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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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争いのない世界

 宴が終わり、翌日の朝、妖精の里でエイダ達がツタのハンモックに揺られ寝静まっているころ、妖精の騒がしい声が、朝を告げる鐘となってエイダ達を起こす。


「大変だー大変だー!」


 あまりにも騒がしいのですぐにエイダは飛び起きた。その騒ぎの元へと向かう、羽をせわしなく羽ばたかせながら右往左往、縦横無尽にその騒ぎ立てている妖精は飛び回る。

「大変だー」と叫びながら、その叫び声に釣られ、ドンキホーテ、マリデ、アレン先生も起きてくる。


「あ!英雄の皆さん!」


 妖精はエイダ達の顔を見ると叫ぶのをやめる。


「どうしたの?」


 エイダが聞いた。


「目覚めたんですよ!捕まえた2人が!」




 目覚めの感触は最悪だった、ところどころ皮膚にチクチクと何かが突き立っている。目を開けばなぜチクチクしているのかがわかった。

 藁の上に寝かされているからだ。


「起きたわねアン」


 アンにとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。これはアイラの声だ。

 アンは身を動かす、がうまく動かせない、どうやら腕を背中で縛られているようだ。


「え…?」


 ――腕を()()縛られている?


 アンは右腕を見る、そこには傷ひとつない右腕が存在している。

 右腕は、記憶によればエイダに切り落とされた筈だ。なのに何故か今、傷ひとつなく存在し感覚もちゃんとある。

 何故右腕があるのか、考えられるのは一つだけだった


 ――誰かが私を治療してくれた…?


 そうとしか考えられなかった。だが誰が?その疑問で頭が埋め尽くされる前に、アイラの声でアンは現実に戻ってくる。


「あら、昨日ぶりかしら?マリデ・ヴェルデ?」


 木で出来た格子の向こう側そこには、太った男がいた。

 男は顔を歪ませる。


「やあ久しぶり、無駄な抵抗はしないほうがいいよ?この部屋は強力な魔法障壁が貼られてある」

「気づいているわよ、そんなこと」


 アイラは少々、苛立ちを交えながらそう返した。そんなやり取りをしているとぞろぞろと、エイダ達も入ってきた。

 エイダの肩に乗ったアレン先生が口を開く、口から放たれる言葉はこの場にいる誰もが聞き取れない、未知の言語であった。


 そしてアレン先生はこう締めくくる。


微睡(まどろ)め」


 アンとアイラの意識はそこで途切れた。




 次にアンが目覚ました時、そこは見知らぬ部屋であった、全体的に木で出来た部屋、といっても材木で出来ているのではない。

 木が部屋の形になるように生えているのだ。そんな摩訶不思議の部屋でアンは、ドンキホーテそしてアレン先生の3人きりになっていた。


「それで説明してもらえるのかな?」


 アンは開口一番そう呟いた。ドンキホーテはまた妖精が譲ってもらったという揺り椅子に、座りながら口を開く。


「ああ、もちろん、まずお前さんには寝てる間に抵抗できないように、封印の魔法、つまり魔法や闘気が使えないようにする魔法をかけた。」


「だから抵抗しようなんて考えんなよ?」とドンキホーテは釘をさす。


「これからお前さんには色々、情報提供してもらう。」

「話すと思う?」

「んにゃ」


 アンの問いかけに対してドンキホーテは素直にそう答えた。


「私のことよくわかってるね、私は何も話さないよ」


「まぁ待ちなよ」と固く口を閉ざすアンに対して、ドンキホーテは提案するように話を続ける。


「その腕、治したやつを知りたくはないのか?」

「…知っているの?」

「ああ、知ってるとも、治したのはエイダだ、もしその事に恩義を感じているのなら喋ってくんねぇかな?」


 アンは黙りこくる、ドンキホーテの目には悩んでいるように見えた。

 しばらくたった後アンは重々しく口を開いた。


「エイダに会わせて…」

「いいだろう」


 ドンキホーテは部屋から出て、エイダを連れて戻ってくる。アンはエイダをじっと見た、あの右腕を切られた感触を今でも思い出す。

 エイダは椅子をアンの前に持ってきて座る。


「わ、私に何か用?」


 若干、怖気づきながらエイダはアンに聞く。アンは再び口を開いた


「何故私を生かしたの?」

「え…それは…」


 エイダは言葉に詰まるも、きっぱりとこう返した。


「あなたが、死んでしまうのは間違いだと思ったの。あなたが、泣いているのを見てそう思ったの」

「そう…」

「私達が倒したあの人達は大切な人だったのよね…」

「家族だった…私にとってね」


 その言葉を聞いて、エイダは罪悪感に襲われる。


「なんて顔してるのよ…フフッ」


 そんなエイダを、アンは察したのか笑った。寂しく笑った。


「覚悟はしてた、この仕事始めた時から、だから貴方達を恨むつもりはないわ」


 エイダはそのまま俯く、だが何かを決意したかのように顔を上げた。


「私は、真実が知りたいだから話せる範囲でいい真実を話して!」

「いいわ」


 あっさりとした返答にエイダは面を食らう。


「いいの?」

「私にはほとんど真実は語られてはいないわ、話しても大した問題でない」


「それに」とアンは続けた。


「あなたは私を生かしてくれた、殺すこともできたのにね。それにはたしかに恩義を感じているもの」


 そうしてアンは語り始める。


「グレン卿はね、争いのない世界を作ろうとしているの」


 あえて口を挟まないようにしていた、ドンキホーテはその言葉を聞き思わず、アンに話しかける。


「んな馬鹿な!どうやってだ?」

「復活させるのよ…」


 エイダはその言葉を聞き逃さなかった。


「復活させるって誰を?」


 エイダの問いかけに、アンは率直に答えた。


「魔王よ」

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