ニューコンテンツ
今日は早め
「パイセン!幼女誘拐は流石に不味いっす!」
「たとえ誘拐だとしても、異世界人だから問題ない。それにもう成人している」
久しぶりの地球。俺はかつてリリパット族の村で村長をしていた女、マレーンを連れて新宿の事務所に来ていた。
「こいつはリリパットのマレーンという。マレーン、挨拶しろ」
「マレーンデス。ジブンノイシデココニキマシタ」
「え、あっ、自分は和久津って言います!パイセンにはお世話になってます。本当に異世界から?」
「ジブンノイシデココニキマシタ」
「そうなんすねー。地球はどうですか?」
「ジブンノイシデココニキマシタ」
「ちょっとパイセン!完全に言わせてるじゃないですか!」
「時間がなかったからな。必要な言葉だけを教えた」
マレーンは落ち着きのない様子で部屋の中を眺めている。カオスサーガの拠点でもキョロキョロとしていたが、やはり全てが新鮮らしい。
「で、何を企んでいるんすか?」
「流石は和久津だ。察しがいいな。まずはこれを観てもらおう」
俺はあちらで撮りためたデータを和久津に手渡した。
######
「パイセン!子供達に何をやらせてるんすか!」
「身体が小さいだけで子供ではない。立派な兵士だ」
マレーンはモニターに映るリリパット達の訓練の様子をニコニコしながら観ている。
「死神ちゃんさんを見たら無条件に地面に額をつけるの、なんとかならないんすか?」
「ならんな。あれは勝手にやっていることだ。俺の指示じゃない」
「それで何をすれば?」
「決まっているだろ。和久津がリリパットチャンネルを運営するんだよ」
「いやいやいやいや!まだ協会の公式チャンネルでも異世界の映像は公開されてないんですよ!絶対問題になるっしょ!」
和久津は口角泡を飛ばす。
「問題になることの何が問題なのかわからんな」
「禅問答!」
「リリパットチャンネルの収益の半分はリリパットに還元させる」
「残りの半分が迷子になってます!」
「和久津は1割でいいな?」
「パワハラ上司ってこんな感じなんすね!新鮮!」
「地球が刺激を求めているんだ。仕方ない」
「話がデカイ!」
「で、どうするんだ?"YES"か"はい"かはっきりしろ」
「ブラックすぎる、、」
「これはリリパット達の願いでもあるんだ」
和久津はマレーンを真っ直ぐ見据えた。
「マレーンさん、本当ですか?」
「ジブンノイシデココニキマシタ」
「判断に困る!」
結局、和久津は折れた。
あれ、明日30℃超えます?