第14話 呪詛の魔人軍 討伐クエスト――開始
俺とルクスハートはモンバリス城に到着し、そのまま王国騎士団長のところまで案内された。
「元勇者パーティーの方がいらっしゃるとは運がよかった。私はモンバリス王国騎士団長のサリラという。以後お見知りおきを……。ギルドの受付嬢から、ヴェル殿のヘブンススキルについては聞いている。では、早速だが、現状について共有させてほしい。よいか?」
サリラはブラウンのショートカット。凛とした顔つきで鼻筋が通っており、二十歳ほどの美しい女性だ。
騎士団長を務めているだけあって、威厳を感じさせる雰囲気も纏っている。
武器はロングソードのようだ。
「大丈夫だ。時間もあまりないだろう」
俺はすぐに答える。
「助かる。呪詛の魔人軍は、敗北した我らの兵士を呪いによって操り、最前線で戦わせている……。我々も国を守るために割り切っているとはいえ、元仲間を殺していかねばならない状況で士気が下がっているのが正直なところだ」
サリラは苦々しい顔をして、言葉を続ける。
「それに、元仲間達は呪いの力で強化されているようだ。おそらく、寿命を無理やり使うなどしているのだろう……」
「なるほど……。高位の魔人ならばそれも可能だろう……。王国騎士団が厳しい戦いを強いられているのはわかった。呪詛の魔人軍の数はどのくらいなんだ?」
俺は静かに尋ねる。
「数は大体、百体だ。そこに、我々の呪われた兵士も加わるため、敵の数でいえば二百といったところだろう……」
「こちらの兵力は……?」
「戦える兵士が三百ほどだ」
「なるほど……厳しい戦いだな。呪われた兵士達を解放するのが重要になるな」
俺は顎に手を添える。
「そうだ。それができれば、一気に形勢逆転することが可能だと思われる」
サリラも同意する。
「戦いはどこで起こってるんだ? モンバリス王国に来る道中では見かけなかったが」
俺はサリラの目を見据える。
「モンバリス平原だ。ここから、東に進んだ所にある。現在も戦いは継続している。私は戦況を王に伝えるために戻ってきていたんだ。これから、戦線に戻る。ヴェル殿達にも来てほしいのだが、構わないか?」
サリラは切迫感のある言い方をする。
「もちろんだ。呪われた兵士は俺のヘブンススキルで解放していく。俺は敵の軍勢の勢いを削ることをメインに動く。ルクスハートは怪我人の手当を頼んでいいか?」
俺はルクスハートの目を見る。
「はい! お任せください!」
ルクスハートが腕を曲げてみせる。
「では、早速馬に乗って移動しよう!」
サリラが声を出し、俺達は移動した。
ルクスハートは馬に乗ったことがなかったため、俺の馬に同乗してもらった。
◇◇◇
戦況は思っていたよりも劣勢だった。
呪詛の魔人軍は一体一体が強力だ。
加えて、一週間に渡る戦闘で兵士が疲弊しているのがわかる。
サリラが鼓舞するために大声を上げる。
「皆の者! 勇者パーティーのヴェル殿が仲間に加わってくれた! ヴェル殿であれば、騎士団兵を呪いから解放することができる! 耐えるのだ! 勝利は我等にあり!」
正確には俺は〝元〟勇者パーティーなのだがな……。
まあ、勇者パーティーと言った方が、士気が上がるのは間違いないから、細かなことは気にしないでおこう。
「俺は単純な肉弾戦はあまり得意ではない。サリラ団長。一緒に戦場を駆けてはくれないか? 呪いの解呪自体はあまり時間をかけずにできると思う」
俺は軽く準備運動をしながら、サリラに問いかける。
「それは全く構わないが……。解呪にあまり時間がかからないのか……? 王国騎士団所属のシスターですら、三十分はかかっていたが……」
サリラは驚いた様子だ。
「俺のヘブンススキルは不浄に特化したものなんだ。だから、強力な呪いでも時間はあまりかからないと思われる。もし、時間がかかった時は、サリラさんに守ってもらわないといけないけどな」
俺は軽く笑う。
「……はは。頼もしいことだ。いいだろう。呪いが解ける者で、戦線に出られる人員がいるだけでもありがたいんだ。どこまでも守り通してみせよう……!」
俺はサリラの馬に同乗する。
「ルクスハート! 怪我人の手当は頼んだ!」
「はい! お任せください! ご武運を!」
ルクスハートが真剣な表情で手を振る。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるの!!」
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