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異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜  作者: 青山喜太


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時間切れ

 悪魔の腕から放たれた、残酷な一撃をまともに受けたドンキホーテの胴体からは鮮血が溢れ出した。


「ぐぁ!」


 ドンキホーテはそのまま地面に倒れてしまう。彼の血が大地を染めていった。


「へへッ…例えどんな状況でも、独りでに左腕が魂の匂いを覚えたやつに襲いかかる。これが俺の悪魔の腕のもう一つの能力さ、終わりだぜ四肢狩り」


 ジャンがドンキホーテに近づき鎌を振り下ろそうとしたその時だ。


「そこまでにしてもらおうかな?」


 ジャンの大鎌は何者かの右手によって塞がれた。


「テメェは…!」


 大鎌を止めた男は太っており、全身、黒づくめの礼服を着ていた。ジャンはその男に見覚えがあった。要注意人物としてリーダーのアンに人相書きを見せられたことがあったからだ。

 マリデ・ヴェルデ、確か男の名はそのような名前だった筈、ジャンは現れた男に大鎌を向け距離を取る。


(確かこいつは魔法使いだったな…)


 だったらと、武器を構え直してジャンはマリデに襲いかかった。思わず距離を取ってしまったが魔法使いならば、自分のアビリティ「悪魔の腕」の力で、距離を詰め一気に殺してしまおうと考えたのだ。


「ここでテメェも殺せばリーダーも喜ぶぜ!!」


 赤い淡い光が、ジャンの鎌にまとわりつく、ジャンの闘気が大鎌を更に強化すべく鎌に集中している証拠だ。


「君もチャクラ使いか。」


 襲いかかるジャンを冷静にそう分析したマリデは、構えもとらず、呪文も唱えずただ鎌が自身の首に到達するのを待っているだけのように思えた。


(んだ?こいつ?なぜ防御をしねぇ…?)


 そう疑問に思いながらも、ジャンは両腕を振るい鎌をマリデの首にめがけて振るう。もはや防御は間に合わない。今まさにマリデの首が落とされるかに思えた。

 鎌はマリデの首の寸前で止まっていた。いや止められていたのだ、複数の黒い影のような触手によって。

 それはマリデの背中から瞬時に生え、鎌を寸前で止めたのだ。


「なに!?」


 ジャンは驚き、鎌が完全に触手に絡め取られる前に、鎌をひっこめ、思わず距離を取ってしまう。

 マリデの見た目は異様だった黒い影のような触手が何本も背中から生え、それらはまるで意思があるかのように動き回っていた。また何本かはジャンに敵対心があるのか定かではないが、触手の先端をジャンに向けていた。


「降参するなら今のうちだよ?」


 マリデが説得をジャンに試みる。ジャンは嘲笑する


「負けたとは決まってねぇだろ?最後まで勝負ってのはどうなるかわからねぇ、そこの四肢狩りみたいに最後の最後でやられるかもしれねぇぜ!マリデ!」


 その時だ地面が揺れ、鳴り響いた。それを察するとジャンは残念そうに呟く「時間切れかよ」と。




 時は少し戻る。


「あなたが私の…?!」


 エイダは驚愕していた。まさか自分の血を分けた父がグレン卿だとは思わなかった。母自身も父のことは手紙に書いていなかったがまさか、グレン卿だったとは、その衝撃は計り知れなかった。


「そうだ我が娘よ。君は間違いなく私の娘だ。一目見た時、理解した。君は私の子だとな。」


「気安く呼ばないで!母さんを殺したキッカケはあなたの命令なんでしょ!」


「母さん…?ああ、確か君を連れ去ったあの女達か、たしかに私が命令したな。全く余計なことをしてくれたものだこうして会えたからいいものを、父と子を離させるなど。」


「あなたは父じゃない!!母さんを、ラヘナとエイミーにしたこと私は許さない!」


 息を切らしながらエイダは訴える。声がこの牢屋内にに反響していった。グレン卿はおもむろに口を開いた。


「ラヘナ?エイミー?だれだ、それは?」


「…!覚えて…!」


 覚えていない、グレン卿はエイダの母達のことを覚えていないのだ。そのことにエイダの心の中に何かどす黒い感情が芽生え始める。


「…さない!許さない!グレン!私はあなたを許さない!」


「今はそれでいい…時期にわかる、私たちの目的の重要さが…頭が冷えるまでこの牢獄にいるが良い。」


 グレン卿はその場から去ろうとする。


「待ちなさい!」


 そう言ってエイダが鉄格子を掴んだ瞬間エイダは、何かの力によって吹き飛ばされた。


「きゃあ!」


 グレン卿はそんなエイダを横目に、話し始めた。


「無駄な抵抗はよせ、その牢には強力な魔法がかかっている。暴れるだけ自分の身を傷つけるだけだぞ。」


 エイダは遠のく意識の中、グレン卿が牢の向こうで自分の兵士達に何かの命令をだすを聞いた。


「飛空挺の準備が出来次第、発進させる。いいな。」


 そこでエイダの意識は途切れた。




 地響きがひどくなり、大地が割れる。


「どうやらもう時間切れのようだな。」


 ジャンが言う。


「なんだ、この地震は…?」


 マリデはジャンから目線を外さないまま、できる限り周りの状況を確認していた。


「残念だぜマリデ、お前とは面白く戦えそうなんだが…発進する準備が整っちまったらしい。」


「なんだと?」


 ジャンは口笛を吹く。するとどこからともなく人よりも巨大な大鷲がとてつもないスピードでジャンの肩を掴み、上空へと連れ去った。

 マリデは魔法で追撃することも考えたが、ドンキホーテの治療を優先することにした。


「しかしなんだこの揺れは…」


 そうマリデが疑問に思った時だ、割れた地面から飛空挺が飛んだ。


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