第18話 強引なルクスハート
「大丈夫だ。俺も全く同じことを思ったからな。……今思えば、高級食材なんて食べたことなかったな……。勇者パーティーにいる時も、俺だけ食事内容違ってたしなぁ……」
俺は過去を思う。あまりにも最初からそんな感じだったから、慣れてしまってたのか……。
慣れとは怖いものだ……。
「ええ! あれだけ大活躍できるヴェル様の食事が、他の人と違ったんですか⁉ そんなのおかしいです!」
ルクスハートは本気で怒ってくれてるのだろう。
頬を膨らませて、顔を赤くしている。
「ははは。ルクスハートは優しいな。俺のために怒ってくれるなんて」
俺は嬉しくなり、口元を綻ばせる。
そして、ルクスハートの頬を軽くつつく。
「わっ! ちょ、何するんですか! ヴェル様!」
ルクスハートは空気を吹き出しながら、頬を桃色に染める。
「いや、何だか可愛くてな」
俺は素直な感想を述べる。
「か、か、可愛い……ですか……。もう……お上手ですね……」
ルクスハートは顔を真っ赤にして、黙々とドラゴンのソテーを食べる。
「悪い悪い。急に顔触られたら嫌だよな……」
「……いえ、別にそれはよいのですが…………」
ルクスハートはモニョモニョと口ごもる。
「それにしても、今日は疲れた……。ご飯を食べたら、風呂に入って、さっさと寝るか」
「そうですね! こんな高級な宿初めてです! ベッドもフカフカなんでしょうね~」
ルクスハートは子どものように、純朴な笑顔だ。
食事を終えた後。
宿屋の男店主が慌てて俺達のもとへやってくる。
「ヴェル様……。私としたことが、手違いがございまして……。モンバリス王国の英雄様に大変申し訳ないのですが、お部屋が一つしか取れておりませんでして……。どういたしましょうか? 仲の良い宿に声をかけることもできるのですが……」
男店主は丁寧な口調で、謝罪の言葉を連ねる。
「ああ、それならそうして……」
俺が話している途中でルクスハートが割って入る。
「いえいえ、お手数かと思いますので、一つのお部屋で大丈夫ですよ」
ルクスハートは非常に明るい笑顔だ。
本当に光ってるのではないかと錯覚するほどだ……。
「いやいや、流石に男女で一つの部屋というのは……」
俺はルクスハートのことを気遣い声を出す。
「大丈夫です! 折角、こんないい宿に泊まれるんです。こんな機会滅多にないかもしれないですよ? ゆっくりと休むためにも、こちらで泊めていただくのが一番です!」
ルクスハートはまるで、演説をしているかのようにハキハキと話す。
「う~ん。それはそうかもしれないが……。まあ、ルクスハートがいいなら……」
「じゃあ、決定です! 店主さん! なので、大丈夫ですよ!」
「そうですか……。大変申し訳ございません……」
男店主は心底申し訳なさそうにして、戻っていく。
「さて、じゃあ、お風呂入って、ゆっくり休みましょう! ヴェル様、お背中流しましょうか?」
ルクスハートが真面目な口調で話す。
「なっ! それは大丈夫だ……。自分で洗える……」
思わず顔を赤くして、答える。
心臓がドキドキと早鐘を打っているのを感じながら……。
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