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能無しの烙印を押され、勇者パーティーを『追放』された俺が、実は『最強』だった『不浄』の力で、気づけば『英雄王』に成り上がっていた件  作者: 一 弓爾
闇組織 壊滅編

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第25話 闇組織――クロウ戦

「ああ⁉ 何言ってやがんだ? この面白髪色坊ちゃんはよぉ……。んなこと許す訳ねぇだろ! 殺せ! ただし、後ろにいる女と子どもは殺すな! たっぷり楽しんだ後、奴隷にしてやるよ……!」


 クロウが殺気を放つ。


 取り巻きも全員が武器を手に取り、部屋そのものが殺気を帯びる。


「命令だ。こいつらを止めろ……!」


 俺は呪いをかけた二十人の闇組織の人間に命令を出す。


「はあ⁉ 何が命令だ⁉」


 クロウは馬鹿にしたように声を上げる。


 しかし、その顔も一瞬にして固まることになる。


「な、何やってやがるんだ……! お前ら!」


 クロウの目の前では仲間だと思っていた者同士が、戦っているのだから驚くのも無理はないだろう……。


「何よそ見してんだ? お前の相手は俺だろ?」


 俺はカースショットを放つ。


 しかし、クロウは砲撃を見切り躱す。


「なんなんだぁ……? お前のその魔法は……? この状況もお前が作ったのか!」


 クロウの声が響き渡る。


「だったら……?」


 俺は冷淡に言葉を返す。


「殺す……!」


 クロウはショートソードを構え、突っ込んでくる。


 俺は咄嗟とっさに距離をとり、ルクスハートとセラを見る。


 ルクスハートが敵を倒しながら、セラを守ってくれているのがわかる。


「お前もよそ見してんだろうが……!」


 クロウは怒りの咆哮ほうこうを上げ、俺に斬りかかる。


 俺はショートソードを抜き、防御する。


「ああ⁉ 調子に乗ったこと言ってた割にこんなもんか⁉ 雑魚男が!」


 クロウの蹴りを喰らい俺は数メートル吹き飛ぶ。


「いてて……。まあ、普通に戦っても勝てないわな……。《呪詛強化カースストレング》」


 俺は自身にカースストレングをかける。


 俺の身体は黒みがかっていく……。


「なんだ、その姿は……? 薄汚ねぇ……」


 クロウは嘲笑ちょうしょうを含んだ言い方をする。


「その薄汚ねぇ俺にお前は負けるんだよ……」


 俺は静かに声を出す。


「馬鹿かお前は! 今の一瞬でわかっただろ? お前と俺じゃ力の差がデカすぎるんだよ! 雑魚はさっさと死にやがれ!」


 クロウはショートソードで連撃を放つ。


 俺はカースストレングで上昇した身体能力で、攻撃を防ぐ。


「は……? 何なんだお前は……。さっきは手を抜いてやがったのか⁉」


 クロウはこめかみに血管を浮かべ、言葉を吐く。


「違う。俺は全力だったよ……。周りを巻き込まないように戦うには、自分にだけ不浄を使う必要もあるんだ。成功してよかったよ……」


 俺は軽く笑む。


「さっきから、何でも見通したようなことばかり言いやがって! お前みたいな奴が一番ムカつくんだよ! 切り刻んで殺してやる……!」


 クロウは何度も斬撃を放つ。


 しかし、カースストレングで能力の上昇した俺には及ばなかった……。


「ハァハァ……。おかしいだろ……。おかしいだろォォ! なんで、仲間同士が戦っている⁉ なんで、最初勝てていた俺が今追い込まれている⁉ なんなんだよ……。なんなんだよ、お前ェェ……!」


 クロウは絶望をそのまま口からこぼす。


「俺は不浄をつかさどる者……。悪を滅するために不浄を使う……」


 クロウに一気に接近し、ショートソードによる一撃を見舞う。


 クロウは吹き飛び、壁にぶつかり倒れる。



「ヴェル様! こちらも敵の無力化できました!」


 ルクスハートが汗をかきながらも、報告してくれる。


「ありがとう。あとは、クロウを捕縛すれば終わりか……」


 俺が呟いた直後、セラが叫ぶ。


「ヴェル様! まだ!」


 振り返ると、クロウが魔導石を掲げていた。


「これは、爆導石ばくどうせきだ……! 捕まるくらいなら、お前ら全員道連れにして、死んでやる……!」


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


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