第23話 獣人のセラ
男の言った情報をまとめると、こいつらは人さらいをして人身売買をしている、闇組織に所属しているようだ。
闇組織を束ねているのはクロウという男。
大柄で近接戦闘に長けた者だそうだ。
拠点についても尋ねると、最初は渋っていたが、ルクスハートが大斧を振り回したのを見て、観念したように場所も吐いた。
「お前らは騎士団に突き出す。罪を償える機会がもらえたと思うんだな。それから……」
俺はワントーン声を低くする。
「もし、また犯罪をしていることがわかったら、俺が地の果てまで追いかけてでも、後悔させてやる……。お前らには俺の呪いをかけている。俺の意思次第でどうとでもなることを忘れるな……」
「ひっ……。わ、わかりました。もう二度とこんなことしません……」
リーダー格の男はすっかり縮み上がっている。
「逃げ出せないように、お前らには呪いをかける。その後、近くの森に置いていく。呪われながら、今までの行いを悔い改めるんだな」
俺はそう言い、三人の男に呪いをかける。
「君、大丈夫かい? 怖い思いをさせたね」
俺はできるだけ、怖さがないように柔らかなトーンで女の子に話しかける。
女の子の頭には狼のような耳がついている。
獣人なのだろう。
「あの、その、セラのこと……助けてくれて。ありがと……ござます」
セラはぺこりと頭を下げる。
見た目は七歳ほどだ。身長は大体一二〇センチメートル。
髪はロングの白銀だ。ただ、元々美しいと思われる髪はボサボサになってしまっている。
顔が小さい割に目が大きく、瞳孔は縦に長い。非情に愛らしい印象だ。
「全然大丈夫だよ! 痛いところとかない? お姉ちゃんがすぐ治してあげるよ!」
ルクスハートが声をかける。
まるで可愛がっている妹に話しかけている姉のようだ。
「ほ、ほっぺた痛い……。おじさん、叩いた……」
セラは悲しそうに呟く。
「それは、ダメだね。後でお姉ちゃんが、おじさんぶっ叩いておくから、安心してね! 身体中の傷を治しちゃうね。《回復魔法》……」
ルクスハートが詠唱すると、温かな光と共にセラの傷が治っていく。
「あたたかい……。ありがと。おねえちゃん」
セラは再度ぺこりと頭を下げる。
「全然いいよ~! もう可愛過ぎ……。じゃなくて、他にも捕まってる人はいるの……?」
ルクスハートがセラの目を見ながら尋ねる。
「うん。いっぱいいる。セラのことみんなが逃がしてくれた……。セラみんなが心配……」
セラは泣き出してしまいそうな顔をする。
「それはよくないね。ヴェル様……!」
ルクスハートが俺に強い眼差しを向けてくる。
「もちろん、わかっている。その闇組織を潰すぞ……!」
「流石ヴェル様です! セラちゃんはどうしましょう……?」
「そうだな……」
俺が悩んでいると、セラが声を出す。
「セラも連れていってほしい……です!」
「今から俺達はおそらく戦うことになる。そこに巻き込む訳にはいかない」
俺はセラに目線を合わせながら話す。
「でも……」
セラの瞳に不安の色が浮かぶ。
「ヴェル様……。セラちゃんは私が守ります。だから、一緒に行ってはダメですか?」
ルクスハートが俺の目を見つめる。
「……そうだな。セラもみんなが心配だろうしな。ただし、危ないと思ったら、すぐ逃げること。いいな?」
「はい!」
ルクスハートとセラの声が重なる。
「ああ、そうだ。セラはそのままの姿だと、都合が悪い」
俺はカバンから包帯を取り出し、目元以外をグルグル巻きにする。
そして、布を簡易のマントとして、セラに纏わせた。
「まあ、バレないだろ……多分」
俺は若干不安になりつつ声に出す。
「いざとなれば、私がセラちゃんを守ります!」
ルクスハートが強い口調で言葉を出す。
「すまない。バレたらそうしてくれ……」
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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