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7. 息継ぎ
ふぅ。
こうして私とユエさんと右目殿の三人で、たどたどしく新生活を始めていくことになりました。
あ、はい。三人です。
驚かせてしまって申し訳ないのですが、ユエさんの右目には猫の魂が宿っておりまして、この右目殿がユエさんの相棒でした。今までにお伝えした出来事はこの右目殿に全部見られていたわけですね。ははは。
私も最初は非常に戸惑いましたが、そのうち右目殿も義兄のような感じで家族になりました。
──いや、そんな、おめでとうだなんてお恥ずかしい、もう三十年も昔の事ですのに。
ああ、でも、つい昨日のように思い出してしまうものですね。お二方も最後まで仲むつまじいご様子で、なによりでございます。
あの、もしお二方にも何かお話したいことがおありでしたら喜んで聞きますが──そうですか、では引き続き。ここからは些か辛いお話もございますが、ユエさんの事、語らせていただきたく。