第47話『人形みたい』
───「「全能全魔」」
クロノスとヴァニタス帝国国王が同時に発する。環状に並べられた机の真ん中に立たされたレイシは動揺する。
いったいどうなってるんだこの国王会議は!!
───数時間前、宿屋に一室にて
「ふわぁ〜」
「ん?」
ベッドの上で上体を起こしたアマテラスがあくびをする声で起きる。もちろん僕は硬い床で目覚める。もう慣れたものだ。いやそれより、
今何時だ!?というかクロノスくんに国王会議の始まる時間聞いてなかった!!いや、僕ら何も知らないよ!迎えにきてくれるの?でもおいでよって言ってたし……は!!ビストのとこに行こう。うんそうしよう。一緒に連れてってもらおう。
「みんな起きてー」
僕はパジャマ姿のみんなに声をかける。いつも早く起きるリリスは昨日酔いつぶれた影響でまだ寝ていた。ヒナちゃんはいつも通りよく寝ている。アマテラスは目を擦っている。
その後みんなで身支度を急いだ。化粧台の鏡を取り合うアマテラスとヒナちゃんには能力で鏡を作って解決した。その後軽い朝ご飯を食べた。
「よし、ビストの王宮に行こう」
僕はドアノブに手をかける。
「おい、転移すればいいだろう」
後ろからリリスが声をかける。
「あ、そっか」
「それと…クロノスの王室に転移すればいいだろう?」
リリスが真顔で言う。僕は確かにと思うのと同時に恥ずかしくなる。
「そ、そうだね…僕もクロノスくんのって意味で王宮に行こうって言ったんだよねー」
僕はドアノブに手をかけたまま後ろを向けた顔の目を逸らす。リリスが小さな口の前に小さな手を持ってきてくすくすと笑う。
「ふふ、歩いてか?それに…ふっ…ビストの、って言ってたぞ?」
リリスは面白さのあまりに声が震えている。
「レイシさん…かっこ悪いです」
「うぅーん」
ヒナちゃんにまでそんなこと言われるなんて…!!それに、一番に起きたアマテラスはずっと眠そうだ。
「じゃ、リリスさん、お願いします」
僕は恥ずかしさのせいで口調がおかしくなる。
「今日の貴様はいつにも増して変だな。まぁいい。転移魔法発動」
───シュン
一瞬でクロノスくんの王室に着く。
「は!?」
僕は目の前の光景に驚いた。
目の前の玉座…だった場所にビーチチェアがあり、その上にグラサンをかけてトロピカルジュースを飲む上裸で水着の男がいた。地面から伸びた影が大きな葉を持ち仰いでいる。
「パトロン……?」
グラサンの男が音を立てて口のストローを離す。
「お、おう……なんだお前ら、急に現れて…」
とてつもなく気まずい空気が流れる。
「……テンイマホウハツドウ」
───シュン
瞬きをする間に宿屋に戻っていた。
「おい、なんだ今のは…」
「僕にもわかんないよ」
「僕は何も見ていない僕は何も見ていない僕は何も見ていない……」
アマテラスは目を押さえてしゃがみこんでいる。
「わ、私は、え?あ…え?」
ヒナちゃんはパニックになっている。
「と、とりあえずビストの王宮に行こう」
「ああそうだな……転移魔法発動」
───シュン
ビストの王宮の玄関の前に着いた。門の前に転移したら門番がいて少々面倒だからかな。僕らは玄関の片扉を開け、
「ビスト、入りますよ」
僕は一声上げて中に入る。僕はパニックの2人と手を繋ぎ、歩く。リリスは後ろからついてきてくれている。まっすぐ進み広い階段を上る。さらに広い廊下の奥に進み、王室の扉の前に着く。僕はリリスの方を向き目配りすると、
ガチャ
あ、そのまま扉開けるんだ。声かけとかノックとかしないんだ。
「ん?ああレイシちゃんたちか」
玉座に座り、足を組み、両腕を肘掛けに置いたビストがこちらに気づいた。すごく様になっている。これが国王か。それが沢山いる場所に今から向かうのか…ってビストはまだ国王会議に向かってなかったのか。良かった。
「ビスト、僕たちも国王会議に招待されたんだけど同行していいですか?」
「それは全然構わないけど、タメ語じゃなくていいぞ」
「それなら……僕たちも一緒に行ってもいいかな?」
「ああ、いいぞ」
ビストは笑顔で頷いてくれた。
「って言っても私はソロネちゃんみたいな瞬間移動ができる従者がいないからあっちから迎えに来るのを待つだけなんだがな…はは」
片手を後頭部に当ててビストは言った。
あ、いつものビストだ。
「なんかちょっと緊張してきたかも!!」
「そうですね、私も緊張します」
僕を挟んでアマテラスとヒナちゃんが会話する。良かった、2人とも落ち着いたんだ。
「もうしばらくは迎えは来ないからゆっくりしててくれ」
ビストがそう言ってくれた。だから僕は能力を発動して、
「よし、みんなでお茶を飲もう」
「おいおい、さすがにテーブルに椅子にティーセットはくつろぎ過ぎじゃないか?」
ビストが驚いているが、僕ら4人は丸い机の周りの椅子に座り、お茶を汲み出した。
「ビストもおいでよ」
僕は玉座にいるビストに手を伸ばし、お茶に誘う。
「全くこれだから最高だな、レイシちゃんたちは…」
と言ってビストもこちらに近寄り、お茶を飲み始める。
「美味しいな…レイシちゃん、うちの国の茶葉に近いな。アッサムか?」
「ソロネさんがいれてくれたお茶を再現したものだよ。お茶は詳しくないのでわからないけど」
「はは、やっぱすげぇなその能力!私もそんなに詳しくないがな!」
「僕は梅ソーダだよ!」
「私は桃ジュースです」
「好きかなと思って」
「うん!好きー!」
「美味しいです」
2人も喜んでくれたみたいだ。リリスはどうだろう。僕は隣のリリスを見る。
「ふむ、悪くない。私はコーヒーか、わかってるじゃないか」
「それは良かったよ」
そんな感じでお茶を楽しんだ。しばらくして──
「国王ビスト様お迎えに上がりました。」
突如、黒髪ツインテのメイド服を来た人形のような整った顔をした少女が玉座の隣りに現れた。
「来たようだな、行こうか、レイシちゃんたち」
ビストが立ち上がり言う。僕らも立ち上がりティーセット諸々を消し、ビストと共にメイド服の少女の元へ歩く。
「話に聞いております。レイシ様御一行ですね。共に転移します。よろしいですか?国王ビスト様」
少女は淡々とそう言った。まるで本当に人形のように、生きていないみたいだ。
「ああ、いいぞ」
「では、参ります」
「では、参ります」
──シュン
なんだ?ここは。宇宙?周りに無数の小さな点のような光が真っ黒な空間にあり、遠くに太陽や月、僕たちが先程までいた惑星も見える。僕は今空中に立っている…わけではない。透明な床がある。おそらく、遠いが透明な壁や天井がある。重力もある……いや、部屋に景色を投影しているのか?分からない。僕の目の前には多数の黒い机と椅子が環状に並べられている。
ビストが少女に礼を言う。
「ありがとなドールちゃん」
「いえ、これが私の役目なので」
ドールって名前なんだ。そのまんまだ。
「あちらにお座りください」
ドールさんが奥の机を手で示し僕らに向かって言う。
「僕たちの机もあるのか」
「お?あれはクロノスちゃんの隣だぜ?」
「そうなんですね、良かったです」
僕ら以外まだ誰も来てないから誰が誰の席か分からないけどクロノスくんの隣なら安心だ。よく見たら机の右角辺りに名前が掘られている。
「あれ?僕の席しかない…」
そう言うといつの間にか傍にいたドールさんが
「従者さんの席はありません」
「この子達はパーティーメンバーだから従者じゃないよ」
と、優しく言った。するとドールさんは表情1つ変えず、
「それは失礼しました。すぐに用意します」
そしてドールさんは両手を机の方に伸ばし、
ゴゴゴゴゴゴゴ
机が動き出す。机で作った円が大きくなり、空いた箇所に3つほど新たに机が地面から生えてくる。
すごいなこの子。聖力も持ってたのか。
「それではお座りください」
「うん、ありがとうね」
「いえ、こちらのミスなので」
ドールさんは両手をまで組み、お辞儀をする。本当に淡々としてる。この子絶対強いな。僕らは言われた通り、席に座る。僕は机に触れ能力で刻まれた名前を変える。クロノスくん側からヒナちゃん、アマテラス、リリス、僕だ。僕の隣が知らない国王になるようにした。今まで会ってきた国王がいい人なだけでその他の国王がいい人とは限らないからね。
ビストも座ったようだ。クロノスくんの3席左側だ。僕らはクロノスくんの右側だね。
相対する人が同時に必殺技出すのかっこいいよね
ごめんなさい、冒頭のとこまでたどり着きませんでした




