第12話 ヘブンススキル鑑定
がやがやとしているギルドに着くと、俺達はそのまま受付嬢のところへ行く。
「こんにちは」
俺は受付嬢に冒険者証を見せながら声をかける。
「拝見します。Aランク冒険者のヴェル様ですね。所属は……ルミナス・ブレイヴですか! 勇者パーティーではないですか!」
受付嬢が驚きで大声を出す。
まだ、新人なのだろうか。あまり、大声を出す受付嬢はいないと記憶している。
「そうだ。いや、そうだったというのが、正しいか……。所属パーティーの更新をしてほしい。現在俺はパーティーに所属していない。それと、隣にいるルクスハートを冒険者登録してほしいんだ」
俺は淡々と言葉を紡ぐ。
「承知致しました。とりあえず、ルクスハートさんの冒険者登録からしましょうか。奥に鑑定室がありますので、そこでヘブンススキルの鑑定をして、戦闘もできるのでしたら、戦闘能力も見ましょう。その結果を踏まえて、冒険者ランクを定めます」
受付嬢は話している中で落ち着いたのか、普通のトーンで説明を行う。
「わかりました!」
ルクスハートは素直に応じる。
まずは、鑑定室でヘブンススキルを鑑定してもらう。
ヘブンススキルは天からの贈り物だ。持っている者もいれば、持っていない者もいる。
ルクスハートはどちらなのだろうか……。
「結果が出ました。かなり珍しいヘブンススキルです。結果は『魔力全快』でした。効果は一日に一度のみですが、自身の魔力を全回復させることができるスキルです。ルクスハートさんはシスターですから、魔力全快を使うことでより多くの回数、回復魔法を使用できるでしょう」
女鑑定士も驚いた声色だ。
「ルクスハート! すごいヘブンススキルじゃないか! このヘブンススキルがあれば、たくさんの人を救うことができる!」
俺はやや興奮気味にルクスハートに声をかける。
「よかったです! まさか、私にヘブンススキルがあるとは思っていなかったので、正直驚いています……!」
ルクスハートは驚きつつも嬉しさの色を滲ませる。
「それでは、次に戦闘能力を見ましょうか。一つ奥の部屋に修練室があります。そこで、修練士相手に戦ってもらいます。もちろん、怪我のないように木製の武器を使うのでご安心を」
鑑定士は柔和な笑みを浮かべる。
「ありがとう。行こうか、ルクスハート」
「はい!」
俺達は修練室に向かう。
「ではこれより、戦闘能力をみさせてもらう。そこに置いてある、木製の武器の中で得意な武器を選んでくれ」
木剣を腰に携えた男修練士は芯のある声で話す。
「わかりました! 私は大斧が扱いやすいです」
ルクスハートはそう言い、置いてある、斧の中でも最も大きい斧を手に取る。
「ほう……女性でかつシスターで大斧か……。では、準備はできたな。来い……!」
修練士の声が響く。
「行きます……! やぁああああ!」
ルクスハートが大斧を振るう。
「なかなかの速さ……」
修練士は攻撃を躱す。
流石に修練士ともなれば、ルクスハートが攻撃を当てることは難しそうだ……。
「では、次は攻撃を受ける。思い切って打ち込んでこい……!」
修練士の声が部屋中に響き渡る。
「はい! いきます!」
ルクスハートが走り込み、速力も加えた一撃を放つ。
カンッッ!
高音の音が響いた後に、ゴンッッ! という鈍い音が鳴る。
修練士はルクスハートの一撃を受け、後ろに吹き飛び、壁にぶつかったのだ。
その際に鎧と壁がぶつかり、鈍い音が鳴った。
「わ~! すみません。大丈夫ですか⁉」
ルクスハートが半分涙目で修練士に近寄る。
「問題ない。……しかし、すごい力だな……。山かどこかで修行でもしたのか……?」
修練士は驚きながら、ルクスハートに尋ねる。
「いえ、日課として、水汲みや、岩石上げをしていたからだと思います」
ルクスハートは真面目な表情で答える。
「岩石上げて……」
俺は思わず、あっけにとられる。
「……変ですか?」
ルクスハートが純朴な瞳で尋ねる。
「うん。まあ、変だよ」
俺と修練士の声が重なる――。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
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