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第32話 病魔退治クエスト――穢れの森へ

 北の森に着くと、目に見えるほどの〝緑色の穢れ〟が充満していた。


「これは……。かなり強力な病魔がいるぞ……」


 俺は不浄宮で不浄に慣れている。


 それでも、ここまでの穢れを見たのは初めてだ。


「ルクスハート、防護結界はルクスハートとセラを包み込むように展開しておいてくれ。絶対に無理はするな。最悪、俺を置いて森を出るんだ!」


 俺は声のボリュームを数段上げる。


「わ、わかりました。できる限りお役に立てるようにつとめますが、限界を感じたらすぐに離脱します」


 ルクスハートが真剣な声色で返答する。


「セラもお役に立つ……頑張る……!」


 セラの瞳がやや鋭くなる。


「ありがとう……! いこう!」


 俺達は森の中に入っていく。




 森の中はより、緑色の穢れが濃かった。


 そして、魔物が複数襲い掛かってきた。


 オーク、スライム、植物女魔物アルラウネ、人面樹などが出てくる。


 どの魔物も体色が真緑だ。



 ルクスハートがオークの木の槍を大斧で受ける。


「ぐっ……! 力が強い……!」


 ルクスハートはオークにおされていく……。


「病魔の力で強化されているのか……。この数相手だと、やむを得ないか……。ルクスハート、セラ離れてろ……! 《ヒュドラズ=ポイズン》……!」


 俺は《ヒュドラズ=ポイズン》でオークを溶かし去る。


 その様子を見た魔物達が、俺に急いで攻撃をしようと集まってくる。


「飛んで火に入るって奴だな……。《ヒュドラズ=スワンプ》……!」


 俺は地面に触れる。すると、俺を中心に半径三メートルほどの毒沼が発生する。


「グギャァァアアア……!」


 魔物達は跡形もなく消え去る。


「強化された魔物を相手にしてると、こちらが消耗しょうもうさせられる。森の奥に病魔がいるように感じる……。そこまで移動したいところだな……」


 俺は呟く。


「はい! はい! セラ役に立てる! 完全変身すれば……森の奥まですぐ行ける……!」


 セラが手を挙げながら、提案してくれる。


「完全変身か……神獣セラファーンに限りなく近い状態になれるってことか……?」


「そう! セラ眠くなって、お腹も空いちゃうけど……強くて速くなれる……!」


「なるほど……。長くこの森にいるよりは良い方法かもしれないな……。セラ頼んでもいいか……?」


「うん! いくよ……! 《完全変身パーフェクショントランス》……!」


 セラの身体が白銀に輝き、だんだんと形が変わっていく。


 ――そこには、一本の角の生えた大きなユニコーンがいた。


「二人とも……乗っていいよ!」


 ユニコーンの口からセラの声が聞こえる。


 何とも不思議な感覚だ。


 俺とルクスハートはセラに乗る。


「じゃあ……セラ……。いきます……!」


 セラが話したあと、一気に加速する。


 しっかり、セラにつかまっていないと、振り落とされそうだ。


 俺が前に乗っているため、ルクスハートが俺にしがみついてくる。


 かなりのしがみつきのため、豊満な胸を背中に感じる……。


 悪くない気分ではある…………。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


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