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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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参上

 僕の名を呼ぶなと叫ぶエイダに、グレン卿は再びほくそ笑んだ。


「そうか…君はエイダではないか…」


 その笑みにエイダは不快感を覚えた。この男は何を笑っているのか、まるで理解ができなかった。

 とにかくエイダのやるべきことはただ一つだけだ。この男を力でねじ伏せ、謝罪の言葉を口から捻り出されるのだ。

 それしかない、今この怒りを鎮めるためには。そうだというのに今この瞬間、あの男は笑っているそれがエイダにとっては不快で仕方なかった。


「何がおかしい!」


 エイダは飛びかかる。グレン卿は慌てることなく手に持った剣でエイダの格闘をいなす。柄でエイダの顎に打撃を加え、そして怯んだところに胴体に剣を振るった。

 だがエイダの皮膚は剣に切り裂かれることなく以前無事のままであった。剣は胴体に届いておらず左手で剣を防いでいた。エイダは剣を離すと、今度は羽を羽ばたかせ多くの羽毛を散らした、羽毛は一つ一つが鋭利な剣と化してグレン卿に襲いかかる。


「ふん…」


 グレン卿は鼻を鳴らしながら、いともたやすくその剣を自身の剣ではじきかえす。

 弾き返された剣の1本は地面に到達する直前に、エイダが拾いそのままグレン卿に斬りかかった。


「ほう…なかなか筋がいい。」


 光の剣はグレン卿の両手剣によってたやすく防がれた。

 剣と剣が鍔迫り合う、エイダの瞳には依然として、憎しみの炎が宿っていた。


「なぜだ?なぜそこまで怒っている?エイダ…」


「何を行っているんだ!お前らが僕を!!僕にあんなことを!」


 エイダは怒りのままに叫ぶ、そのまま羽を使いグレン卿を吹き飛ばした。グレン卿はあわや飛空挺から落ちかけそうになったが、剣をデッキの上に刺し踏みとどまる。


「記憶の混同か…」


 グレン卿はそう呟きながら剣をデッキから引き抜き剣を構え直す。エイダは手に持った光の剣をグレン卿に投げつけた。それも弾かれ飛空挺の外へと落ちていく。

 エイダは再び羽毛を散らし、周囲に光の剣を作り出す。そして再びその光の剣をまるで流星群のように発射した。


「これはもう通用しない、わからんのか?」


 剣を弾きながらグレン卿はいう。剣の流星群はグレン卿によって再び弾かれていった。

  ただひとつ前回と違うのは、その光が降りしきるその真っ只中にエイダもいたことだ。


「はあああああ!」


「何…!?」


 これには流石のグレン卿も驚いた。自らが降らせた剣の雨に自分から入ってくるとは。いくら不死身とはいえ、痛覚はエイダにもある自身の剣が当たればそれなりの痛みを覚悟しなければならず、最悪、足にでも当たれば機動力が削がれたところをグレン卿に狙われてしまう。

 そのリスクを承知でエイダはグレン卿の懐に入り込む。


「クッ!」


 グレン卿は呻きながらも、剣を弾きつつ、エイダの格闘にも対処していた、エイダはこの剣の雨の中を華麗に避け的確に、グレン卿が剣を弾いた瞬間に拳による殴打を繰り出していた。その絶妙な攻撃のタイミングはグレン卿ほどの剣の使い手でなければ、間違いなくやられていたことだろう。グレン卿は剣を自在に操り時に刃で、時に峰で、時に柄で、剣の雨と拳の嵐を防ぎきっていた。

 しかし、その攻防は最初は互角であったものの、次第にエイダが優勢になりつつあった。

 そして、決定的な一撃が決まる。


「フッ!」


 グレン卿が光の剣を弾き飛ばした、瞬間エイダが拳を繰り出す。グレン卿は柄で叩き拳の軌道を逸らしたが、エイダの攻撃はまだ止まっていなかった、エイダの拳が逸らされたちょうどその先に、光の剣がグレン卿を襲うべく近寄って来ていた。

 その光の剣の柄をエイダは握りしめ、渾身の斬撃を放つ。

 グレン卿は剣による攻撃を想定しておらず、咄嗟にガードしたものの肩に傷を負った。そしてほんの刹那、グレン卿は肩に受けた傷によって怯む。

 それをエイダは見逃さない。


 エイダの渾身の右手による殴打がグレン卿の顔を歪ませた。


「グゥ…!」


 グレン卿は、吹き飛ばされデッキに伏せる。今しかない、この男を殺せるのは。エイダは光の剣を再び生成しグレン卿に向けて降らせる。

 複数の光の剣は同時に着弾する。デッキにも当たったのだろうか、着弾した瞬間に大量の煙が立ち、グレン卿の姿は見えなくなっていた。

 煙が晴れる。


「…!」


 エイダは目を見開く。

 グレン卿がいた場所には半球状の岩の壁があった、グレン卿はその岩の壁に守られていたのだ。


「申し訳ございません父上、手を出すなと言われましたが見ていられませんでした」


 少女の声がする。エイダが目をやると、船内からデッキに続く扉の中から、1人の少女が立っていた。短い銀髪の髪をその身に持ち、その顔立ちはエイダにはなぜか他人に思えないような親近感を沸かせる顔立ちであった。

 そのことから一瞬でエイダは理解する。この少女も自分の姉妹なのだと。


「いや助かったぞ。アイラ」


 岩の壁を破壊しながら、グレン卿は出てくる。


「いやはや、舐めてかかるものではないな、神の使者と言う奴は」


 アイラと呼ばれた少女はアルに目をやると、ため息を出しながら手を振るった。

 するとアル周辺に尖った岩が生え、四肢を拘束していた光の剣を破壊する。


「早く体の時を巻き戻して再生しなさい、アル」


「ああ、すまないアイラ…」


 アルは礼を言うと同時に体の怪我は治っていく。


「さて、そろそろ本気でいくとしよう。我ら親子の力でエイダを家族に招き入れようではないか。」


 肩の傷を気にすることなくグレン卿は剣を構えた。


「お前の家族ですって?僕はそんなの入りたくないよ。私の居場所は僕が決める!」


 エイダはそう言う


「そうかでは、力ずくでいくとしよう、愛しの子供たちよ戦えるか?」


 グレン卿の問いにアルとアイラは頷く。

 戦いが始まろうとしていたその時だ。

 グレン卿の頭上から三日月状の光線がいくつも降り注いだ。

 岩の壁が出現しグレン卿達を守った。


「追いついてきたか、まったく…」


 グレン卿は光線により崩れかけた岩の壁の隙間から上空を見据える。そこには1人の騎士と、猫と、黒づくめの太った男が降ってきていた。

 2人と1匹は華麗に着地し、騎士がこう言う。


「黒い羊、参上」

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