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第56話『3人は出会う運命』

全然毎日投稿しますけども

凄まじい閃光が辺りを包み、老人の大きな家と敷地、周囲の建物も巻き込み、巨大な爆発が起き、更地となった。


───はっ!?


 目を覚ました。どれくらい気絶していた?

 かなり遠くまで吹き飛ばされた…と思う。辺りには何も無いためどれほど飛ばされたか分からない。ただ、地面とぶつかった衝撃がその距離を教えてくれる。


───みんなは!?


 僕は魔力量の多さで爆発自体で肉体損傷は負わなかった。だけどみんなは違う。僕は上体を起こしそうとした…だが、


「ん?」


 手を動かそうとしたら、左手に感触があった。僕は左手を見た。僕は手を繋いでいた…いや、握られていた…リリスの手だ。ちゃんと体も頭もついてる。良かった。僕は安堵する。


「リリス」


「……うっ……貴様は無事か?」


「僕は大丈夫だよ。リリスこそ大丈夫なの?」


「ああ…私にはリジェネがあるからな…持続回復する。…それと、」


 リリスも僕と同じく背中を打った衝撃だけで爆発自体で受けた損傷はなさそうだ。


「良かった」


「…アマテラスが爆発の瞬間にヒールを発動してくれていたからな」


 そうだったんだ。2人はどこだろう。僕らは立ち上がり、辺りを見渡す。


───いた。ヒナちゃんだ。ヒナちゃんがこちらに背を向けて座っている。ヒナちゃんの横から脚が見える。アマテラスも一緒にいるんだ。


「リリスはゆっくりでいいからね」


「いや、今完治した」


 僕らは走って2人の元へ近づいた。足音に気づいたヒナちゃんが泣きそうな顔でこちらを見てきた。


「レイシさん…アマテラスさんが…」


「アマテラス!!」


 ヒナちゃんの膝で寝ているアマテラスの顔には鼻血が流れていた。リリスも驚いている。

 僕は地面に膝をつけ、何度も名前を呼んだ。


「ん…うぅん……レイシ…?」


「アマテラス…!!」


 良かった。意識を取り戻してくれた。


「…良かった…みんな無事で…」


「……アマテラス」


 嫌な予感がする。けど気づきたくない。


「アマテラスさん…爆発中、私たちが傷ついた途端に回復をし続けてくれてたんです。遠くに飛ばされるあいだも…ぐすん」


 ヒナちゃんが静かに泣き出した。


「ちょっとヒナ〜、泣かないでよー」


 アマテラスがヒナちゃんのひざの上で上体を寝かせたまま、上に手を伸ばし、ヒナの涙を拭う。


「僕はレイシと魔力で繋がってるから魔力切れはないんだけど、出力は僕に依存するから…ちょっと無理しちゃったよ…ゲホゲホ」


 アマテラスが咳をしたあとごぷ、と音を立てて口から血が溢れている。


「アマテラス!!」


「はぁ、はぁ……僕は、少し疲れたよ」


 嫌な予感がする。嫌だ嫌だ嫌だ。


「おい貴様、どうにか出来ないのか!?」


「レイシさん…」


 リリスが強い視線で僕を刺す。ヒナちゃんは弱り切った瞳を僕に向ける。


「どうにかって言われても…どこが損傷してるのか…」


「いいよ…2人とも…少し寝れば良くなるから……そう、少し寝れば……」


 そう言ってアマテラスは静かに目を閉じた。…アマテラス…


「アマテラス…!!」


「そんな…」


「嫌です…アマテラスさん……うわーーーん」


 ヒナちゃんが膝の上のアマテラスへ抱き着いた。


「…う、」


「アマテラスさん!」



 アマテラスの声でヒナちゃんは上体を起こす。ヒナちゃんの顔には希望が溢れていたが、目を瞑ったまま話すアマテラスを見て再び絶望が降りてくる。


「…レ…イシ…とね」


「うん…」


「今日の…」


「うん…!」


 アマテラスがゆっくりと確実に言葉を繋げる。僕は少しでも元気な声で答えようと努める。



「……夜ご飯は、一緒にイノシッシをまた食べたいなぁ」


「食べよう…!!前、スライムと遊んだ場所の奥に森があったよね!…あそこでさ!イノシッシ一緒に追いかけて…追いかけて…!!」


 僕は声も震え、涙も流しながら、話す。ヒナちゃんも同じような表情で涙を流している。リリスは悔しい顔で地面を見ている。


「…約束してくれる…?」


「もちろん、約束する…!!」


「2人で一緒に…って、約束してくれる…?」


「約束する!!絶対…!!絶対!!…だからアマテラスも─」


「ヒーリング……やったー!!頑張った甲斐があったー!!」


 アマテラスの血が消えた。しかもいつも通りの振る舞いになった。


「「え?」」


 アマテラス以外の3人でハモった。


「…アマテラス?」


「よいしょっと」


 アマテラスがヒナちゃんの膝の上から離れ立ち上がる。そして腰に手を当てて。


「それじゃあこれからどうする!!もう森に行くの?それとも─」


「「アーマーテーラースー」」


「あ」


「このー!!」


「驚かせないでください!!」


「私の心配を返せ」


「痛い痛い痛いよー!!」


 3人ででアマテラスを襲った。もう本当にこの子は…でも、生きてて良かった。




「それで、これからどうするの?」


 髪の毛ボサボサになったアマテラスが僕にそう言ってきた。ヒナちゃんが後ろに立って髪を整えてあげてる。


「とりあえず、港に行こうと思う」


「ふむ、戦うのだな?」


「そうだよ」


 声色はいつも通りだけどリリスはウキウキしている。


「僕はもう疲れたから、眺めとくよぉ」


 アマテラスは元気に振る舞っていたけどやっぱり疲れているんだな。


「私も残りの魔力が少ないのであまり戦えません」


 ヒナちゃんもお疲れのようだ。もう今日は休んでもいいな。


「今日は休もうか」


「は?」


「いや、行こうよ!!」


「いち早く奴隷さんたちを解放するべきです!!」


 みんな行く気満々だったんだ。しかもなんか…え?…あ、これ僕が悪い雰囲気だ。みんなの視線が怖い。


「あ…そう、だよね?…行こうか」


「貴様はもっとシャキッとしろ」


「はい…」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

──港にて


 僕らは港の奴隷を受け取る場所と事務所、収容されている場所を突き止めた。


 事務所の人が出てきた。


「ふっふっふっ、この場所が分かるとは、なかなか、やりますねぇ!」


 変な人だ。そいつは右腕がタコ、左腕がイカになっている。後ろにたくさんのマフィアみたいな服装の拳銃をもった男たちがいる。


「いこうか、リリス」


「終焉魔法…」


「リリス?」


「発動!!」




───奴隷売買所、壊滅。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 よしこれでOKだな。奴隷売買についての証拠の書類等をビストの王宮の門番の人ととギルドに渡してきた。今日は武闘会で街の警備が薄くなるから奴隷を乗せた輸送船が多く来るらしい。まぁそれはギルドが何とかしてくれるだろう。

 僕らは今、ビスト王国郊外の草原にいる。今日はほとんど人の姿が見えず、スライムなどの低級の魔物がウロウロし、奥には森が見える。


「2人で、って約束だからね!!リリスとヒナはここでお留守番しててね!!」


「仕方ない、貴様、アマテラスをしっかり見ておくんだぞ」


「あたぼうよ」


「急にどうした。不安になってきたぞ」


「任せて…ほら、これなら大丈夫だよ」


 僕はアマテラスの手を取り手を繋いで行くから安心するよう見せた。


「それならいい。行ってこい」


「「行ってきます!!」」


「リリスさん、あれ見てください!金色のスライムです!!」


「ふむ、レアなんじゃないか?」


 この2人は大丈夫そうだな。僕はテンション高めのアマテラスと手を繋いで森へ歩いている。


「ランラン♪リンリン♪とばしてレンレン♪ロンロンもどして♪ルーンルン♪」


「アマテラス、ルンルンだね」


「だって楽しいんだもん♪」


 アマテラスを見てるとすごく元気になる。


「アマテラス、今日はありがとね。アマテラスが居なかったら全滅してたよ」


「えへへー褒めても何もでないよー」


「本当に助かったよ」


「レイシは僕が居なくても大丈夫そうだったけどね」


「いやーどうかなー」


「確かに僕のおかげでもあるけど、レイシのおかげでもあるんだよ!」


「ん?どういうこと?」


「君が前倒した熊の魔物がドロップした毛があるでしょ。それで作った服を来てなかったら僕の回復が間に合わなかったんだよね!」


「熊の毛皮…そっか…良かったぁ。あの時依頼受けてて」


「ね!!じゃないとみんな全裸で死んでたよ!!」


「ふっ、そっか、僕フルチンになるとこだったんだ。危なかったぁ」


 ちょっと面白くて声が震える。いや、ほんとに大事(おおごと)になるとこだったけど。


「わぁ、大きいね!」


 いつの間にか森の前まで来ていた。アマテラスは大きな木を見上げて感心してる。遠くで見てたらそんな気にならなかったけど、確かにすごく背の高い木々だ。すごい生命を感じる。


「イノシッシいるかな?」


「イノシッシはどこにでもいるよ!…カタナ村にもいたでしょ!」


「たしかに。って全然参考にならないよ!」


 僕らは暗い森の奥へと進んだ。


──フゴッフゴッ!


「あ!!イノシッシだ!!」


 アマテラスが指を指す方向にイノシッシがいた。前仕留めたものより大きい。高さだけで2mはある。片目が傷で見えていなさそうだ。


「強そうだね」


「フゴッフゴッ!」


「あ!逃げた!!追いかけるよレイシ!!」


「うん!!」


「ひゃっ」


強制突破(オーバーフォース)


──ギュンッ!!


 僕はアマテラスをお姫様抱っこしてイノシッシを追いかけた。


「レイシはっっや!!」


 すぐにイノシッシの尻の後ろに追いついた。


「アマテラス」


「うん!…やー!!」


 腕の中のアマテラスがイノシッシの足に向かって魔力を放った。イノシッシに魔力が当たり、体制を崩した。イノシッシが倒れる。


───ズウーーン


「ナイス!アマテラス」


「あれ…」


 アマテラスがイノシッシとは違う方向を指さした。暗い森の中だけどその周りだけは日差しが差し、神秘的な雰囲気を漂わせている。そして、周囲の木よりもさらに巨大な、存在感を放つ大樹の根元には石碑があった。さらにその前に見覚えのある男が跪いていた。ただの村人にも見えるその男。幼い頃の記憶。




───魔族も人間も神も等しく命だ。

急展…!!祈りを捧げるその男は──

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