第31話 病の治療
ほぼ丸一日かけて、街の人々の穢れを吸収することができた。
流石の俺も疲れが出ているのを感じる。
それでも、街の人々が何度もお礼を言ってくれるのを聞いていると、頑張った甲斐があったというものだ。
「お疲れ様でした、ヴェル様」
ルクスハートがコップに入れた水を渡してくれる。
「お疲れさま! ヴェル様!」
セラも元気に労いの言葉をくれる。
「ありがとう。二人は体調は大丈夫か……?」
「はい、大丈夫です。ずっと防護結界張っていたので」
ルクスハートが答える。
「セラも大丈夫! ずっとルクスお姉ちゃんが手を握ってくれてたし!」
セラは嬉しそうに話す。
「そうか、よかった。……街の病人は全員治すことができた。でも、問題がある」
俺はやや低い声で話す。
「問題……。穢れの元凶……ですよね?」
ルクスハートが俺の言葉を予測したようだ。
「そうだ。病は気づいたら急に流行っていたと聞いた。おそらく、病魔のしわざだろう。それもかなり高位の……」
病魔とは穢れを発生させて、生き物を病にする魔物のことだ。
「倒さないといけないってことですね……!」
ルクスハートが声を大にする。
「ああ。それも早めにな。今は一時的に病を治せているが、放っておくとまた病になってしまうだろう。正直、結構疲れてはいるが、このまま病魔を討伐しにいこうと思っている」
「ええ⁉ 今から行くということですか⁉ それはいくらヴェル様でも厳しいのでは……」
ルクスハートの表情を見るだけで、心配してくれているのがわかる。
「セラも危ない……思う」
セラも同様の意見のようだ。
「……だが、時間を空けるとまた穢れが襲ってくるだろう。……それに、今の俺は疲れてこそいるが、ある意味、絶好調なんだ。なんせ、不浄をこれでもかってくらい、吸収してるからな……」
俺は不敵な笑みを浮かべる。
「……たしかに、ヴェル様のスキルは不浄を使用するもの……。力が蓄えられている状態ということですね……」
ルクスハートが納得半分、不安半分といった顔をする。
「大丈夫だ、ルクスハート。俺は不浄を貯めている時の方が強いよ……」
俺は不安を和らげるために、ルクスハートの頭を軽くなでる。
「わっ! 急にそんなことしないでください! ……あ、でも、ありがとうございます」
ルクスハートは驚いた後、なぜか感謝の言葉を述べる。
「ルクスお姉ちゃんだけずるい! セラもセラも!」
セラがぴょんぴょん飛び跳ねながら、俺に近づいて来る。
「ああ、わかった」
俺はセラの頭もなでる。
セラは目をつむり、非常に嬉しそうな顔をしている。
「穢れを大量に吸収したからか、病魔の位置も何となくわかっている。おそらく、北にある森だろう。……人間に対しては生命力を奪う病だった。ただ、『魔物』に対しては違う効果があるのかもしれない。森の中での戦闘には十分警戒してくれ」
俺は真剣な目つきで二人を見る。
「わかりました。十分警戒します!」
「セラも警戒する!」
二人から気合の入った返答がある。
「二人とも疲れてるところ申し訳ない、行こう……」
俺は立ち上がる。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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