第37話 不浄宮の情報整理
翌日。
久しぶりにゆっくり休みたく、昼前までベッドで休んでいた。
休んでいたといっても、途中でルクスハートとセラが来て、話しかけてきたので、話しながら休んでいた訳だが。
二人共、今回の戦いで連携がとれたのが嬉しかったと何度か話していた。
昼食を食べた後。
「俺はしばらく、北の森で不浄宮の調整をしたいと思ってる。ルクスハートとセラは休んでてくれ」
俺は二人の目を見る。
「え⁉ ヴェル様はお休みにならないのですか?」
ルクスハートが驚きつつ尋ねてくる。
「まあな……。今回の戦いで不浄宮の吸収限界も知れたしな。初めてのことだったから、その辺りも整理しておきたい」
「そうですか……。折角、三人で遊べると思っていたのですが……。でも、ヴェル様がそう思うのでしたら、それが良いと思います!」
ルクスハートは明るい笑顔を見せてくれる。
「セラ……ヴェル様とも遊びたかったけど、我慢する。気をつけてね……」
セラが少し寂しそうに言葉にする。
「ああ、すまないな。いってくる」
俺は北の森に向かって歩き始める。
◇◇◇
北の森に到着する。
「さて。魔物を倒しながら、不浄宮の情報整理をするか」
人面樹が複数現れる。
「ちょうどいい……。いくぞ……。《ヒュドラズ=ポイズン》!」
人面樹、一体が《ヒュドラズ=ポイズン》で溶ける。
《ヒュドラズ=ポイズン》は溶解、そして状態異常〝毒〟を付与できる能力だ。
「《呪砲撃》……!」
人面樹の一体にカースショットが直撃し、黒ずんだ色へと変わる。
「隣にいる人面樹に攻撃しろ!」
俺は呪いのかかった人面樹に命令する。
呪いのかかった人面樹は隣の人面樹へと噛みつく。
「やはり、人心操作は低位の魔物には効果があるみたいだな……」
呪詛の魔人ネザディから吸収した、《ネザディズ=カース》は人心操作、自身や他者を呪いで強化できる能力だ。もちろん呪い殺すことも可能だろう。
「最後が、昨日に手に入れた、病魔リモルビスの穢れの力だ……。《リモルビスズ=ディジス》!」
《リモルビスズ=ディジス》を広範囲に展開する。
残りの人面樹三体を穢れが侵す。
途端に、人面樹は真緑に変色し、苦しげに唸り始める。
「《リモルビスズ=ディジス》は対魔物用に変化させることもできるんだな。まあ、じゃないと、人間相手にしか使えなくて困る訳だが……」
動けなくなった人面樹三体はそのまま倒れる。
「威力も強力か……。リモルビスは穢れの力を利用し、魔物を強化してもいた。まあ、その分の負荷はかかるだろうがな……。その辺はネザディの呪いと似た感じだな」
その後も、魔物を相手に俺は不浄宮で手に入れた力を確かめていく。
「わかったこととしては、リモルビスは穢れの力と、ネザディの呪いの大きな違いだな。穢れの力で病を引き起こすと周囲の魔物に空気感染させることができる。それに空気中に漂わせておくこともできる……。対複数戦に有利だな」
俺は顎に手を添える。
「逆にネザディの呪いの力は単体に対して有効だ。呪いの効果範囲が狭いのと、ほとんどの魔物に呪いの能力が効いていた。リモルビスの穢れは強力だが、中には効きが悪い個体もいた。まあ、魔物達の耐性によるところはあるだろうがな……。病と呪い、耐性を持っていない方を使って戦うようにすれば有利に戦えるとも言えるか……」
俺は今までの戦いで得た情報をまとめる。
こうして考えると、俺もかなり強くなったな。
レベルが上がったのはもちろん、吸収した高位の魔物達の能力を使えるのは大きい。
「さて……。最後に俺が気にしないといけないのは、不浄宮の吸収限界だな……。今まで、勇者パーティーにいた時でさえ、吸収限界を迎えたことはなかった……。これからも困った人々を助けていくために戦う敵は、強力になっていくだろう。となると、意識するべきなのは、『吸収と放出の比率』か……」
俺は身体を伸ばす。
「まあ、このくらい情報整理できれば上出来だろ……。俺は困った人々も守りたいが、ルクスハートとセラのことも守りたい。そのためには強くならないといけない……。もっと強く……」
俺は覚悟を静かに心の中に秘める。
「面白かった!」
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