第13話:てえてえ
(ネットの掲示板の反応)
室長「犯罪の被害者の子どもの情報が流出した話を知ってる?」
リーマン「まじ!? 最近多いな、そんなの」
インテリ「加害者じゃなくて被害者じゃなくて被害者の? 珍しくないですか?」
主婦「たしかに! 加害者側は私刑的に名前だけじゃなくて、職場から自宅から特定されて仕舞いには顔写真まで流出するわね」
キャパ「マジやばい世の中だから! マジで!」
室長「まだ小学生なんだけど、かわいいで話題になってる。どこからか写真も流出したらしい」
リーマン「あーあ。その子、終わったわー」
室長「名前はまだ出てないみたい。呼称は『シロちゃん』らしい」
リーマン「シロ! 猫みたい! ちょっと見てくる」
インテリ「じゃあ、自分も見てきます」
主婦「私もー」
キャバ「じゃあ、あたしもー」
結局、全員見に行ってしまった。野次馬根性ではなく、知的好奇心である。……多分。
サイトではヒロイン的に扱われている「シロちゃん」の画像が何枚かアップされていた。父親が殺人事件で殺されたことなどが書き込まれていた。その上、母親は小さい頃に他界していて身寄りがない状態。現在は病院に入院していることまで書かれていた。
リーマン「かわいい! めっちゃかわいい!」
インテリ「人気の理由が分かりますね」
主婦「てえてえ」
キャバ「てえてえ」
室長「なんか彼女を応援する募金もスタートしてるらしくて……」
リーマン「マジか! URLプリーズ!」
リーマンの要求にURLが紹介された。
インテリ「一応、自分も募金してきます」
なにが一応なのか……。
キャバ「あたしもー! シロちゃんがんばれー!」
主婦「私もー。500円だけ」
ノリがいい掲示板らしかった。
リーマン「世間に負けずに頑張ってほしい!」
主婦「こんな時、周囲に助けになる大人がいればいいんどけどねぇ……」
インテリ「それにしても、募金のサイトよく立ち上げられたなぁ。ペイパルとかでは募金のURLって発行難しいのに」
募金みたいに一方的にお金を渡すタイプは電子マネーでは専用のURLを発行するのは難しかった。海外では可能でも日本人のアカウントでは実現しない。その点、仮想通貨ならばなにかを買った体で仮想通貨で払うことができる。
室長「仮想通貨で実現してるらしいね」
インテリ「誰か周囲にブレーンがいるかもしれませんね」
室長「かもね。でも、まぁ。シロちゃんに届くと信じて募金できてよかったかな。成果報告とかもほしいね」
インテリ「たしかにそうですね」
リーマン「たまにサイトもチェックしてみるか」
主婦「私も巡回のサイトに入れとく」




