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童話っぽい?

『メトロポリスのネコ』 -ろーぷれ異聞-

作者: みなはら



  ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


『メトロポリスのネコ』 -ろーぷれ異聞-



  ララーララララララッラララー♪

  (いのーちまぶしいこのせかいー)

  ラララララララララララララー♪

  (みっつのひかりがはばたえたー)


※ 既存の歌アニソンの歌詞でしたので、マスクしております。(歌詞はオリジナルとしてアレンジしたものを使っております(^人^)♪)




 ひかりと影のなか、歌声が響いている。

歌われるのは人の言の葉、人の昔の歌だけれど、それを歌っているのは人ではない。


 歌っているのは黒い猫。

それだけでただの猫ではないことが判る。


 所は光の花のような景色をみせる不夜城の摩天楼。すこし先の未来。

 天上に近い階は輝きで彩られているけれど、降る下層は暗く、灯の消えた柱が水底まで没している様は、まるで枯れかけた活け花の草木のよう。


その立ち枯れたようなビルの一つに、その猫はいた。


 この世界は人とあやかし、そして神の住んでいた世界。

見た目は現代から、すこし時を重ねただけのように見える、ごく普通の世界だった。


 人以外はひかり当たる人の世界の影に隠れ、或いは闇に潜んで、

人の世界を覗きながら、ときに人を助け、ときに傷つけ、

人の世を共に生きていた。


あやかしなどと呼ばれ、怖れられながら、

かみなどと呼ばれ、畏れられながら……

人のかたわらに寄り添い、人と共に歩み過ごしている。



 人の世は、ある意味で終焉を迎えようとしている。

続く世界の分岐から外れて、

星の世界を迎え、外の星々に跳びたって人の世を広げることもなく、

消えてゆく火のように、ここの人たちはその数を減じている。



 歌う黒猫の傍らには三匹の仔猫。


白と黒と、そして白ではなくて色のない(アルビノ)の仔。

人の歌を唄う猫。その母子のようだった。


「母さま、なんの歌?」と白い仔。

「母ちゃんのはきっといつものアニソンだよ」と黒い仔。


色のない仔はその様子を楽しげに見て、じっと黙っている。


黒猫の母は答えずに、仔たちを楽しげに見つめて歌い続けている。



 常春のメトロポリス、ポセイドン。

温暖化で海中に沈んだ都市をかさ増しして創った人工島の都市。


「2015ねんはとっくに過ぎてるけどね(笑)」

ひと区切り歌い終えた母猫、タマはそう言った。


 終焉を迎えようとするひとは、

けれども旺盛な生命力と確固たる意思をもって、生き続けようとしている。


数を減じれば、増やそうと進もうとする意思が芽生える。

あたしの世界の、本流の人の末のように退廃へと至らずに、

この枝葉の世界の人たちは、いつか終焉の定めを覆し盛り返して、人の世を押し進めてゆくのかもしれない。



-いのちは偉大だ-


そう言っていた、あたしの初めての主、絵師の夫婦のことを、

その生み出す手、優しい手があたしに触れた時のことをすこし思い出した。


 あたしの子たち。

はる、かぜ、にじ。

白の春、黒の風。

アルビノの色無しの子には、

せめて色を与えようとして虹と名付けた。


そういえば、全部、あの人たちの好きなものだったね。



「今回はひとりも失わなかった」


「「「母ちゃん「何のこと」」?」


「何でもない」

不思議そうな顔の仔猫らに、愛おしげに身をすり寄せながらタマは答える。



 稲荷ちゃんや、つかさは元気かなぁ。


きっともうすぐ時間遡行が始まる。

幾度めかの繰り返し。


その始まりの時を待つ。




 仔猫たちに寄り添いながら、

目を閉じてこの世界が続き、時を重ねてゆくことを祈る。


きっと世界は、いのちは、

あたしが想い感じるよりも、

ずっと偉大だから。




-おわり-




 それでも世界は回り続ける



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


-余談-

 まずは読んでいただきましてありがとうございました♪(*^^*)


 拙作の中では、このメトロポリスのネコの世界は支流であり、きつねのきょんの世界が本流となっているイメージです。

もっとも、きょんの世界の人は、その大部分が意識のみを持った電子生命に形を変えて、悠久の時を過ごす存在となっているように考えておりますので、現代の人とは違うものと考えても良いのかもしれません(^_^;)


 現代の人とほぼ変わらない人類は、未だわずかながら生きていて、

人とあやかし、或いは神の一部は人と共に、細々とした命脈をつなぐ地球の片隅や、星々へと広がった先で人とそのかたわらにある生活圏を広げております。


新たなあやかしや神などは生まれづらくなってはおりますが、人類は未だ続いてゆくのかもしれないと思いつつですね(*^^*)

人類の末である人は、ひとの世界は電脳圏も含めて広がりそして続いてゆくのでしょう。


 猫又が最後に呟いていた、

拙作の連載の主人公つかさや、稲荷狐の絢葉なども、きょんの本流の世界でおそらくは未だ生きていて、きっといろんなことをしているのでしょうね(*^^*)


 本編連載の猫又が時間遡行により去ったこのメトロポリスの海洋都市世界は、

もしかしたらその時点で消えてしまう世界なのかもしれませんが、

時間の流れの中の泡のように、独立して世界を作り続いてゆくのかもしれないと感じ、

その辺りをソケット、物語の先見性の伏線として残してみました。


 この世界の三匹の仔猫たちの母としての猫又は、はる、かぜ、にじという名の子どもたちを育てながら、この世界にしがみつく人類の名残と共に生きていくのかもしれないと、ふとそう感じつつこの文章を書いております。


 三つ子の仔猫、かぜは本流の世界では生まれませんでしたが、白猫のはると、別の名で生きている白竜(ぱいろん)は、猫又と人の子として今も、きょんのいる本流の世界でそれぞれの旅を生きています。


本来、世界というものの分岐や道筋は、

ふとした形でわかれて進むのかもしれませんね。

そんな気持ちで、この物語を仕上げてみました(●´ω`●)

-あとがきと謝辞-


 こちらはもともと、誰かさんとやろうと話していた企画の、600文字リレーのショートショート用に書き始めたものですが、文字数が収まらなくてボツとなったものでした。←いろいろ試しましたが、短く作るというのは、もしかしたら自分には苦手なことなのかもと、最近思いつつです(^_^;)


 その後、仙道アリマサさんのボカロ企画のエッセンスとしてネタに使ったのですね。



 原形は600文字に収まらないものでしたが、

誰かさんからは、文字数に収めなくとも書き上げたらどうですか?と言っていただけていたので、別の形で出したいとは思っていたのです。


今回、ボツとした文章に幾らか言葉を足して延ばして、新たな投稿作品の物語の形としております。

ボツ稿はこうした形で直させていただき、投稿と相成りました(^_^;)


ご笑納頂けるとよいのですが(*^^*)



 派生といった形の歌詞と、作っていただいた音楽としての作品もご紹介させていただきます。


ボカロ企画の作品『メトロポリスのネコ』

リンク先は以下の通りです↓


https://www.youtube.com/watch?v=4ae7-PmlRcU


仙道アリマサさま、素敵な曲とイラスト、猫たちの姿と街をお作りいただき、どうもありがとうございました♪(*^^*)

改めてお礼申し上げますm(_ _)m



 そして、歌詞として投稿した文章、『メトロポリスのネコ』 -みらいばなし タマ♪-として出したものは、

投稿前に、ボカロ企画のことでやり方など相談させていただいていた静夏夜さまに見ていただいておりまして、

その時に文章のイメージで、素敵なさし絵をいただきました♪←かわいいお気に入りです(●´ω`●)


挿絵(By みてみん)


静夏夜さま、その節はいろいろとお世話になり、そしてイラストまでお描きいただけて、とても嬉しかったです♪(*^^*)

どうもありがとうございました♪(●´ω`●)

かわいいにゃあの姿、とても好いものでした(=^x^=)♪



 最後になりましたが、今回の話でもきっかけをいただけた誰かさん、いつもありがとうございます(*^^*)


なろうに来た当初に持ちかけていただけた合作のお話、なかなか実現できずにおりますが、

こうしてときおりエッセンスやネタを頂きつつ、合作に近いものとなればと思いながら、ときおりこうした形で投稿させていただいてます(^人^)♪


 いろいろな方のおかげで、今回も楽しい創作活動を経験することができました。

感謝いたします(●´ω`●)



 そして最後までお読みいただけたみなさま♪

ほんとうにありがとうございました!(*^^*)

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― 新着の感想 ―
[一言] 黒猫(ΦωΦ)の瞳は 黄色に黒 白かと勘違いしてました ちょっとびっくり (ノД`)シクシク
[良い点]  最初に拝読しました話に、敢えて解説を読まずに歌詞のみからイメージした絵を描いてみて「こんな感じ」と受け取れたイメージを分かり易く伝えようかとしたものですが、挿絵として気に入っていただける…
[一言] 拝読させていただきました。 あの「きつねのきょん」のスピンオフだったのですか。 この作品も可愛らしく、そして、どこか寂しいのです。
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