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第22話:ネット掲示板の反応 ミッシングリンク

 ネット掲示板の反応)


 インテリ「これはもう無差別連続殺人じゃないでしょうか」


 ここはネット上の掲示板「犯罪捜査研究室」。世の中の実際の事件について人物や事件の背景について考察し、その意見を交換し合う掲示板。


 いつも決まったメンバーが集まり、一般の人はオーディエンス(見学者)としてしか参加できない。書込みができるのはほんの数人の掲示板だった。


 リーマン「無差別なのか!?」


 主婦「少なくとも今のところ被害者につながりはなさそうですね。ワイドショー毎日みてますけど」


 リーマン「警察が無能で見つけられないだけだろ」


 主婦「独自に追いたいけど、個人情報は名前くらいしか発表されませんからね」


 ニュースなどでの発表では「会社員」などとしか出ないことが多い。加害側は「塗装工」など具体的な業種が発表になることはあるが、被害者側はあまり公開されない。


 キャバ「SNSはー?」


 インテリ「もう見た。情報少なかった。4人目の宇崎義郎だけあった。リフォームの営業だった」


 リーマン「他は?」


 インテリ「見つからないですね」


 ここで話が暗礁に乗り上げそうになった。


 室長「実は調べて分かったんです。1人目、秋山智也、銀行員。2人目、花園芽亜里、高校生。3人目、伊藤十三、総務。4人目、宇崎義郎、リフォーム営業。5件目、江藤洋一、清掃員」


 リーマン「マジか!? 室長の調査力ハンパねーなー!」


 インテリ「僕が調べた4人目の宇崎義郎とも合致してます」


 今の世の中、調べて分からないことはないのかもしれない。


 インテリ「こうして見ると見事に職業がバラバラですね」


 主婦「ホント」


 キャバ「共通点なさげー」


 ここからしばらく共通点を模索したが中々答えにたどり着けないでいた。


 室長「男女も両方、職業も年齢もバラバラだね。さすがに住んでる場所と生活圏とかまでは分からない」


 インテリ「ですね。いわゆる『ミッシングリンク』です」


 キャバ「なにそれー?」


 ここから少しミステリー小説の話になる。殺人事件を考察するような人たちは、ミステリー小説も好きなようだった。


 インテリ「連続殺人の被害者の隠れた共通点のことです」


 室長「アガサクリスティのABC事件、ウィリアム・L・デアンドリアのホッグ連続殺人なんかが有名かな」


 主婦「ちなみに、それぞれのミッシングリンクは?」


 室長「アガサクリスティのABCは、ABCの順で殺されていく。ホッグの方は事故に見せかけた連続殺人で、犯人は新聞記者で事故のあとに予告状を送ってたんじゃなかったかな」


 キャバ「面白そう。読みたい」


 室長「ごめん、ネタバレしたかも」


 ネタバレ厳禁という風潮もあるが、どんな話か分かっていた方が読み進めやすい本もたくさんある。ここは好みもあるので難しいところだ。


 キャバ「ネタバレしても楽しめそう」


 インテリ「小説ではミッシングリンクがあるって分かってるけど、現実ではどうだろう?」


 室長「連続殺人者でも、シリアルキラーでも、そいつなりの美学というか、ターゲットを狙う理由はありそうだね」


 インテリ「よくあるのが、それを深く理解しようとして自分が殺人鬼になってしまう……みたいな小説ありそう」


 主婦「こわー」


 キャバ「それ読みたいー!」


 ここで室長が軌道修正を図る。


 室長「じゃあ、とりあえず、それぞれミッシングリンクに注目して小説でも読んでみようか」


 インテリ「いいですね」


 リーマン「俺、あんま時間ないから朝の通勤のときにアレクサの読上げ機能使うわ」


 キャバ「なにそれー?」


 リーマン「アレクサあるじゃん? Kindleと連携させたら自分で買った本は読み上げてくれるんだよ。イヤホンで聞けば、朝の満員電車のストレスも少し減る」


 キャバ「それいー! 真似しよ!」


 主婦「うちのアレクサも読み上げるかしら?」


 リーマン「家ならイヤホンなくていいだろ。そっちの方が楽そう」


 主婦「主婦は家で1か所にいないのよ。結構色々忙しいの!」


 リーマン「マジかよ!」


 後半はもはや小説を読む時間の捻出方法についての話になってしまっていた。単なるよくある掲示板だが、その後あることで注目されることになる。


@yumeaki0129さん

ギフトをありがとうございますm(_ _)m

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