第26話:ネットの掲示板の反応 6件目
ネットの掲示板の反応)
ここはネットの掲示板「犯罪捜査研究室」。犯罪の容疑者や犯人の心理状態の分析や、事件の背景を研究する掲示板。管理人は「室長」。コンスタントにテーマを決めて、それについて話しているのが研究室らしかった。
室長「『文豪連続殺人事件』ですが、最新の予告によると、ターゲットは小川という小学校教師でした。ところが、殺害されず自信の盗撮などがバレて逮捕されました。模倣犯という話もあるし、あれを『社会的抹殺』と取る人もいるようです。今日はそれについて研究しよう」
室長により今日のテーマが公開された。
リーマン「社会的抹殺だろ! 教師が子どもの全裸撮影したり、自分の学校の子を盗撮したり、クビだろ。自分の性癖を全国に晒したし完全に人生詰んでる」
キャバ「ロリコンとか最悪ー。名前も覚えたし、顔も覚えちゃったー」
主婦「たしかに、連日ワイドショーではこの人のことばっか。ロリはダメだったね」
とにかく女性受けがよくないのがこの少ない人数でも十分に分かった。
インテリ「その後、解雇になったかとかは報道されないから本当の結果は分からないですね」
リーマン「追跡できないかな」
室長「特定班みたいになってる」
インテリ「でも、本名は報道されたし、職場もネットを少したたけば出てくる状態だし、解雇は当然として次も決まらないでしょうね」
室長「そんなときは改名することもあるみたいだね」
リーマン「ずるっ!」
犯罪者が改名するケースがある。情報が拡散しやすい世の中だ。一度でも炎上すると一生残るので、これもまたデジタルタトゥと呼ばれることもある。
室長「ここでの問題は、これが『文豪』の仕業かってことですね。今回はいつものWEB小説サイトじゃなく掲示板だった」
リーマン「たしかに! わざわざ別にした理由があるはず」
インテリ「いつもは身体的殺人で今回は社会的殺人で分けたかったからですか?」
リーマン「それな! 分かるわ!」
室長「じゃあ、掲示板の『文豪』も同一の『文豪』ですかね?」
リーマン「そうじゃね?」
キャバ「あー! いいこと思いついたー!」
リーマン「なに?」
キャバ「『文豪』は毎月1回予告して殺人をしてるんだから、他がなければ『文豪』ってことで!」
主婦「キャバさん賢い!」
インテリ「なるほど、他の予告がなければ『文豪』の確率が高い。でも、絶対じゃない。それでも、毎月決まって1回の殺人があるからもし他があれは偽物、なければ本物って判断でいいんですね!」
キャバ「インテリさんに褒められた! 嬉しいー♪」
室長「じゃあ、今月はまだ殺人予告が他にないから、この研究室的には掲示板の『文豪』も本物ということで」
リーマン「賛成!」
インテリ「賛成」
キャバ「さんせー」
主婦「賛成です」
どうやら今回の議論は終わりのようだった。
室長「あ、そうだ。1個お知らせがあります」
リーマン「なに?」
キャバ「いいこと?」
室長「この間の被害者の名前一覧で、なぜ1人目の名前が分かったか教えてくれって警察から連絡があった」
リーマン「マジ!? この板、警察がマークしてる!?」
インテリ「すごい、警察もマークする板!」
リーマン「警察も凌駕する調査力! 室長すげえな!」
室長「いやいや。でも、多分わざと発表してなかったんだと思う。そこを言い当てたから容疑者になった的な……」
インテリ「なるほど。逆に情報の確からしさが上がりましたね」
室長「そういうことです」
インテリ「それで、警察にはなんて答えたんですか?」
室長「なんて答えても面倒になるだけなのでスルーしました。この板は海外の鯖だし、投稿も串通しまくってますから、みなさんの匿名性は守られてます」
リーマン「すげー! かっきー!」
インテリ「言論の自由はあるはずです!」
キャバ「警察キライ!」
主婦「私も警察から連絡きたら旦那に何言われるか分からない……」
室長「とりあえず、このままスルーすることにします」
インテリ「ちなみに、室長さんはどうやって調べたんですか?」
室長「企業秘密です ( ̄ー ̄)ニヤリ」
今度こそ今日の話は終わりらしかった。




