられるしな」
俺は今まで、勇者パーティーで邪魔者扱いされていた、不浄宮の能力が人の役に立っていることを再度実感し、救われたような気分になった。
「ヴェル様、次はどこに向かいましょうか?」
ルクスハートが俺の目を見る。
「よりたくさんの情報が集まる場所に向かおうと思う。貿易都市ザンドクルが次の目的地だ。ここから歩いて最短でも十日はかかるだろう。長旅になるがいいか?」
俺は二人に顔を向ける。
「もちろんです。ヴェル様の決定に従います」
ルクスハートがニコリと笑顔を見せる。
「セラも……ついてく!」
セラはぴょんと一度飛び跳ねる。
「決まりだな……。セリュカンの長に挨拶をして出発しようか」
◇◇◇
セリュカンの長の家を俺達は訪ねた。
「救世の英雄様! 旅立たれるのですね! 少しお待ちください」
長はバタバタと部屋の奥へと行く。
そして、パンパンに何かが入っている袋を持ってきた。
あの袋……きっとルグドだな……。
「英雄様方の旅の助けになれればと、ルグドを用意しました。このくらいしかできなくて、申し訳ないのですが、ぜひ受け取ってください!」
長は俺にパンパンの袋を渡す。
「ありがとう。旅の資金にさせてもらうよ。とても助かる」
俺は思わず、口元がニヤついてしまう。
「ヴェル様……毎度のことですが、ルグドに目がないですね……」
ルクスハートが少しあきれたように声を出す。
「ル、ルグドは大事だぞ……? 物を買う時にも必要だ。何より、旅を円滑に進めるために多くあるに越したことはないんだからな……」
俺は自分でもルグドに目がないことは自覚しているが、正当化するように言葉を並べる。
勇者パーティー時代に、まともにルグドを渡されてなかった影響だろうか……。
食っていくためにも、ルグドがいかに大事かは実体験で知っている……。
「セラもルグド大事! 美味しいもの……いっぱい食べれる!」
セラが俺の意見に賛同してくれる。
「だよな、セラ! 美味しいもの食べるためにも大事なんだ!」
俺は軽く鼻を鳴らす。
「はいはい。私もルグドの重要性はわかってますよ。いつもと雰囲気が変わるので面白くてつい言っただけですよ」
ルクスハートは笑っている。
「そうか……? まあ、人それぞれ、雰囲気が変わる瞬間もあるだろ……?」
俺は軽く顔を赤くしつつ答える。
「そうですね。では、ありがとうございました。大切に旅の資金として使わせていただきますね」
ルクスハートが長に頭を下げて、感謝を述べる。
俺とセラも続いて、頭を下げて、感謝を述べる。
「そんなそんな。頭を上げてください。街を救ってくださったのですから、私達の気持ちですよ」
長は焦りながら、頭を上げるように言ってくれる。
「それじゃあ、このいただいた資金で必要なものを買った後、出発するよ。ありがとう!」
俺は長に手を振る。
「はい! また、寄られることがあれば、寄ってください! いつでも、私達はあなた方、ヴェル様、ルクスハート様、セラ様を歓迎致します」
長は再度頭を下げる――。
◇◇◇
俺達はセリュカンで旅に必要なものを買い終わった。
「さあ、出発といこうか」
俺が二人に声をかける。
「はい! 行きましょう! 困った方々を救うために」
ルクスハートが気合を入れる。
「セラも……頑張ります!」
セラも気合十分だ。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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