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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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ヨータ

 デッキは炎によって焦げ、そしてエイダによって焼かれ負傷した歴史の騎士団たちがうめき声をあげ転がっていた。デッキの上に立っているのはわずか3人グレン卿、銀髪の男、エイダだけであった。

 そしてデッキをこのような惨状にした当の本人エイダは「私の兄弟」という言葉が思わず口に出てしまったことを気が付き片手で自分の口をおもむろに触る。


「ほう、やはりわかるのかエイダ」


 グレン卿のそばにいる白い髪の男は言う。そして同時にエイダに対して不敵な笑みを浮かべ、こう続けた。


「ならば、もうやめにしよう、兄弟同士戦い続けるのは不毛だと思わんか?」


「あなたと戦うつもりはないわ、でもグレン卿は私の母さんの仇なのそこをどいて」


「わからないのか?これ以上父上と戦うと言うのならば俺がおまえの敵になるぞ」


 その言葉に、エイダは臆することなく言い返す。


「怪我をさせたくないわ…兄弟に」


 それを聞くと男は笑う。


「何を言っているのかわかっているのか?エイダお前は、カルエ遺跡で学ばなかったようだな!お前は俺に勝てないだろうが!!」


 そう言って男もエイダと同じく、赤い光の翼を背中から出現させる。グレン卿はその様子をみると剣を収め、銀髪の男に話しかけた。


「ここは任せるとしよう、神の使徒同士の戦闘も見て起きたい、アル、気をつけるのだぞ。」


「はい父上…!」


 グレン卿は一歩下がるどうやら見物をするようだ。アルと呼ばれた男は、エイダを見据え構えを取る、男の姿はカルエ遺跡の時から変わっていない上半身半裸で下はズボンを履いている。そしてどうやら戦法も同じもので行くらしい、腕に青白い雷を纏わせる。

 周囲のものを「静止」させる力、つまり時を止める力をエイダ自身ドンキホーテから聞いてはいたが、対峙した今となってもどのようにその能力に対抗するのか考えついてはいなかった。

 しかしエイダは確信していた、負けるはずがないと。

 根拠などどこにもなかった。今から恐らく敵が発動するあの強力な能力をいかに防ぐか思いついてすらいなかったが、とにかく謎の自信がエイダにはあった。

 そのように自信過剰になる一因は頭に響くこの声が原因かもしれない。


(大丈夫僕たちなら勝てるさ)


 頭の中に響くあの少年の声に従うままエイダは、両手を構え、戦う準備をした。

 銀髪の男がニヤリと笑う、すると一瞬で男の姿は消えエイダは後方に吹き飛ばされていた。

 例の能力だ、それを理解するのに時間はかからなかった。


「だから言ったろう?お前は勝てないんだ、この俺に!諦めろ!エイダ!」


 だんだん口調が激しくなるアル、どうやら戦うことに対して気が昂ぶっているらしい。それに反比例するように当のエイダは氷のように冷静であった。

 エイダの体に電流が走る。どうやら先ほどの攻撃に纏わせていた雷の影響が残っているらしい。エイダはゆっくりと立ち上がると呟く。


「もう一度良く見なきゃ…」


 その呟きに気がつかずアルは不敵な笑みを浮かべたまま、こう言った。


「もうやめにしないかエイダ、ホムンクルスの兄妹同士戦うのは不毛だ。」


 その語りかけを無視して、エイダは再び拳を構える。


「そうか、なら気絶してもらう!」


 再び全てが静止する。飛空挺も雲も風も、その止まった世界で唯一動けるのはアルだけだった。アルは再びエイダに近寄っていく。


「無駄なことだ、エイダ、いくら俺に立ち向かおうとしてもお前は所詮は死なないだけ、俺には勝てないさ。」


 そう言って右の拳を握りしめて、引き、正拳突きを繰り出す。渾身の一撃をエイダに食らわせたかに思えた。


 アルの右手はエイダの左手によって受け止められていた。


「な、ん?!」


 言い切る前に、アルの体に衝撃が走る。エイダの蹴りが腹に直撃したのだ。


「ごあ!」


 アルは呻き声を出してデッキの飛空挺の手すりに激突した。


「あなたのできることが、私にも…僕にもできないとは限らないだろう?」


 エイダの口調が変わっていく。まるであの少年のように、雲が流れ風が吹く、飛空挺のプロペラが大気を裂き始める。静止した世界は元に戻っていった。


「ほう、アルが負けたか。」


 見ていたグレン卿はそう言った。


「エイダ、お前も使えるようになったのかアルの技が?」


 エイダは答えない、グレン卿を横目で見ながら、エイダは光の翼の羽毛を散らした羽毛は光り輝く、光の剣とかしアルの四肢を釘のように貫いた。


「がああ!」


 アルはこれで動けない、次はグレン卿だ。


「答えはないか…では試してみるとするか。」


 グレン卿は呟き、剣を抜きながらエイダに斬りかかった。エイダは片手で剣を受け止める。グレン卿はニヤリと笑いこう叫んだ。


「破壊剣!」


 すると剣が光り輝き、剣の刃から紫の色をした光がエイダに向かって放たれる。突然のことにエイダは対応できず光に飲まれた。


 デッキの上で片手を失ったエイダが横たわる。しかしすぐ様片手を再生させ起き上がった。光に飲まれどうやらグレン卿の元から吹き飛ばされたらしい、グレン卿との間に距離ができていた。グレン卿は聞く。


「なぜ、時を静止させなかったのだ?」


 エイダは答えない。


「まあいい、大方アルのように時を止めたのではなく、時を止めた世界に干渉したというのが正しいか?ならばふふ面白い。完全に覚醒しかけということか。」


「何を笑っているの…!」


 エイダは怒りに溢れながらそう言った。

 グレン卿は剣を構えながらいう。


「さすがは英雄ヨータの力だと思ってな。」


 その言葉にエイダは激高する。


「僕の名前を貴様が気安く呼ぶな!!」

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