第22話 人さらい 撃退
翌日も昨日同様に、セリュカンを目指して歩いていた。
すると、道の外れで男が、一人の女の子を殴りつけているのが見えた。
「ルクスハート! 止めにいこう!」
「はい!」
俺達は急いで向かう。
「商品が逃げ出してんじゃねぇよ……。おいお前ら、よくしつけておけ……! 二度と逃げ出そうなんて思えないくらいにな……!」
男は全員で三人いた。
そのうちのリーダー格の男が声を出している。
「お前ら、何やってんだ……?」
俺は低い声で、敵意をもって尋ねる。
「なんだ? お前? 関係ねぇだろ! 怪我したくなかったら、引っ込んでろ!」
リーダー格の男が威圧的に声を出す。
「その子嫌がってるだろ……? 血も出てる……」
俺は男を睨み付ける。
「……痛い目みないと分からないみてぇだな。ボコしてお前らも売り物にしてやるよ……! 特に女の方は上玉だ。高値になるだろうしな……」
男三人が下卑た笑みを浮かべながら、剣を持って近づいてくる。
「ヴェル様に近づかないでください!」
ルクスハートが大斧を振り、男のうち一人を吹き飛ばす。
「な、なんだ、この女……化物か……!」
部下の男が声を上げる。
「化物なんかじゃありません! 失礼な人ですね!」
ルクスハートが睨みを利かせる。
「そうだ。失礼だぞ。お前ら……。《呪砲撃》……!」
俺の右手から放たれた呪いの砲弾は、部下の男の顔面に直撃する。
俺のレベルが上がったためか、以前よりも数段速く射出することができた。
部下の男はふらふらと、身体を揺らした後、頭から倒れ込む。
「な……なんなんだ、お前ら⁉ ば、化物共が……!」
リーダー格の男が女の子を人質にとる。
「わ、わかるよな……? 下手なことしたら、こいつを殺す! まずは武器を捨てろ!」
リーダー格の男が叫ぶように声を出す。
「ルクスハート……」
俺は従うように声をかける。
「とんだ下衆ですね……」
ルクスハートが大斧を地面に置く。
「そうだ! そのまま地面にひれ伏せ!」
リーダー格の男は味をしめたように、喜々として声を出す。
「アホが……。ひれ伏すのはお前だ……」
俺は静かに呟く。
「あ⁉ お前、今なんつった⁉ こいつがどうなってもいいのか⁉」
リーダー格の男は人質にとっている女の子の首元に剣を突きつける。
「その辺にしときましょう……。俺がこいつは見ておきます。さっさと片づけちまってくだせぇ」
黒い顔をした部下の一人が話しながら、リーダー格の男に近づいていく。
「お前動けたのか? 顔色悪いけど、動けるならちょうどいい。こいつ見とけ!」
リーダー格の男が部下の男に女の子を押しつける。
次の瞬間、部下の男がリーダー格の男の鳩尾に打撃を入れる。
「がっ……! お前何して……」
リーダー格の男は倒れ込む。
「よくやった……。呪詛の魔人ネザディを取り込んでから、人心操作も可能になっていてよかったよ」
俺は余裕の笑みを浮かべながら、リーダー格の男に近づいていく。
「さて、お前に聞きたいことがある。人さらいして何をしてるんだ?」
「お、お前らに言うことなんて何もねぇ!」
リーダー格の男は口をつぐむ。
「そうか……。じゃあ、言うまで色々しないといけないな……。今までの行動を見ててわかると思うが、ルクスハートは力が強い、そして俺は呪いを使える。ついでにお前の部下も呪いで操っている……。この状況で情報を聞き出そうと思ったら、どんなことができると思う……?」
俺はリーダー格の男に顔を近づけて、限りなく低い声で問いかける。
「そんな脅しには屈しない!」
リーダー格の男は虚勢ともとれるような叫びを上げる。
「ああ、そうか……。じゃあ、仕方ないな……」
俺はどす黒く揺らめく呪いを帯びた手を、リーダー格の男に近づけていく。
「や、やめ……やめろ……。やめてくれ……。やめてください……」
リーダー格の男は半泣きで懇願する。
「……じゃあ、知ってることを全部話せ。そうしないと、すぐに呪ってお前の部下と同じように、俺の操り人形だ……」
俺は冷酷な声色を出す。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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