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第28話『厚意と好意と行為』



──クロノス王国王室にて

 

僕らはヒナちゃんのなんとかしたくてリリスの魔法で王室に転移してきた。


「ちょ、いつでも来ていいけど王室にワープしてくるのはびっくりだよ〜えへへ」


「あわ、あわわ」


 クロノスくんはいつも通りだ。玉座に座ってその隣に立っているソロネさんの入れた紅茶、ではなくりんごジュースを飲んでいた。ヒナちゃんはこの景色に驚いているようだ。


「クロノスくんいたんだ」


「え?何か盗む気だったの?」


「いや、別にそういうわけじゃ」

 

 たしかに言い方が悪かった。というか僕もまさか王室に直に転移すると思わなくて動揺してる。


「あはは、冗談だよ〜。」


「ちょっと聞いて欲しいことがあって─」 


 僕はクロノスくんに今日起きたことを話した。


「魔王軍がそんなとこまでねぇ。これじゃあ魔境の意味もないに等しいね。やっぱ早めに片した方がいいかもね〜」


「それでクロノスくん、その、ヒナちゃんの家族を─」


「私の家族を生き返らせてください!!」


「僕からもお願い!!」


 ヒナちゃんが小さな体から大きな声を出し、深く頭を下げている。僕も同様に頭を下げる。


「うーん、無理。他国の問題だしね〜、自国だったらもちろん何とかするけどさ〜。他国だと国王の僕が介入するのは違うよね〜。それにこの世は弱肉強食だよ?何かを守るには強くならないと。」


 たしかにクロノスくんの言うことがもっともだ。何も間違ってない。だからと言ってそれならヒナちゃんの家族が殺されたのはしょうがないか、で僕は済ませたくない。こんな理不尽があっちゃダメだよ。


「ふむ。なるほどな。」


「そ、そんな…」


「むー!!」


リリスは笑顔を浮かべて納得?して、ヒナちゃんは落胆、アマテラスはほっぺを膨らましている。ソロネさんは静かに目を瞑っている。え?この人寝てね?


「あの、クロノスく──」


「なーんて言うのは建て前で、助ける声があれば僕はどこでも助けに行くよ〜。」


「クロノスくん……!!」


「あ、ありがとうございます!!」


「ふむ。予想通りだ。」


「えー!!僕わかんなかった!!」


 リリスはわかってたのか。ヒナちゃんは今度は感謝で頭をすごく下げてる。アマテラスは驚いている。僕は歓喜だ。


「それに友達の頼みだ。断る理由がない。僕はみんなが楽しく笑える世界にしたいんだ〜。」


「クロノスくんならできるよ!!絶対!!」


「………『絶対』。そうだね〜。絶対!!」


 その時のクロノスくんの笑顔はとても儚く見えた。


 そしてもう一度リリスの転移で屋敷に戻りクロノスくんは「ハエキモ〜」と言いながらみんなを生き返らせた。ヒナちゃんとその家族は大泣きで抱き合っていて僕らは廊下からそれを眺めていた。

 その後ヒナちゃん一家がクロノスくんや僕らに感謝し、食事会が開かれた。とても美味しかった。なんだか家族の温かみを感じた。家族が和気あいあいと食事をしている姿が目に映る。

 僕とクロノスくんはそれを見ていつの間にか涙を流していて2人で向き合って笑いあった。それで僕はアマテラスに、クロノスくんはソロネさんに頭を撫でられながら過ごした。食事の後はクロノスくんとソロネさんは瞬間移動で帰って行った。

 僕らのパーティーは「ぜひ良かったら泊まっていってくれ」と言われたのでお言葉に甘えさせてもらう事にした。


 僕だけ違う部屋だ。いや、僕が男だからだろうな。電気をつけ部屋を見る。絵画とかはなく、鏡や棚、大きなベッドにぬいぐるみ…etc。女性の部屋っぽいな。クローゼットの隙間から服が見える。誰かの部屋を貸してもらったのか。申し訳ない。とりあえず今日は疲れたからベッドだけ借りよう。それ以外は触らない方がいいな。


 電気を消し僕はベッドに寝転がり、両手を頭の下に敷き、考える。

 戦いはさておき、咄嗟とはいえ腕も生やせた。また少し成長した気がする。しかもあの速度で生やせるなんて…。それに能力の常時発動の話……あの包帯もしてると言ったな。つまり、一度発動してお父さんの姿になった状態でも常時発動していた。そこが僕にはよく分からない。どういう状態なんだ?変化した状態を常に変化させ続ける……わからない。


 変化しない状態に変化させ続ける…変化させようと能力を発動させ、変化しないように能力を発動させる……少しずつわかってきた気がする。

 それなら僕の場合はどうだ?僕の能力は「物質の生成」では無いことはわかっている。流れ星や連撃付与ならコピーも考えられるけどそうなると本で見ただけの内臓を再現できるのは違う気がする……となると「想像の具現化」か……それなら……!?

 僕はもっともっと強くなれるじゃないか!!試したい!!いやもう発動しておこう。これを常時発動すれば……!!こんなに戦いたくなるなんて初めてだ。ああ、はやく──


──ガチャ


 突然部屋の扉が開く。扉の周りに廊下の明かりが差し込む。見るとそこにはヒナちゃんの姿があった。薄桃色のランジェリーを身に着けていた。


「ここヒナちゃんの部屋だったのかな?忘れ物?僕は廊下に出ておこうか?」


「い、いえ……ここは私の部屋ですけど…その…」


 すごくもじもじしている。どうしたんだろう?下着姿見られたくなかったのかな。


「ごめんね、部屋の外出とくね」


 さすがに下着の女の子と暗い部屋で2人っきりは両親に見られたらまずい。僕は下半身をベッドから下ろそうとすると、


「待ってください!!」


「え?」


 びっくりした。突然大声を出され、僕はピタッと止まる。


「そのまま寝転んでいてください……」


 僕は言われるがままベッドに仰向けで寝転び目を瞑る。あんまジロジロ見て気持ち悪がられたら嫌だもん。さすがに傷つく。


──ドサッ


 へ?腰の辺りになにかを感じた。僕は目を開ける。

 ヒナちゃんが僕の体に跨っている。それに頬も赤い。あれ?このパターン…


「あのヒナちゃんどうしたの?お酒とか飲んだのかな?」


「い、いえ…飲んでないです…至って普通です…」


「そ、そっか…どうしたのかな?」


「わ、私は貴族です…けど…姉が…『私が結婚するから大丈夫よ』って…言ってくれて…両親も承諾してくれて……」


「う、うん。」


「好きなんです!!」


「へ?」


「す、好きなんです…レイシさんのこと…」


 ヒナちゃんが口元に手を当てこっちを見たり目を逸らしたりを繰り返してる。


「そ、そっか」


 おい!!僕!!もっとまともな返事しろよ!!同様するな!!


「レイシさん、いっぱい気遣ってくれて、自分は疲れてなくても歩くの疲れたの言わなくてもその前に『そろそろ疲れただろうし休もっか』って言ってくれるし…」


「それはパーティーメンバーが小さい子多いからね…」


 おい!!僕!!そうだけどそうじゃないだろ!!


「私の事貴族って知っててもずっと女の子扱いしてくれて…話す時はいつも目線の高さを合わせてくれて……頭もたくさん撫でてくれて……」


 ヒナちゃんは徐々に声を震わせていた。話してる間に涙を流し始めていたんだ。僕はそっとこの小さな子の涙を拭った。


「戦う時もかっこよくて…私のせいなのに僕のせいだって言ってそれを本心から言ってて……私が絶望した時は抱いてくれて……そんなレイシさんが好きなんです!!」


「ヒナちゃん……」


「ぐすん……」


 ヒナちゃんが泣き止むまで待った。その間もその小さな体は僕を跨いでいた。


「ごめんなさい……迷惑ばかりかけて……」


「いいんだよ。僕がやりたくてやってるだけだから。」


 まぁそのおかげで僕はいつも2人に迷惑かけてる気はするけど…でも2人ともそんな素振り見せないんだよな。本当に感謝だ。ん、ていうかなんでヒナちゃんこんな格好なんだ?


「ヒナちゃん、その格好─」


「わ、私、こう見えて器用なんです」


「え?」


──ガチャガチャ


 一瞬で僕のズボンのベルトが外された。そしてヒナちゃんは両手でスボンの両端を掴み─


「ちょっと待って!!」


 僕もズボンの前方を掴み下げられるのを防ぐ。

 危ない。


「ちょ、ちょっと…やめてください」


「いや、こっちのセリフだから!!」


 僕らはしばらく綱引きを続けた。しばらく経って─


「わ、私じゃ…だめなんですか?私…子供っぽいから……うあぁぁん!!」


 ヒナちゃんが上を向いて小さな口を大きく開き泣き出した。


「待ってヒナちゃん泣かないで」


 僕は上体を起こして……どうすればいいの?


──バッ


 とりあえず抱きついた。抱きついたまま─


「子供っぽいとか、そういうのじゃないよ」


「な、なんでですか?私のこと嫌いなんですか?」


「嫌いじゃないよ…でもこういうのってもっと仲良くなってというか…」


「そ、そうですか。仲良くなってから……そうですよね。」


 納得してくれたみたいだ。良かった。その後はそもそもここで一夜過ごす計画だったらしく寝る場所がないということなのでベッドでヒナちゃんが寝て、僕は床……といきたかったけどヒナちゃんに泣いて隣で寝て欲しいと頼まれたので添い寝した。僕は寝れてないけど…

 そして何事もなく朝が来た。


─ガチャ


「起こしに来たぞ」


「きたぞ!」


 リリスとアマテラスが扉を開け中に入ってきた。


「お、おい貴様……やったな?」


「や、やってないよ!!」


「んー、見てリリス!レイシ、クマが出来てる!」


「ふむ。なら信じてやろう」


 ありがとうアマテラス。助かった。そして寝れなかったことがプラスに働いた。良かった。

 

「んーー」


 ヒナちゃんも起きたみたいだ。上体を起こして目を擦ってる。


──ギュッ


「昨日の夜はありがとうございます」


 ちょ、待ってヒナちゃん。それはまずいよ。


「おい、やはり貴様」


「しけー!!」


 僕はヒナちゃんが目を覚まして止めるまで2人にボコボコにされた。その後朝食をいただいて僕らは旅に戻ろうと玄関前で挨拶しようとしたのだけど─


「あのーヒナちゃん。なんで僕ら側にいるの?」


「わ、私も一緒に行くことにしたの…」


「え!?」


 僕は家族の方を見る。うんうんと頷いている。


「君にならヒーちゃんを任せてもいいと思ってね」


「ヒナが選んだことなら私は止めないわ」


「妹をよろしくお願いします」


 驚いたけど…家族が止めないならいっか!うんうん!

 僕もリリスもアマテラスもいるし大丈夫だろう。それにヒナちゃんの能力…あの包帯すらも回避できず喰らっていたし。心強い仲間だ。


「この子のことは命に変えても守り抜きます!!」


 家族と使用人みんな優しい顔で見てくれている。


「行ってきます!!」


 その少女は笑顔で僕らと旅に出た。





クロノスくん、人を生き返らせるのやめてよ!!

この先誰か死んでも「まぁ、死んでもクロノスいるし…」ってなるじゃん!!

君、強すぎるんだよ…3年くらい封印してやろうか。

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